大雨で九州各地に甚大被害「梅雨末期のような状態」なぜ線状降水帯が連日発生?その原因は「動けない前線」【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-08-11 20:00

熊本の7つの市や町に、相次いで大雨の特別警報が発表されました。その後、警報や注意報に切り替わりましたが、引き続き注意が必要です。
毎日どこかで線状降水帯が発生しているという、あまり例がない状況です。なぜ、これほど連続して発生したのでしょうか。(11日午後5時ごろの放送より)

【写真を見る】川から水が溢れ、川との境目が分からなくなった冠水道路

大雨で九州各地に甚大な被害…熊本では記録的な雨量

吉村恵里子キャスター:
先週から降り続いている九州の大雨ですが、本当に記録的な雨量となっています。

6日から11日正午までの降り始めからの積算雨量ですが、▼熊本・甲佐で682ミリ、▼熊本・山都で657.5ミリ、▼熊本・益城で519ミリとなっていて、非常に多くなっているのがわかります。

梅雨の時期でも1か月で400ミリ降れば多い方なんですよね?

河津真人 気象予報士:
熊本県は比較的雨量が多い土地ではあるので、1か月でこの雨量ならわかりますが、1~2日といった短いスパンでこれだけ降ってしまうと、災害が起こってしまうということですね。

吉村キャスター:
熊本の各地で様々な被害が起きています。

甲佐町ではがけ崩れが発生し、行方不明の父親とみられる男性が発見されましたが、心肺停止の状態だということです。

そして、熊本県管理の5つの川が氾濫しています(午前7時時点まとめ)。さらに、玉東町では車が水没していて、一時通行止めのところもありました。

熊本は車社会なので、「明日からどうしよう」といった心配の声も上がっていました。

「線状降水帯」はなぜ連続して発生? 前線が動けない理由

吉村キャスター:
そんな中で、「線状降水帯」はなぜ連続して発生したのでしょうか。

【線状降水帯発生の状況】
8月8日:鹿児島
8月9日:福岡
8月10日:福岡・山口・大分・熊本
8月11日:長崎・熊本

8日以降、毎日どこかで線状降水帯が発生しているという状況が続いています。河津気象予報士によると、「前線が停滞していることが原因ではないか」ということでした。

河津 気象予報士:
やはり気圧配置が変わらないと、同じような場所で雨が降り続けてしまうので、トータルの雨量が多くなって災害が起こってしまうということです。

吉村キャスター:
前線の停滞というのを天気図を使って解説していきます。

今、日本列島に雨を降らせている前線を挟むように、南側に「高気圧」、北には「寒冷渦」があります。この2つに挟まれているので、前線が動けず停滞している。そこに、南からの湿った空気が流れ込み、九州に大雨を降らせているという状況です。

河津 気象予報士:
太平洋高気圧の周りを流れる湿った空気と、さらに西からも湿った空気が入ってくると、風がぶつかり合い、そこで雨雲が発達します。それがちょうど九州の辺りになってしまったということです。

吉村キャスター:
前線は挟まれて停滞はしていますが、少しは動くので、福岡や鹿児島でも線状降水帯が発生しているということです。

では、なぜこのように前線が停滞しているのか解説をお願いします。

河津 気象予報士:
真夏の空気に覆われていたのが一旦退いてきたところに、北からの冷たい空気がしばらく停滞してしまったところがポイントかなと思います。それで、前線が停滞してしまったということですね。

井上貴博キャスター:
よく「梅雨末期に近い」と話していましたが、この時期にこの構図というのは、例年はあまりないんですか?

河津 気象予報士:
お盆の時期ですと、やはり高気圧の方がずっと優勢なので晴れることが多いです。しかし、梅雨末期のような状態になってしまったということですね。

出水麻衣キャスター:
こういった事態で被害が本当にたくさん出てしまっていますが、私達としては、普段からどういう備えをすればいいのか。また、このような情報が出たときにどのように行動すればいいのでしょうか?

河津 気象予報士:
やはり自治体の情報をしっかり確認することが重要です。

熊本県の中でも、大雨になっているところと、大雨ではないところがあり、テレビの天気予報だけだとざっくりとした情報になってしまうことも正直あると思います。そこは自分で情報を取得するという行動も必要になってくると思います。

車が水没被害に遭う前に“冠水マップ”の確認を!

吉村キャスター:
国交省から道路に関するハザードマップが出ています。お住まいの地域の情報を確認しておくことも重要です。

まず、お住まいの地域を選択します。

例えば、九州地方をタップしてみますと、九州のエリアが出てきます。「冠水想定箇所」というチェック項目があるので、今回、熊本県にチェックを入れますと、熊本県での「冠水想定エリア」という黄色い注意マークが出ます。

さらに、注意マークをクリックすると、冠水が予想される場所の住所の他、警察や消防の連絡先、下の部分には地図と写真が出てきますので、一度、事前に確認しておくとよさそうです。

12日にかけて大雨エリアが北上…週末は再び猛暑に

河津 気象予報士:
17時の最新の天気予報を見ていきます。

現在の雨の様子です。熊本県では雨はだいぶ上がってきましたが、九州北部や東海、あるいは北陸に活発な雨雲がかかっている状況です。

今後の雨の予想ですが、11日午後6時から前線が北上していくので、日本海側の地方で引き続き大雨に警戒が必要となりそうです。石川・金沢、能登半島などでは12日にかけて大雨となる可能性があります。

12日朝、空が暗い間も雨になるということで、11日夜にまた避難を考えていただきたいところも多いですし、12日午後にかけて雨の降りやすい状態が日本海側で続きそうです。

週間予報を見ると12日まで雨で、石川・金沢では13日午後まで雨雲が残るかどうかとなっています。

その先は晴れてきますが、気温が高くなります。15日、熊本では37℃の予想となっていますので、避難されている方や停電になってしまっている方などもいらっしゃるかなと思いますが、暑さ対策もできる範囲でしていただきたいと思います。

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