犬から人にうつる『共通感染症』とは?命に関わる可能性も…主な症状や予防法を解説

2025-06-09 11:00

犬との暮らしは、日々に癒しや喜びをもたらしてくれるものです。家族の一員として、共に過ごす時間はかけがえのないものですが、その一方で「共通感染症(ズーノーシス)」と呼ばれる、人にもうつる病気のリスクがあることも知っておく必要があります。本記事では、犬から人に感染する可能性のある代表的な感染症とその症状、また、日常生活の中でできる予防法について、わかりやすく解説します。

共通感染症(ズーノーシス)とは?

ウイルス

「共通感染症」とは、動物と人のあいだで共通して感染する病気のことを指します。英語では「Zoonosis(ズーノーシス)」と呼ばれ、犬や猫、鳥などのペットだけでなく、野生動物や家畜を介して感染する病気も含まれます。

犬は人と密接に生活を共にする動物です。室内で一緒に過ごしたり、顔や手をなめられたりすることもあります。こうした日常的な接触の中で、細菌やウイルス、寄生虫、真菌などが犬から人にうつる可能性があるのです。

共通感染症は、以下のような経路で人へと感染することがあります。

  • 唾液や咬傷:犬にかまれたり、なめられた箇所から菌が入る
  • 糞尿:排泄物に含まれる病原体に触れる
  • 皮膚や毛への接触:皮膚病や寄生虫が皮膚を介して感染することも
  • 空気感染:一部の細菌やウイルスは飛沫を介して感染する可能性もある

特別な接し方をしていなくても、ちょっとした油断から感染するケースがあります。特に免疫力が弱っているときは、注意が必要です。

犬から人にうつる主な感染症とその症状

威嚇する犬

ここでは、犬から人へ感染することがある代表的な感染症を紹介します。それぞれの病気の特徴や、感染した際に見られる主な症状についても解説します。

1.狂犬病(きょうけんびょう)

狂犬病ウイルスによって引き起こされる感染症で、発症するとほぼ100%死亡する非常に危険な病気です。日本では長年発生していませんが、海外ではまだ多くの国で存在しており、海外からの犬の持ち込みや旅行時の感染には注意が必要です。

  • 感染経路:感染した動物にかまれることで、唾液を通じてウイルスが体内に入る
  • 人の主な症状:発熱、頭痛、不安感、けいれん、麻痺、意識障害など

2.カプノサイトファーガ感染症

犬や猫の口の中に常在しているカプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌が原因です。免疫力の低い人がかまれたり、なめられたりしたときに感染することがあります。

  • 感染経路:咬傷、傷口をなめられるなど
  • 人の主な症状:発熱、寒気、倦怠感、吐き気、重症化すると敗血症や意識障害を引き起こすことも

3.レプトスピラ症

レプトスピラ菌に感染した犬の尿や血液などに接触することで、人にうつる病気です。河川や水たまりなどに菌が存在していることもあり、野外活動中に感染することもあります。

  • 感染経路:尿や汚染された水への接触、傷口や粘膜から体内に侵入
  • 人の主な症状:発熱、頭痛、筋肉痛、目の充血、重症化すると肝障害や腎不全

4.回虫・鉤虫などの寄生虫感染症

犬の体内に寄生している回虫(かいちゅう)や鉤虫(こうちゅう)の卵が、糞便や土壌を介して人にうつることがあり、特に小さな子どもが感染しやすいとされています。

  • 感染経路:汚染された土や犬の排泄物に触れた手を口に入れるなど
  • 人の主な症状:腹痛、下痢、皮膚のかゆみ、重症の場合は内臓や眼に障害を起こすこともある

5.真菌症(皮膚糸状菌症など)

犬の皮膚に感染したカビ(皮膚糸状菌)が人にうつることがあります。いわゆる「水虫」と同じようなタイプの真菌で、接触によって感染することが多いです。

  • 感染経路:犬の皮膚や被毛との直接接触
  • 人の主な症状:皮膚の赤み、かゆみ、円形脱毛など

6.サルモネラ症・大腸菌感染症

犬の腸内や排泄物に存在するサルモネラ菌や大腸菌が、人に感染することがあります。特に生肉を与えている場合や、排泄物の処理を素手で行うときなどは注意が必要です。

  • 感染経路:犬の便に触れた手を介して口から感染
  • 人の主な症状:下痢、腹痛、嘔吐、発熱など

感染症を予防するためにできること

手洗い

犬との生活を安全に楽しむためには、日常的な衛生管理と適切な予防措置が大切です。ここでは、共通感染症のリスクを減らすために、飼い主としてできる具体的な対策をご紹介します。

手洗いを習慣にする

犬と触れ合った後や、排泄物の処理をした後は、石けんと流水でしっかりと手を洗うことが基本です。特に、食事の前や顔を触る前は手洗いを徹底しましょう。アルコール消毒だけでは取りきれない細菌もあるため、水と石けんによる洗浄が効果的です。

定期的な健康診断とワクチン接種

犬の健康を保つことは、人への感染リスクを下げることにもつながります。獣医師による定期健診や予防接種(狂犬病、混合ワクチンなど)を欠かさず受けさせましょう。寄生虫予防(フィラリア、ノミ・ダニ、回虫など)も重要です。

トイレや排泄物の処理を丁寧に

犬の糞便には、さまざまな病原体が含まれている可能性があります。処理する際は手袋を使う、処理後は必ず手洗いをするなど、衛生的な方法を心がけましょう。トイレ周辺は定期的に清掃し、清潔な状態を保つようにします。

過度なスキンシップは控えめに

犬に口をなめられることや、食べ物を一緒に食べる(いわゆる“口移し”)といった行動は、感染症のリスクを高める可能性があります。特に、小さな子どもや免疫力が低下している人は、直接的な接触を避けたほうが安心です。

室内環境を清潔に保つ

犬の寝床やおもちゃ、食器などは定期的に洗浄・消毒し、清潔な状態を保ちましょう。被毛や皮膚のケアも大切で、定期的なブラッシングやシャンプーで清潔を保つことで、皮膚病や寄生虫の予防にもなります。

まとめ

犬を抱える笑顔の女性

犬から人にうつる共通感染症(ズーノーシス)には、狂犬病やカプノサイトファーガ感染症、レプトスピラ症、寄生虫感染、真菌症、サルモネラ症などがあります。咬傷や糞便との接触、スキンシップを通じて感染することが多いです。

予防には、手洗いの徹底、定期的な健康診断とワクチン接種、犬の清潔管理、過度な接触の回避が効果的です。感染経路や予防法を正しく理解し、日頃から清潔な環境を保つこと、犬の健康管理を怠らないようにしましょう。

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