【来日インタビュー】ポム・クレメンティエフ、『ミッション:インポッシブル』は、「息を合わせて一致団結してやっと撮れるもの」

2025-05-30 13:04
【来日インタビュー】ポム・クレメンティエフ、『ミッション:インポッシブル』は、「息を合わせて一致団結してやっと撮れるもの」

トム・クルーズ主演最新作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』が公開中だ。約30年の集大成と銘打っている本作は、週末興収3日間で8.4億円、先行上映を含めると累計興収16.2億円、累計観客動員103万人とメガヒット級の華々しいスタートを切り、現在も記録を更新中だ。これに先立ち、前作からイーサンを追い詰めるパリス役で参加したポム・クレメンティエフが来日。本人に話を聞いた。

――イーサン・ハントを狙うパリス役として前作から出演されました。二部作の撮影を終え、いかがですか。

本当に素晴らしい体験になりました。映画はもちろん、撮影している時以外でチームのみんなと築いた絆もあり、多くの経験をしたと思います。

――演じられたパリスというキャラクターは、前作に比べ今回はよりチャーミングな部分もあったような印象を受けましたが、演じられる上での変化や工夫は、どのようなものだったのでしょうか。

それは本当に素晴らしい経験で、彼女の違う面を今回は見せるということもできたと思うんです。時々スキがある部分を見せたりしますし、特に他のキャラクターと一緒にいるシーンが今回はとても多かったんです。前作まではとにかく人を殺すマシーンのような存在だったのが、今回は人を助ける局面もあり、それに対して彼女がどう対応するのか、というところもとても演じがいがありました。

――ちなみに前作をご覧になった感想はいかがでしたか。

ストーリーもそうなのですが、何より全てのキャラクターがちゃんと引き立っていると思いました。主演のトムだけじゃなくて、全てのキャラが輝いている。クリストファー・マッカリー監督をはじめ、そういう場をちゃんと作ってくれる作品だと思います。カメラの置き方ひとつにしても、すごく計算されていて素晴らしいと思う。トムも監督も本当に賢い人たちで、スタッフも最高です。カメラチーム、照明、ヘアメイク、衣装…本当にすべてが一流の人たちばかりで、そういう人たちが作り上げている作品だと感じました。

――前作では攻撃力の高い暗殺者として登場しましたが、アクションシーンを演じるにあたってどのようなトレーニングをしましたか。

スタントチームと一緒にとてもたくさんのトレーニングをしたのですが、シーンの中での動きを繰り返し繰り返し練習をして、体に覚え込ませることをしました。あとはキックやパンチもそうですし、スプリントやダッシュなど、あるいは自分の体の強度を鍛えるということでピラティスなどでコアマッスルを鍛えたりもしました。あとは膝や足首を怪我しないように強度を強める訓練をしました。

長時間、何度も何度も動いていくので、体が耐えるだけのスタミナや強度を付けなきゃいけなかったんです。怪我をしてしまうとどうしても撮影が中断してしまうので、そうならないように安全な形でスタントやアクションができるように様々なトレーニングを受けました。

――前作の段階で、パリスがイーサンのチームに加わるという話は、脚本で決まっていたのでしょうか。

この映画は他と違って、脚本が最初からきっちり決まっているわけではなくて、常に流動的に変化していくんです。その場でいろんなアイデアが出て、みんなで話し合って決めていく。

だから、前作は前作で一度きちんと完結させて、それから「じゃあ次どうする?」というところからスタートして、「このアイデアどう?」「いや、こうじゃない?」みたいに議論しながら決まっていく映画なんです。

――新チームに加わることが分かった時のお気持ちはいかがでしたか。

とてもワクワクしました。他のキャラクターとの絡みも増えますし、そうすることでパリスのいろんな面を見せることができる。ただ、いわゆる悪役、強い敵という一面だけじゃなくて、もっと複雑な感情を持っている彼女の内面も見せられるのがすごく楽しみでした。

でも、「いきなり180度変わって“いい人”になるわけじゃないから、心配しないでね」って念を押されました。天使になるんじゃなくて、あのまま、あのキャラクターのままで続いていく感じですね。

――ロケーションで世界中を旅されたと思いますが、その訪れた国の中で一番印象的だったところはどこでしょうか。

北極圏は寒かったけれど、景色が綺麗でした。どこからももっとも遠い場所でした。

――そこでのアクションシーン、とても印象的でした。

本当に大変な撮影でした。普通ならCGを使うような場面でも、実際に火を起こして、朝から晩まで汗だくで、もう死にそうなくらい疲れて。でも、撮れた瞬間は「やった!」って感じでした。やりがいがありました。

ただ、動きもすごく複雑で、カメラもたくさん動くし、そのカメラの動きに合わせてキャラクターも動かないといけない。演じているこちらも複雑な動きをしないといけなくて、すごく上手くできたのに、今度は別のカットでミスをしてしまうこともありますし、その逆もあるんです。

だから本当に、全員の動きがぴったり合わないと撮れない。息を合わせて一致団結してやっと撮れるものなので、本当に大変でした。でも、それが成功した瞬間の「やった!」という気持ちは、何にも代えがたいです。

――トム・クルーズは、彼は映画や芝居を“仕事”だと思っていなくて、「自分は映画そのものだ」と言っていたそうですね。

彼を見ていてすごいなと思ったのは、人に対する好奇心がものすごく強いところです。

人だけじゃなくて、モノにもすごく興味を持っていて、出会ったものから何かを学ぼうとしている。映画業界の人に限らず、誰に会っても、「君はどういう人なの?」「何が好きなの?」って、いろんな質問をするのが好きなんです。

何がすごいって、しばらく会っていなかった人でも、次に会ったときに名前はもちろん、どこで会ってどんな話をしたかまでちゃんと覚えているんです。その記憶力もすごいし、何より相手に対するリスペクトがちゃんと表れていると思います。

ただ質問して聞いているだけじゃなくて、本当に相手の話を聞いて、それを覚えている。そういう人に対する関心の深さが、300%くらいあるんです(笑)。

――何かアドバイスを受けたりしましたか。

特定のアドバイスというより、何か相談したとき、個人的なことでも、「自分らしくやればいいんだよ」「もう十分すごくやってるよ」って、すごく励ましてくれるんです。そういう、心から支えてくれる人ですね。

公開中
(C) 2024 PARAMOUNT PICTURES.

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