【プリンセス駅伝展望】ダイハツはエース欠場も大森菜月、西出優月が好調維持 ベテラン松田瑞生&ルーキー村松灯がV争いのカギに

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2025-10-18 17:15
【プリンセス駅伝展望】ダイハツはエース欠場も大森菜月、西出優月が好調維持 ベテラン松田瑞生&ルーキー村松灯がV争いのカギに

女子駅伝日本一を決めるクイーンズ駅伝(11月23日・宮城県開催)の予選会であるプリンセス駅伝 in 宗像・福津が19日、福岡県宗像市を発着点とする6区間42.195kmのコースに31チームが参加して行われる。上位16チームにクイーンズ駅伝出場権が与えられる。

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18日の監督会議で区間エントリーが確定した。過去マラソン日本代表を多数輩出してきたダイハツは、故障明けの加世田梨花(26)をクイーンズ駅伝に備えて温存した。23年ブダペスト世界陸上マラソン代表で、過去4年連続クイーンズ駅伝エース区間の3区を走ってきた。加世田の不在は痛いが、1区の西出優月(25)と3区の大森菜月(31)が、今季複数種目で自己新を出すなど充実している。後半区間に登場するルーキーの村松灯(23)と、22年オレゴン&23年ブダペスト世界陸上マラソン代表だった松田瑞生(30)の走り次第で、優勝争いに加わる可能性もある。

1区の西出は区間賞候補 3区に大森で前半型の布陣

ダイハツは以下の区間エントリーでプリンセス駅伝に臨む。
1区(7.0km):西出優月
2区(3.6km):村尾綾香
3区(10.7km):大森菜月
4区(3.8km):西澤茉鈴
5区(10.4km):松田瑞生
6区(6.695km):村松灯

“マラソンのダイハツ”の中で1区の西出は、3000m障害をメイン種目とする選手だ。今年は1500m、3000m、5000mで自己新をマーク(5000mは2回)。本職の3000m障害でも3年ぶりに9分50秒を切り、「自己ベスト(9分38秒95の日本歴代4位)が見えるところまで来た」(自社ホームページ)と手応えを得ている。

西出の1区起用は加世田の故障以前から決まっていた。「昨年のクイーンズ駅伝1区で(区間賞選手と21秒差の)区間9位と役割を果たしましたし、5000mの記録も安定性も高くなりました」と山中美和子監督。「ラストの切れがある選手なので、1区の6kmまで我慢して集団に付いて行って欲しい。ラスト500mまで来たら区間賞を取れるよ、と言っています」。

大森は3月の名古屋ウィメンズマラソンで、2時間25分36秒の今季日本7位記録で9位、自己記録を1分18秒更新した。7月のホクレンDistance Challenge千歳大会5000mでも15分27秒
27と、大学3年時の15年に出した15分28秒32を実に10年ぶりに更新した。

「大森がここまで(ケガなく)1年を通じてレースに出て、コンスタントに練習したのは入社して初めてです。探究心が強く色々な本を読んだり情報を入手したりして、まだまだ上を目指す意欲が結果につながりました」。

クイーンズ駅伝も含めダイハツエース区間の3区は、松田、細田あい(現エディオン)、加世田が近年走ってきた。大森の3区は初めてだが、山中監督は「松田を1区にして大森を3区に、と考えたことも何度もありました。今回は何の抵抗もなく3区に決められました」と信頼を寄せる。

山中監督は今回のメンバーを「前半型のオーダー」だと言う。「クイーンズと違ってプリンセスは、3区間に主力を置けるチームは多くありません。前半である程度はチーム数を絞りたいですね」。

目標は「5番くらい」と山中監督は設定している。西出と大森の好調コンビを投入する前半を、3位以内で終えたいところだろう。

カギを握る昨年の大学女子駅伝のヒロイン

6区のルーキー村松と、5区のベテラン松田の2人が、残念ながら良い状態ではない。村松は昨年全日本大学女子駅伝、富士山女子駅伝の2冠を達成した立命大のキャプテン。自身も全日本大学女子駅伝3区で区間賞&区間新と快走した。その村松がダイハツ入社後は、5000mで16分を切ることができていない(自己記録は15分36秒98)。

「学生ではトップレベルでしたが、実業団では太刀打ちできていません」と山中監督。「気持ちも引いてしまって、負のループに陥っている感じです。しかしここに来て状態が良くなっていますし、駅伝への適性は高い選手です。思い切って走ってほしい」。

松田は20~22年の国内マラソンで3連勝し、22~23年の世界陸上と東京マラソン3大会でも日本人トップを続けた。“マラソンのダイハツ”の象徴的な選手。24~25年は2年連続代表を逃しているが、昨年9月のベルリンでは2時間20分42秒の自己新で走っている。今季はハーフマラソン中心に出場。7月の函館ハーフマラソンに1時間09分48秒で優勝、9月のコペンハーゲンは1時間10分03秒(13位)だったが、気象条件を考えると悪い結果ではなかった。

しかし帰国後に体調を崩してしまった。「発熱して1週間寝込んでしまいました。回復してからは冬のマラソンに向けて、低強度でじっくり脚作りをしているところです」(山中監督)。それでも25km走の最後を3分20秒まで上げたり、1kmを何本か行うメニューでは3分03秒で走ったりできている。駅伝への準備もできつつある。

外国選手のいないダイハツが、インターナショナル区間の4区で順位を落とすのは仕方がない。だが西澤茉鈴(21)がそれを最小限にとどめることができれば、タスキを上位で5区の松田につなぐことができる。松田の気持ちに火が点けば走りも変わってくるだろう。

先輩後輩の絆が“駅伝の力”に

駅伝は個人種目の記録の足し算ではなく、プラスアルファの“駅伝の力”を発揮したチームが強い。

村松にとって力となるのは、立命大の先輩である大森と同じチームで走ることだろう。学年は9つ離れているが、昨年の立命大の全日本大学女子駅伝優勝は、大森の4年時(15年)以来9年ぶりの優勝だった。村松のダイハツ入社は「本人がマラソンをやりたい」(山中監督)ことが一番の理由だったが、大森もダイハツの練習スタイルなど、チームの特徴を入社前から話していた。

「その2人は考え方も似ていて、村松は大森になんだかんだと相談しています。大森も以前、学生時代との違いに悩んだことがあって、それを克服して今の大森があります。村松の今の成績も、スタッフから見たら練習通りなんですが、本人には(試合になれば走れるという)過信があるように思います。今の自分をしっかり理解できれば、何をすべきかわかるはずです。今はもがいていますが、大森からその辺を学べれば良い方向に行くと思いますね」。

プリンセス駅伝で好走できれば、実業団選手として成長するヒントを掴むことができるだろう。

出身校の先輩後輩ということなら、大森と松田も大阪・薫英女学院高で1学年違いだった。後輩の松田が高校を卒業して先にダイハツに入社し、10000m、マラソンと日本代表入り。競技力では先行し、大森はケガも多く伸び悩んだ。しかしこの2~3年は大森も充実してきた。2人の関係性が成熟してきたのか、山中監督の目には「2人とも大人になった」と映っている。

「30歳を超えてお互い頑張ってきたこと、苦しんできたことが、戦友のようにわかるのだ
と思います。若い選手たちも増えて、前田彩里(33)も含めた3人で、色んな気遣いができるようになってきました」。

大森がダイハツの3区を走るのは初めてだが、もう1つの長距離区間の5区は一度だけ走ったことがある。18年のクイーンズ駅伝で3区を松田、5区を大森が担った。松田は区間7位でもチームを4位へと1つ上げ、大森は区間3位で6位に落ちていたチームを3位に浮上させた。松田に不安があるとはいえ、2人がプリンセス駅伝の長距離区間を走ることで、当時とは違った力を発揮する可能性がある。

大森と村松、大森と松田。2組の先輩後輩が“駅伝の力”を発揮すれば、ダイハツはピンチを軽々と乗り越えられる。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
※写真は昨年のクイーンズ駅伝

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