輸入に頼らない“国産エネルギー”「グリーン水素」実用化に向け結集する新技術とは?【Bizスクエア】

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2025-11-19 06:30
輸入に頼らない“国産エネルギー”「グリーン水素」実用化に向け結集する新技術とは?【Bizスクエア】

日本は2050年までに二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指している。こうした中、脱炭素社会の実現の切り札との期待がかかる「グリーン水素」の活用が自治体や企業で進んでいる。

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太陽光「余った電力」で「グリーン水素」

山梨県甲府市の中心部から車で30分ほどの距離にある米倉山(こめくらやま)。

山の斜面には約8万枚の太陽光パネルが設置され、山梨県と東京電力が共同事業をおこなうメガソーラー発電所になっている。

発電所では年間約1200万kWhを発電。
これまで電力需要を超えて発電した分は無駄になっていたが、その余剰電力を使って2021年から【グリーン水素】の製造が始まった。

グリーン水素とは、太陽光や風力といった再生可能エネルギーを使って水を電気分解して製造される水素のこと。

使用する時だけでなく、製造する時も温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギーで「脱炭素社会」実現の切り札として期待されている。

山梨県企業局・渡邊憲明さん:
「水素をどう送るかといった技術開発、あとは燃料電池。ここで開発されたものが県内企業等にも影響が広がって、県内経済の発展にもつながってもらえれば」

山梨県は、グリーン水素を活用した燃料電池を載せた電動アシスト自転車の実証実験を行うなどグリーン水素の普及や社会実装に力を入れていて、販売事業もスタートさせている。

輸入にたよらない国産エネルギー

米倉山の出荷設備で大きな四角いボンベ容器に水素を貯め、トラックで工場内の水素ステーションへ運んでもらうー

こうした流れで米倉山の水素を活用してるのは、総合バルブメーカーの『キッツ』(本社・東京都港区)。

山梨・北杜市にある工場では「燃料電池フォークリフト」を導入しているが、燃料電池用の水素は、化石燃料を使って製造したものから米倉山で作られたグリーン水素に切り替えた。

『キッツ』水素ビジネスユニット長・渡邉統さん:
「水素は唯一地産地消できる。輸入に頼らない国産できるエネルギー源としての水素というのは将来間違いなく普及していくと考えている」

米倉山のグリーン水素は、『東京ビッグサイト』(江東区)でも施設で使用する電気を発電するために活用されている。

東京都は山梨県と連携し、グリーン水素を購入する企業に対し「購入金額の一部を補助」するなど、需要の創出を後押ししている。

「水素の貯蔵」独自技術で安全・低コスト

グリーン水素普及のカギとなる「貯蔵技術」も進んでいる。

『清水建設』のイノベーション拠点「NOVARE(ノバーレ)」(江東区)に導入されているのが、自社の独自技術を盛り込んだ【水素吸蔵合金タンク】だ。

水素吸蔵合金は、温度を上げ下げすることで水素を吸わせたり取り出すことができる特殊な合金で、細かく砕いたものがタンクの中に詰められている。

『清水建設 NOVARE』北川遼さん:
「産業技術総合研究所と開発したオリジナルの吸蔵合金。1つの特徴として“水素を吸った状態で火をつけても燃えない”特性を有している」

火を近づけても燃えないため取扱いに特別な資格は必要なく、安全性の面で導入のハードルを大幅に下げると期待されている。

さらに、主成分は「鉄」と「チタン」で、“レアアースを使っていない”のも特徴で、「従来のものよりもコストを下げて提供できるようになる」(北川さん)

また、清水建設は「製造」「貯蔵」燃料電池による「発電」を1つにまとめたグリーン水素エネルギー利用システム【Hydro Q-BiC(ハイドロキュービック)】も開発。
大阪・関西万博の水素サプライチェーンモデルとして採用された。

北川さん:
「ハイドロキュービックの研究開発が2040年の普及を見据えてスタートしたプロジェクトだったが、想定よりも実はかなり早く来ているので2030年とかに向けて今動き出さないといけない」

「都心でも安全に設置できる」

8月、東京・港区赤坂にある『TBS放送センター』に清水建設の水素吸蔵合金タンクが搬入された。

『赤坂熱供給』髙木盛正社長:
「都心の地下でも安全に置けるのが最大の特徴」

TBS放送センターや近くの商業施設、住宅などに冷水・蒸気・電力などを供給している『赤坂熱供給』では、2026年1月から米倉山のグリーン水素を、都心の赤坂の「地域冷暖房システム」で使うことを計画している。

都市ガスとグリーン水素を混ぜて燃やして熱をつくるボイラーも導入し、グリーン水素と都市ガスの割合は50%ずつ。排出するCO2を大幅に削減する。
グリーン水素を都心部の地域冷暖房システムで複合的に使用するのは日本初の試みだ。

髙木社長:
「都心部にこのようなものを導入するのは大変なことだが、我々のような実際に化石燃料を燃やしてエネルギーを発生しているところは、化石燃料の使用を削減しなければならない国や東京都の長期的な方針がある。その中でグリーン水素は最適なものではないかと思う」

また、「燃料電池」も設置していて、災害発生時にはグリーン水素を使って発電し「熱供給プラントの電源」として活用する。

2030年見通しでは「生産量が大幅増」

作る・運ぶ・貯める・使うそれぞれの場面で新しい技術を用い、1つのシステムとして利用が進む水素だが、製造方法などによって種類が分かれる。

▼化石燃料を燃焼させたガスから製造
⇒【グレー水素】製造中に大量のCO2が発生
⇒【ブルー水素】製造中に発生するCO2を回収・貯蔵
▼再生可能エネルギーを使って水を電気分解して製造⇒【グリーン水素】

どう作られるかで環境負荷が変わってくるわけだが、IEAの報告書では、「2023年の世界の水素生産量」9700万トンのうち、水を電気分解してつくられる水素はわずか10万トン。大半を環境負荷の大きいグレー水素が占めている。

2030年の見通しでは水を電気分解してつくられる水素の生産量は23年の492倍(4920万トン)になるとされていて、その中でも再生可能エネルギーを使ったグリーン水素の増加が期待されている。

企業や自治体で活用が進むグリーン水素。
まだコスト面など課題はあるものの、「脱炭素社会」実現に向けた動きが広がっている。

(BS-TBS『Bizスクエア』2025年11月15日放送より)

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