定番の花束は本当に喜ばれるのか? 送別シーンにおける贈り物の本音と実態

2025-09-17 12:30
定番の花束は本当に喜ばれるのか? 送別シーンにおける贈り物の本音と実態

春や年度末になると、送別会や退職、異動の場で必ずといっていいほど目にするのが「花束」である。色とりどりの花々に彩られた花束は、その場の雰囲気を一気に華やかにし、贈られる側の手元を鮮やかに飾ってくれる。しかし一方で、誰もが心の底から「ありがたい」と思っているのだろうか。実際に花束を受け取った人の中には、持ち帰りや管理の負担を感じた経験があるという声も少なくない。特に都市部で一人暮らしをしている人や、花を飾る習慣がない人にとっては、「気持ちは嬉しいけれど少し困る」という本音が存在しているのだ。

贈り物とは、単なる「物」ではなく、相手への思いやりを象徴するもの。しかし、その思いやりがかえって相手に負担を与えてしまうとしたら、本末転倒である。華やかさや「定番だから間違いない」という発想に頼りすぎるのではなく、贈られる側の生活スタイルや価値観に寄り添うことが求められている。社会の変化やライフスタイルの多様化に伴い、贈り物に対する意識もまた、静かに変わりつつあるのではないだろうか。そこで今回、株式会社ケィテック(https://k-tech.ne.jp/)は、20〜50代の社会人(送別会・退職・異動などの経験者)を対象に、「贈り物にまつわる本音と実態」に関する調査を実施した。

「嬉しい」と「困る」を分けた贈り物ランキング

今回の調査では、20〜50代の社会人1,004名を対象に、送別会や退職・異動といった場面で「嬉しい贈り物」と「困る贈り物」を尋ねている。その結果が示すのは、贈る側の“常識”と、受け取る側の“本音”のギャップである。

まず「嬉しい贈り物」のトップに挙がったのは、商品券・ギフトカード(96.3%)だった。次いで、お菓子(87.2%)、体験型ギフト(73.2%)、雑貨・実用品(72.7%)と続く。いずれも“すぐに使える”あるいは“自由度が高い”ものが上位を占めているのが特徴だ。一方で「困る贈り物」のランキングをみると、最も多かったのは観葉植物(71.0%)であり、次いで花束(51.4%)が続いた。寄せ書きやメッセージカードも44.1%と、必ずしも万人受けではない結果となっている。この数字は、場を華やかに演出する花束や観葉植物が“定番”とされながらも、実際には半数以上の人にとって「困る贈り物」となり得る現実を浮かび上がらせている。贈る側が「無難」と考えて選ぶものほど、受け取る側の負担につながりやすいという点は、注目すべき結果といえるだろう。

花束を贈る人・受け取る人、それぞれの温度差

調査結果によれば、送別の場で「花束を贈ったことがある」と回答した人は67.8%に上り、多くの職場で“定番”として根強く選ばれていることがわかる。その理由として最も多かったのは「なんとなく定番だから」(48.6%)であり、「見た目が華やかで喜ばれそうだから」(34.8%)、「送別=花というイメージがあったから」(25.0%)と続いた。つまり、多くの人が深く考えるよりも「無難で象徴的な存在」として花束を選んでいる現状が浮かび上がる。

一方で、受け取る側の視点に立つと評価は異なる。印象に残る贈り物の特徴として最も多かったのは「贈ってくれた人の気持ちが伝わった」(45.7%)であり、次いで「日常的に使える実用的なものだった」(41.1%)、「自分の趣味やライフスタイルに合っていた」(26.7%)が続いた。ここから見えてくるのは、華やかさよりも“実用性や相手への配慮”が心に残りやすいという事実である。花束はその場を盛り上げる象徴的な役割を果たす一方で、必ずしも「心に残る贈り物」になっているとは限らない。場の雰囲気を演出する効果と、受け取る側の生活に寄り添う実用性の間には、依然として大きなギャップが存在しているのである。

“嬉しいけれど困る”花束の二面性

調査では「祝い花」に対する印象についても尋ねられている。その結果、最も多かった回答は「定番で気持ちが伝わる贈り物だと思う」(40.1%)であり、「見た目が華やかで場の雰囲気が良くなる」(36.4%)も上位に挙がった。こうした数値からは、花束が依然として“場を彩る象徴”として認識されていることがうかがえる。しかし同時に、「もらうと嬉しいが、扱いや持ち帰るのが大変なこともある」(32.9%)や「相手の生活スタイルによっては逆効果になると思う」(16.4%)といった声も一定数存在する。つまり、花束は“嬉しい気持ち”と“負担感”が同居する存在であり、必ずしも一方的に喜ばれるわけではないのだ。

さらに、自宅での花の扱い方について調べたところ、「花瓶もなく、飾る習慣はない」人が39.9%にのぼった。加えて「基本的には飾らないが花瓶はある」(18.3%)と答えた人も含めると、実に半数以上が日常的に花を飾る習慣を持っていないことが明らかになった。花をもらった際の平均的な飾り付け期間も、「1週間以上飾った」人が36.6%である一方、「飾らなかった・持ち帰らなかった」と答えた人が21.6%に達している。華やかに見える花束も、受け取った後の扱いに困る人が少なくない現状が浮き彫りとなった。この結果から、花束は“気持ちを象徴する贈り物”であると同時に、“生活の中では扱いづらい贈り物”という二面性を持っていることが明確に示されたといえるだろう。

喜ばれるのは“気持ち+使いやすさ”

調査では「送別やイベントを祝う際に、どのような特徴の贈り物を選びたいか」についても尋ねられている。最も多かった回答は「相手の気持ちや好みに寄り添えるもの」(59.9%)であり、次いで「持ち帰りやすく、場所をとらないもの」(44.5%)、「手入れが不要なもの」(25.0%)が続いた。この結果から浮かび上がるのは、受け取る側に「負担をかけないこと」が重視されているという点である。贈る側が「華やかさ」や「その場の演出」を意識しがちなのに対し、実際に喜ばれるのは、生活の中で扱いやすく、相手にとって無理なく受け取れるものだといえる。

一方で「見た目が華やかでその場に映えるもの」(20.4%)や「予算内でインパクトを出せるもの」(17.7%)といった要素も一定の支持を得ており、場の演出と実用性のバランスが依然として重要であることもうかがえる。つまり現代の贈り物には、従来の「定番」や「華やかさ」に加えて、持ち帰りやすさ・手入れ不要・相手への配慮といった実用的な要素が強く求められているのである。

調査概要:「贈り物にまつわる本音と実態」に関する調査
【調査期間】2025年8月13日(水)~2025年8月14日(木)
【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】1,004人
【調査対象】調査回答時に20〜50代の社会人(送別会・退職・異動などの経験者)であると回答したモニター
【調査元】株式会社ケィテック(https://k-tech.ne.jp/)
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ

贈る側に問われる“思いやりの形”のアップデート

今回の調査から明らかになったのは、贈り物の定番とされてきた花束が、必ずしも万人に喜ばれているわけではないという事実である。華やかさや雰囲気づくりといった象徴的な価値は依然として認められているものの、生活習慣や住環境の多様化により、扱いや管理の負担が指摘される場面も増えている。現代の社会人が求めているのは、相手の気持ちに寄り添いながらも、持ち帰りやすく、手入れの不要な実用的な贈り物である。つまり「気持ちを伝える象徴性」と「生活に無理なく取り入れられる利便性」の両立こそが、これからの贈り物に求められる条件といえるだろう。

贈り物の形は時代とともに変化する。花束のように長年親しまれてきた定番のスタイルであっても、現代のニーズに合わせた工夫や代替案が模索されている今こそ、贈る側の配慮が一層問われているのである。

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