扇形だった予報円に、飛行機で台風に突入!?台風観測の歴史【気象予報士・森朗のお天気タイムマシン】

今年(2025年)は台風1号の発生が遅かったものの、8月に入ってから平年に追いつく勢いになってきています。甚大な被害をもたらすこともある台風ですが、その予報技術は長い歴史の中で進化を遂げてきました。(アーカイブマネジメント部 萩原喬子)
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昔は命がけの台風観測
TBSには1965年(昭和40年)の台風観測の映像が残されていました。
アメリカ空軍の気象観測機によるもので、尾翼に「WEATHER(天気)」と書いてあります。この観測機で台風に突入して直接観測していたのです。
気象予報士 森 朗氏:
昔は台風の上に行って飛行機で観測していました。ドロップゾンデという観測器を台風の眼から落として観測していましたが、台風の勢力がわからないため飛行機が墜落したり、事故も多く起こっていました。
現在は気象衛星「ひまわり」が活躍しています。飛行機による観測に替わって、可視画像、赤外線画像、水蒸気画像などを使い、台風の大きさや勢力・中心気圧、さらに進行方向などを推定できるようになりました。
台風の予報円、昔は扇形だった!?
現在、台風の進路は「予報円」で示されていますが、実は昔、予報が扇形だった時期がありました。これは、台風が北上すると考えられる際に使われていました。私たちがよく目にする円形の予報円は、1982年から使われるようになりました。
TBSに残っている過去の台風予想を見てみると確かに扇型になっています。
TBSにある一番古い映像は…
1947年9月に発生したカスリーン台風は、紀伊半島の南海上を北上し、房総半島南端をかすめて三陸沖へと進みました。
台風は日本に接近した時は弱まっていて、強風による被害はほとんどありませんでしたが、前線を刺激したため、関東地方と東北地方では大雨となりました。土石流や河川の氾濫もあり、死者・行方不明者が約2000人という大きな被害が出たのです。
過去最高は5個同時に存在した「五輪台風」。2018年には6個の台風が並びそうだった!?
1960年(昭和35年)、天気図上に台風14号、15号、16号、17号、18号と5個の台風が並ぶという珍しいことが起こりました。3個~4個はたまにありますが、5個となると台風の統計が残っている1951年(昭和26年)以降で1回しかありません。ローマ五輪の年だったため「五輪台風」と呼ばれています。
さらに2018年には6個の台風が同時に並びそうになったことがあります。
2018年8月15日頃、西太平洋上では、台風14号、15号、16号、17号、18号、19号の6個の台風がほぼ同時に存在するという珍しい事態が発生しました。熱帯低気圧に変わっていたり、台風になる前の状態だったため、6個同時とはなりませんでしたが、もし少しタイミングがずれていたら、6個の台風が同時に存在していたかもしれません。
気象予報士 森 朗氏:
近年の台風は大型で勢力の強い台風が多いです。上陸しなくても前線を刺激して、大雨を降らせたり、線状降水帯の発生などもあります。
これから9月にかけてますます台風シーズンになるので、台風が離れているから安心するのではなく、気象情報は小まめにチェックするようにして下さい。