万博への思い、行った人と行かない人でどう違う?~TBSの専門家が分析「データからみえる今日の世相」~【調査情報デジタル】

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2025-11-08 08:00
万博への思い、行った人と行かない人でどう違う?~TBSの専門家が分析「データからみえる今日の世相」~【調査情報デジタル】

今年(2025年)4月13日に開幕した「大阪・関西万博」。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、10月13日に184日間の会期を終えてフィナーレを迎えました。

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公式Webサイトの発表によると、会期全体での累計来場者数は29,017,924人、うちAD証(関係者入場証)入場者数が3,438,938人とのこと。

一般来場者数は、差し引き25,578,986人。その数の多さに驚く前に、こんなに細かい数字が出ることに、まず驚き。

細かい人数が出るのは、入場券を電子化したおかげのようですが、23年11月末に始まった入場券販売は当初苦戦。万博IDの登録とか、入場券購入後の来場予約とか、「電子入場券は『分かりにくい』といった声が出て、結局、紙の入場券が発売」されました(朝日新聞、25年4月13日)。

前回1970年の大阪万博を直接体験していない筆者にとって、今また万博をする必要性がよく分からず、入場券販売の伸び悩みも冷ややかに受け止め。それで結局、大阪・関西万博には行かず終(じま)い。

新聞記事によれば「個性豊かなパビリオンや大屋根リングの壮大さもあり、実際に行った人と、行かなかった人とで、万博の見方は分かれたように感じる。その入場者は近畿に偏った。予約システムの難しさもあり、雰囲気を体感できた人は限られた」(朝日新聞、25年10月14日)とのこと。

とはいえ、「開幕前、赤字が懸念された万博の運営収支は230億~280億円の黒字となる見通し」で、「公式キャラクター『ミャクミャク』のグッズの売れ行きが好調だったことも大き」いとのこと(読売新聞オンライン、25年10月14日)。世間的には「万博は成功した」とする雰囲気もある感じ。

さて、あなたは大阪・関西万博に行きましたか、それとも行きませんでしたか?そして、万博をどう思っていますか?今回はそうした「万博への思い」をデータで探ってみます。

事前の盛り上がりは近畿のみ

この連載でよく取り上げるTBS生活DATAライブラリ定例全国調査(注1)で今回の万博を取り上げたのは、2023年から。「近年話題になった商品・サービスや用語など」で、回答者が「知っているもの」をいくつでも選ぶ質問の中に「大阪万博」が入っていました。

23年11月と24年11月にその質問をし、全体および地域別に結果を比べてみたのが、次の棒グラフです(注2)。

万博開幕の1年半前(23年11月)と半年前(24年11月)を比べると、全体では認知が65%から69%に微増、開催地の近畿では8割超と断トツ。近畿以外だと、1年半前はどこも6割前後で、半年前に東日本で若干認知が増え、首都圏では7割超え。一方、西日本ではほとんど変わらず。

この質問で「大阪万博」を選ばなかった人が、文字通り「万博やその開催について全く見聞きしていない」のか、「名前は聞いたが、詳しくは知らない」のかはよく分かりません。

一般的に6~7割の人が「知っている」なら、広く認知されているほうだと思います。ただ、事実上、国を挙げたプロジェクトである大阪・関西万博なので、開催半年前の認知が8割越えは近畿だけというのは、事前の全国的な盛り上がりが今ひとつだった、と言わざるを得ない気がします。

万博への関心―始まれば増えていく

大阪・関西万博は事前の盛り上がりに欠けていたとして、始まってみたらどうだったのか。

ここで、TBS生活DATAライブラリ定例全国調査には、首都圏の回答者パネルへの定期的な追加調査があります。2024年11月実施の全国調査では、首都圏回答者の半分ほどが、万博の開催前から開催中にあたる25年2月・5月・8月の追加パネル調査にも協力(注3)。この追加パネル調査で、大阪・関西万博への関心をその都度調べ、その推移を男女別にまとめてみたところ、次の帯グラフのようになりました。

首都圏の回答ということを念頭にグラフを眺めると、万博開幕2か月前の2月時点で、男女とも8割程度が「関心なし(あまり+全く)」と回答。これでは前売り券の販売が伸びないのも致し方なし。

公式Webサイトの「おしらせ」にある公表データの筆者集計では、開幕の4月13日(日)からゴールデンウィーク直前の4月25日(金)までの13日間の、累計一般来場者数は1,039,260人、1日当たりだと79,943人。4月で1日の一般来場者数が10万人を超えたのは、初日と26日、28日の3日だけでした。

この状況が「逆に来場者の満足度を高めたと(日本国際博覧会)協会関係者はみる。協会による4月の来場者調査で、『満足』と答えた人が8割に上ったからだ。来場者らの好意的な口コミも広がり、来場者は5月以降、安定的に10万人を超えるようになった」(朝日新聞、25年10月14日、括弧内は筆者注)そうです。

なるほど、上の帯グラフでも、5月以降は関心を持つ人が増え、8月の「関心あり(非常に+やや)」は男性で3割弱(2月の1.7倍)、女性で3割強(同2.5倍)まで増加。しかし、裏を返せば、夏休みでかき入れ時の8月に、男女とも6割程度が「関心なし」層だったともいえるわけですが……。

行った人は絶賛、行かない人はお金にシビア

「百聞は一見に如かず」といいますが、万博も行ってみれば気持ちや考え方に大きな影響を受けるのかも。

追加パネル調査の集計対象753人のうち、8月調査で万博の「会場に行った」と答えた人は6%弱(42人)。この「行った人」とそうでない「その他」の人とで、万博についての意見を比較してみたのが次の棒グラフです。

すると一目瞭然、行った人の6割が「開催してよかった」、4割が「問題があっても開催する意義があった」と、その他の3倍くらい万博を絶賛。行った人の4割弱は「いつか東京でも開催してほしい」と思っていて、相当良かったのだろうと想像されるところです。

一方、その他の人の4割が「費用が高すぎる」、3割が「万博で経済的なうるおいは期待できず」と、お金の面で万博を見る目がシビア。行った人の3割が「国全体が経済的にうるおう」と考えているのとは対照的です。

「開催してよかった」の評価はこれから

万博は、良くも悪くもお祭り騒ぎ。始まってしまえば、連日何らかのニュースが流れ、「行ってよかった」「来て楽しい」という声に接すると、それなりに馴染みも出てくるもの。実際、冷ややかだった筆者の態度も、「ミャクミャクのぬいぐるみは欲しいかも」と思う程度には軟化。

「1970年の大阪万博も、次世代のデザイナーや建築家、アーティストらが自らの表現の場にして、その後の飛躍につなげた。子どもたちも好奇心や探究心を育んだ」(朝日新聞、25年10月11日)ように、今回の大阪・関西万博もお金では表せない価値があったはず。

1970年当時よりも少子高齢化が進み、格差が広がった2025年の日本。昔より豊かさの実感が持てない中、巨費を投じて開催した万博の主目的が国威高揚や経済的利益だとしたら、筆者には時代錯誤に思えます。

万博は、関わった多くの人の心に、良いと思える体験を深く刻んだ模様。そうした人の中から、この先、万博のテーマである「いのち輝く未来社会」につながる何かが生まれたとき、大阪・関西万博が真に「開催してよかった」ものになるのでしょう。

注1:TBS生活DATAライブラリ定例全国調査は、TBSテレビをキー局とするテレビの全国ネットワークJNN系列が、毎年11月に実施する大規模ライフスタイル調査です。同じ回答者にメディア行動や価値観、個人材・世帯財の購入などを総合的に調査するシングルソースデータです。

注2:グラフは集計結果の数値を小数第1位まで使って作成していますが、ラベルの数字はそれを四捨五入しています。そのため、ラベルの数字が同じでも、グラフの棒の長さに若干差がある場合があります。

注3:毎年11月に行うTBS生活DATAライブラリ定例全国調査で、TBSテレビ担当の調査対象者(東京駅起点30km圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)在住の13~74歳男女)の中から、翌年の2月・5月・8月に行う追加調査も引き受けてくれる人を、首都圏追加パネル調査の対象者としています。有効回答数は、2024年11月全国調査が1,744人、追加調査は25年2月が964人、5月が941人、8月が914人でした。定例全国調査は69歳までが対象のところを、TBSテレビが独自に70代を追加しています。

今回は最初に69歳までで全国集計しているのと、同じ回答者の意見の変化を追いかけるために、追加調査の集計対象は「3回の追加調査に全て回答した69歳以下の人(753人)」としました。この753人と全国調査回答者(1,744人)の性年齢構成を比べると、前者の方が20代男性が少なめ、60代女性が多めな傾向がありましたが、全体として大きな差は認められませんでした。

引用・参考文献
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会「【更新】来場者数と入場チケット販売数について」『EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト』 2025年10月23日最終更新 

<執筆者略歴>
江利川 滋(えりかわ・しげる)
1968年生。1996年TBS入社。
視聴率データ分析や生活者調査に長く従事。テレビ営業も経験しつつ、現在は法務・コンプライアンス方面を主務に、マーケティング&データ戦略局も兼任。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。

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