言葉の壁を越えて学ぶ 鳥羽商船高専で描くカーボンニュートラルな未来

2025-10-26 08:00

異なる国や文化を持つ学生たちが、一つの目標に向かって力を合わせる。
そんな光景が、秋の三重県・鳥羽市で広がりました。

鳥羽商船高等専門学校が開催した「KOSEN Global Camp」は、国内外の学生たちが英語を共通言語に、環境にやさしい“ものづくり”を通して協調性や創造性を学ぶ合宿プログラムです。
1週間にわたる活動では、SDGsの理念を取り入れたワークショップや、企業見学、万博でのフィールドワークなど、学びの場が多方面に広がりました。

初めはお互いの言葉や考え方の違いに戸惑いながらも、翻訳アプリやジェスチャーを使って意思疎通を重ね、やがて自然と笑顔が増えていく――。
短い期間の中で、学生たちは「伝えよう」「理解しよう」という姿勢を育み、国や文化を越えて絆を深めていきました。

それは単なる英語研修やものづくり体験ではなく、未来を共に創る力を体感する時間。
グローバルな時代を生きる若者たちにとって、大きな一歩となる経験になったようです。

グローバルな学びが交差する場所 ― KOSEN Global Campとは

国籍や文化の違いを越えて、学生たちが一つの目標に向かう——。
そんな国際的な学びの場として注目を集めているのが「KOSEN Global Camp」です。

このプログラムは、全国の高等専門学校(高専)と海外の教育機関が参加する短期合宿形式の教育プログラムで、今年は三重県鳥羽市にある鳥羽商船高等専門学校で行われました。期間は9月20日から26日までの1週間。日本国内の学生に加え、ベトナムやタイなど海外からも学生が参加し、英語を共通言語に協働しながら活動を進めました。

目的は、国際社会で求められる「協調性」「発想力」「実践力」を育むこと。
語学力の向上だけでなく、実際の社会課題を題材にしたPBL(課題解決型学習)を通じて、自ら考え、行動する力を身につけることを目指しています。

鳥羽商船高専では昨年度に続いて2回目の実施となり、前回よりもさらに多国籍・多分野の学生が集まりました。
英語を介したディスカッションや共同制作を通じて、言葉や文化の違いを超えた学びの場が広がったようです。

環境にやさしい未来をつくる ― 学びのテーマは“資源アップサイクル”

今年のプログラムで掲げられたテーマは、「資源アップサイクルによるカーボンニュートラルアクション」です。
限られた資源を有効に活用しながら、環境負荷を減らす“ネイチャーポジティブ”な未来をどう実現していくか――。学生たちはこの課題に向き合い、英語を使いながらアイデアを形にしていきました。

活動では、SDGsの理念を踏まえた実践的なワークショップを展開。
グループごとに意見を出し合い、資源の再利用や新しいものづくりの方法を検討しました。3DCADを用いた設計や試作など、工学的な視点からもアプローチし、発想力と技術力の両面を養う機会となりました。

また、開催期間が大阪・関西万博と重なっていたこともあり、学生たちは万博会場を訪問。各国のパビリオンで、世界が取り組む環境・エネルギー問題への挑戦を学びました。さらに、三重県伊賀市にあるDMG森精機株式会社 伊賀工場を訪れ、最先端の製造現場を見学。グローバルに活躍する企業の姿勢に触れ、学びを現実社会へとつなげる貴重な経験になったようです。

SDGsやカーボンニュートラルといったテーマは、教科書で学ぶだけではなかなか実感しづらいものです。
しかし、こうした体験型プログラムを通じて、学生たちは「自分たちにできる小さなアクション」から地球の未来を考える視点を得たのではないでしょうか。

言葉を越えて生まれるチームワーク ― 学生たちが得た気づき

今回のプログラムで印象的だったのは、学生たちが互いの言葉や文化の違いを乗り越えながら協力し合う姿です。
英語に自信のない学生も多く、最初は意思疎通に苦労する場面もあったようですが、身振り手振りや翻訳アプリを活用し、次第に自然なコミュニケーションが取れるようになっていきました。

参加した学生からは、「最初は緊張したけれど、相手の意見を理解しようとするうちに、伝えることの大切さを学んだ」「チームの中で自分の役割を考え、リーダーシップを取る経験ができた」といった声もありました。
それぞれの国や背景を持つ仲間と過ごす中で、言語よりも“協調する姿勢”こそが国際的な活動には欠かせないことを実感したようです。

また、ラボワークでは3DCADを使って試作を行うなど、実際のものづくりを通して創造力を発揮する場面もありました。アイデアを共有し合い、完成に近づくにつれてメンバー同士の絆も深まっていったようです。

最終日には発表会が行われ、各チームが自分たちの成果を英語で発表。
言葉の壁を越えて学び合った経験は、学生たちにとって何よりの自信となったに違いありません。

国境を越えて、未来をともに描く

短い合宿の中で生まれた交流や学びは、学生たちにとって忘れられない経験になったはずです。
文化も言葉も違う仲間と力を合わせた日々は、きっとこれからの人生において大きな糧となっていくでしょう。

英語を使って議論し、環境をテーマにものづくりを行う――。
その過程で培われたのは、単なる知識や技術だけではありません。
相手を思いやり、異なる意見を受け入れながら、ひとつの答えを見つけていく「協調の力」です。

KOSEN Global Campは、学生たちが未来の社会に向けて自らの可能性を広げるための小さな一歩。
鳥羽の海から世界へ。
次代を担う若者たちの挑戦は、これからも続いていきます。


鳥羽商船高等専門学校について

明治8年(1875年)に前身となる航海測量習練所が創設され、1881年に三重県鳥羽町で鳥羽商船黌として創立されました。
日本にある5つの商船高専の中で最も歴史が古く、140年以上にわたり海洋教育を担ってきた高等専門学校です。 現在は「商船学科」と「情報機械システム工学科」の2学科を設置し、科学的思考と高度な知識・技術を持つ人材を育成しています。
地域社会から世界まで幅広く活躍できる技術者の育成を目指し、実践的な教育環境を整えています。

ウェブサイト:https://www.toba-cmt.ac.jp/

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