タイで深刻化する“人身取引” なぜ少女は日本で違法労働を? 祖母が語った悲痛な思い…糸を引く現地ブローカーを直撃【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-11-26 14:07

タイのSNSに掲載された『日本14日間で30万円』の文字。日本の風俗で働くことを促す求人広告です。タイ国籍の当時12歳の少女が都内のマッサージ店で違法に働かされていた事件。私たちは女性たちを斡旋しているとみられるブローカーに接触。人身取引の現場に迫りました。

【写真を見る】人身取引の被害にあったタイ東部に住む30代女性

タイの12歳少女が人身取引被害者に なぜ日本で違法労働を?

人身取引の被害女性
「目的地に向かう途中、ブローカーから『性労働をしてもらえませんか?』というメッセージが届いたんです」

タイで起こる、人身取引。

現地のブローカー
「あなたが働きやすい店でいいよ。店によって違うから。東京には“隠れマッサージ”専門のお店があります」

タイから東京に、女性たちを斡旋しているとみられるブローカーの存在も。12歳の少女が人身取引の被害者となった背景に迫ります。

東京・文京区のマッサージ店経営・細野正之容疑者(51)。11月4日、風俗店の営業が禁止されている地域で、タイ国籍の30代の女性従業員に、性的なサービスをさせた疑いがもたれています。

タイ国籍の当時12歳の少女は、この個室マッサージ店で性的なサービスをさせられ、ひと月余りで61人を接客したとみられています。

少女はなぜ、違法に働かされてしまうことになったのでしょうか?

少女の出身地へ 祖母が語った悲痛な思い

私たちは少女の出身地、タイへ向かいました。

記者
「バンコク市内から車で約5時間走ってきましたが、この先に少女が住んでいた村があるということです」

クーラーのない木造の小屋。少女はここで祖父母と妹の4人で暮らしていました。

祖母は事件について…

少女の祖母
「(少女の母親は)私たちのためにお金を稼いで食べさせてくれた。怒る理由がありません」

少女の母親は、少女の祖父母を含め、家族の生計を一人で支えていたといいます。

少女の祖母
「母親は『子どもも育てなくてはいけないし、大きくなってきているから頑張って稼がなきゃ』と言っていた」

現地で人身取引の被害にあった女性や子供を保護する団体も、「貧困」が理由の一つだと話します。

パウィーナ・ホンサグン子供女性財団 パウィーナ代表
「海外に出稼ぎに行く人は、100パーセント“貧困が理由”で行くでしょう」

これまでに日本や台湾、ベトナムなどに、27回の渡航履歴があったという少女の母親。どうやって日本に出稼ぎに来ていたのでしょうか?

現地ブローカーに接触 SNSで“高額報酬”求人

今、タイ国内のSNS上で増えているのが…

フェイスブックより
『日本14日間 6万バーツ(約30万円)』

高額な報酬をうたい、日本への渡航を促す求人募集です。わたしたちは、ブローカーへの接触を試みました。すると、その直後…

JNNバンコク支局記者
「返信が返ってきました」
「手数料で5000バーツかかると書いてあります」

さっそく、紹介料として日本円で2万5000円ほどが必要だと返信がありました。日本に渡れば高額な報酬が得られるという話は、本当なのでしょうか?

ブローカーに尋ねると…

現地のブローカー
「あなたが働きやすい店でいいよ。店によって違うから。(性的)マッサージを全くやらない店もあるし、やる店もあるし。東京には“隠れマッサージ”専門のお店があります。(Q.でも私はビザがないです)取らなくていいよ。観光ビザで行けるから」

日本に15日間の観光ビザで入国した場合、働くことは禁止されていますが、ブローカーの女性は「仕事ができる」と説明。さらに、17歳を装って話を聞くと…

現地のブローカー
「(Q.まだ17歳なんです)あなたが準備できれば行けますよ。先に仕事を予約しておくといい。今、日本は年末で仕事がすごく多いからね」

未成年でも働くことができると勧誘してきたのです。

「性労働をしてほしい」 女性を脅かす“人身取引”

こうしたSNSの求人に応募し、人身取引の被害にあった女性も。タイ東部のチョンブリー県に住む30代の女性。

人身取引の被害女性
「自分自身を振り返ってしまいます。12歳の少女がどんな扱いを受けていたかを考えると…」 

女性はシングルマザー。「マッサージ店の接客」と言われ、友人2人と共にミャンマーに出稼ぎに向かいましたが… 

人身取引の被害女性
「目的地に向かう途中、ブローカーから『性労働をしてもらえませんか?』というメッセージが届いたんです。意味がよくわからなくて、『具体的にどういうことですか?』と聞いたら、『中国人客相手に性的サービスをする』と答えたんです」

1か月ほど働き、女性は脱出を決意。ブローカーから逃げ回る生活を送り、助けを求めた結果、無事、被害者団体に保護されました。

約束のなかった仲介手数料など、多額の金銭も要求され、身も心もぼろぼろになったと女性は話します。

人身取引の被害女性
「逃げたら殺すぞと脅されました。食べることも眠ることもできませんでした」

「買う側」の規制強化は? 専門家「タイだけの問題ではない」

今回のタイ人少女の事件を受け、日本では「買う側」への規制強化を求める声が広がっています。

専門家は「タイだけでの問題ではなく、私たちが積み残してきた問題」だと強く訴えます。

大東文化大学 斎藤百合子特任教授 
「そういう人たちを食い物にする日本の買春社会がある。問題は、私達の社会の方にあるんじゃないか。買春を禁止するっていう法律の動きは大事だと思います。それと同じぐらい、もしくはそれ以上に大事なのが、被害者の保護と支援です」

「実態を調べて」規制強化に伴う懸念も 

小川彩佳キャスター:
売春の買い手側に罰則がないという問題について、国会でも議論になっています。

11月11日の衆議院の予算委員会で、有志の会の緒方議員が、「買い手側への罰則」の検討を高市総理に指示するよう求めました。そして高市総理は、その場で法務大臣に指示し、平口法務大臣は「必要な検討を行う」としました。

見直しは必要だと感じる一方、こうした罰則の強化、規制の強化によって、より売春行為自体がアンダーグラウンドに潜って見えなくなってしまうという懸念もあります。売り手となってしまった方たちに、しわ寄せが行くような形には進まないで欲しいなとも感じますが、真山さんはいかがですか。

小説家 真山仁さん:
やっぱり、買う側の規制強化をやるのは当然だと思います。日本だけではなく、世界的に「公娼制度」という、いわゆる売春行為をある場所だけ認めてきたという時代があって、それが全部禁止になった段階から、おっしゃる通り地下に潜り始めたわけですよね。

「性的サービス」という意味のわからない言葉になってしまって、何をやってるかよくわからないという問題は、何をもって買春・売春と言うのかを、もう少し明確にしなければならない。

ただ今回のタイの12歳の少女の場合は、未成年であり、観光ビザを平気で利用してやっているという問題。自分も小説でそうしたテーマを扱っていたので、世界的には非常に問題になっているんですよ。

スパイ小説や連続ドラマなどでは、この売春シンジケートが流れているようなことが、大々的に扱われていて。誘拐して、薬漬けにして売り飛ばすみたいな。これがエンタメに出てきているということは、相当深刻な広がりがあるということ。なぜか日本だけがこういうテーマがなかなか出てこなかったんですよ。

小川キャスター:
ようやく目に見える形で浮かび上がってきたと。

小説家 真山仁さん:
この子だけが「かわいそう」ではなくて、やっぱり何が起きているのかということを、日本も規制強化という話ではなく、まず実態を調べて欲しいです。

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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
近著に政治家のリーダーシップを描いた「アラート」

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