苦戦の背景に中国メーカーの台頭…“日の丸家電”復活のカギは「イノベーションのジレンマ」からの脱却!【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-08-27 20:58

日本の家電メーカーの強みといえば、
やはり「技術力」というイメージもありますが、世界の“家電業界の勢力図”が劇的に変化しているようです。

【写真を見る】驚くべき進化を遂げた 中国製ロボット掃除機

日本の家電メーカーは家電だけでは生き残れない?

高柳光希キャスター:
日本の家電といえば、世界に誇る技術力をイメージされる方も多いのではないでしょうか?

日本が世界初だった技術もたくさんあります。たとえばシャープの「オールトランジスタ電卓」や「壁掛けテレビ」、ソニーの「ウォークマン」、パナソニックの「手ぶれ補正付ビデオカメラ」や「保温機能付き炊飯器」などです。

ただ、そんななかで日本の家電メーカーは転換期を迎えているということです。

TBS報道局経済部 岩井宏暁 記者:
今、日本の家電メーカーは家電だけでは生き残れなくなっています。

シャープは亀山工場を縮小して、テレビ向けの液晶パネル生産から撤退しました。ソニーにいたってはエンタメ業界に本腰を入れている状況です。さらに、パナソニックはテレビ事業撤退を検討しているということです。

さらに2021年の調査では、20代のおよそ半分が「パナソニック」というブランド自体を知らないという衝撃的なデータもあります。

高柳キャスター:
業績の悪化の背景としては何が考えられるでしょうか?

TBS報道局経済部 岩井宏暁 記者:
大きくは中国メーカーの台頭があると見られています。例えば「ハイアール」というメーカーのスタイリッシュなドラム式洗濯機です。乾燥機能などはありませんが、しわケア脱水などの最低限の機能は持っており、価格は7万8000円と比較的お安い値段です。

さらに今、世界を席巻したのは中国の「Roborock」というメーカーのお掃除ロボットです。カメラとセンサーで障害物を避けて掃除をしてくれます。水拭き機能もついており、自らブラシで床を清掃してくれます。

段差も自分で登ることができ、最後は自己洗浄までしてくれます。価格は28万円ほどで、こういったものが今中国からは出てきています。

高柳キャスター:
安くて良いものや、高くてより良いものがある中国メーカーの家電、どうご覧になりましたか。

大和田美帆さん:
家電は長く使うものなので、なかなか冒険できず「知らないブランドを買ってみよう」と思うことが今までありませんでしたが、選択肢が増えるのはいいことかなと思います。

復活のカギは「イノベーションのジレンマからの脱却」

高柳キャスター:
ただ、このままだと日本の家電はどんどん世界から追いやられてしまうのでは、という懸念もありますがそこについてはどうですか。

TBS報道局経済部 岩井宏暁 記者:
やはり復活のカギとなるのは「イノベーションのジレンマからの脱却」です。イノベーションのジレンマとは、既存技術の発展に注力しすぎてしまい、後発の技術革新に後れをとるという現象です。

例えば「ガラケー」と呼ばれる携帯電話は、独自にインターネットにも繋がる機能もありましたが、世界ではiPhoneが登場したことで、あっという間にiPhoneが普及しました。

また、「ウォークマン」はCDを外出先でも聞けるとても便利で画期的な商品でしたが、こちらも世界ではiPodというデータを機械に入れて外で聞く、コンパクトな商品に取って代わられてしまった状況です。

出水麻衣キャスター:
最初は日本が良い製品を生み出していたのに、ガラパゴス的な発展にとどまってしまい、海外からの新しい製品に取って代わられる、というのはいろんなところに見て取れる現象で、ちょっと惜しいなと思いますよね。

高柳キャスター:
私も正直、ガラケーは二つに折る形のものは知っていますが、それよりも前の形はわからないです。ウォークマンにいたっては初めて見ました。

井上貴博キャスター:
日本が強かった時代を象徴するものですが、今でもスマートフォンでも部品は日本がトップシェア持ってるものもあったり、半導体でも部品によっては日本がトップシェアというのもあるので、強みをうまく伸ばしていけるといいなとは思いますね。

大和田美帆さん:
でも「日本のブランドにはもっと頑張って欲しい」と思ってしまいますね。

重要なのは「0」から「1」を作ること

井上キャスター:
日本のメーカーとしても、「ガラパゴス化していた日本でシェアを取ればよかった」という考え方から、「人口減少する世界に打って出ないといけない」という、転換がなされていくわけですもんね。

TBS報道局経済部 岩井宏暁 記者:
今後は「0」から「1」を作ることが大切なのかなと思っています。

例えば、薄型テレビが出てきたときには皆さん非常に驚いたと思います。その後、日本は「どれほど薄くするか」にこだわっていましたが、大切なのはいかに「一番最初の薄型テレビを作るか」ということです。

皆さんが思う驚き、そして革新的なイノベーションを作っていけるような技術が今後求められていくのではないかなと思います。

出水キャスター:
岩井記者は様々な企業を取材されてると思いますが、日本企業の皆さんの向かっている先というのは、正しい方向だと思いますか?

TBS報道局経済部 岩井宏暁 記者:
各社、グローバルに展開していきたいということで、先ほどの中国企業のように台頭する「安さ」を重視している企業もありますが、日本としては今まで培ってきた技術をいかに生かしていくか。価格は高くなってしまっても、安心と高価格帯で質のいいものを出していきたいというのが、今の日本メーカーの考えなんだと思います。

井上キャスター:
安心や信頼性は誇りに思ってきたものですし、世界でも今、高く評価され続けてるっていうのは変わらないわけですもんね。

大和田美帆さん:
安いから良いっていうだけじゃなくて時間をかけてすごく研究されて出来上がったものを大切に長く使っていくという考え方は残していきたいですよね。

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<プロフィール>
岩井宏暁
TBS報道局経済部 自動車・重工・電機担当
関税影響を幅広く取材 週末は愛車でドライブ

大和田美帆さん
俳優・タレント
音楽療法士・子供心理カウンセラーなどの資格を持つ
大和田獏・岡江久美子の長女 1児の母

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