シニア猫がなりやすい『甲状腺機能亢進症』5つの知識 原因や症状から早期発見するためのポイントまで

2025-12-03 20:20

シニア猫に多く見られる甲状腺機能亢進症は、日常の小さな変化から気づく場合が多い病気です。放置すると体への負担が大きくなるため、飼い主さんが正しい知識を持ち、早期発見につなげることが重要です。今回は、症状の特徴や原因、気づくためのポイントをわかりやすく解説していきます。

猫の甲状腺機能亢進症で知っておきたい5つの知識

自動給餌器の横に立つ猫

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで代謝が異常に高まり、全身にさまざまな影響が出る病気です。高齢猫に多く見られるため、シニア期に入った猫と暮らす飼い主さんは、基本的な知識を持っておくと早期発見につながります。ぜひ、知っておきましょう。

1.食欲が旺盛なのに体重が減る

猫の甲状腺機能亢進症は、たくさんご飯を食べているのに、なぜかどんどん痩せてしまうという、一見矛盾した症状が見られます。これは、病気によって甲状腺から分泌されるホルモンが過剰になることが原因です。

甲状腺ホルモンの分泌が過剰になると、猫の体の代謝を異常に高めてしまいます。例えるなら、アクセルを踏みっぱなしで体がフル回転しているような状態です。そのため、どんなにたくさんのカロリーを摂取しても、体内でそのエネルギーがどんどん消費されてしまうのです。

その結果、食欲が増すにもかかわらず、体重が減るという不思議な現象が起きるのです。

2.高齢なのに急に活発になる

高齢の猫が、急に走りまわるようになったり、鳴き声が大きくなったりして「若返った」ように見えることがあります。しかし、これは甲状腺機能亢進症の特徴的な症状のひとつです。

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、神経系が過敏になり、興奮状態になります。このホルモンの影響で、高齢猫の体は休むことができず、不自然に活発になる、落ち着きがなくなるといった症状があらわれます。これは、体が過剰に活動しているためで、猫自身も非常に疲弊してしまいます。

3.多飲多尿になる

甲状腺機能亢進症になると、猫は水を飲む量(多飲)が増え、それに伴っておしっこの量(多尿)も多くなります。甲状腺ホルモンが増えて代謝が上がり、水分が失われやすくなるうえ、腎臓のろ過量が増えて尿の量が多くなるためです。

その結果、体の水分が不足して喉の渇きが強まり、さらに水を飲んで尿が増えるという悪循環に陥ります。

また、この病気が進行したり、もともと腎臓病を併発している場合は、さらに腎臓に負担をかけてしまう場合もあります。

4.さまざまな合併症に注意

甲状腺機能亢進症は、甲状腺だけの病気ではありません。他の深刻な合併症を引き起こしたり、悪化させたりする危険があります。

  • 心筋症
  • 慢性腎臓病
  • 高血圧
  • 頻脈

特に注意したいのが「慢性腎臓病」です。甲状腺機能亢進症の猫は、腎臓の異常が検査結果にあらわれにくく、見落としてしまう可能性があります。また、心筋症も注意が必要です。肥大型心筋症の猫は、心筋の肥大が重度になることが報告されています。

甲状腺の治療と同時に、これらの合併症の有無をしっかりチェックし、総合的なケアが求められます。

5.甲状腺機能亢進症になりやすい年齢

猫の甲状腺機能亢進症は、若い猫では非常にまれで、基本的に高齢猫に見られる病気です。10歳以上の猫に多く、発症のピークは12歳から13歳頃とされており、この年齢層の猫は特に注意が必要です。また、10歳以上の猫の約10%が甲状腺機能亢進症にかかっているという報告もあります。

10歳を超えた猫が急に元気になったり、食欲が増したりした場合は特に注意が必要です。定期的な健康診断で甲状腺ホルモンの値をチェックし早期発見に努めましょう。

猫の甲状腺機能亢進症の原因は?

ソファーで眠っている猫

この病気のおもな原因は、甲状腺組織の過形成と甲状腺の腫瘍です。猫では、甲状腺細胞が過剰に増殖して甲状腺が大きくなる甲状腺組織の過形成が多いと言われています。

過形成を起こす原因として、食事中のヨウ素のバランスや住環境に含まれる化学物質など、環境的な要因の関与も指摘されています。ただし原因を完全に特定することは難しく、生活全体の変化が積み重なって発症するとも言われています。

なお、悪性腫瘍が甲状腺機能亢進症の原因になるケースはまれです。

早期発見のためのチェックポイントは?

聴診器をあてられている猫

甲状腺機能亢進症の初期症状は見逃されがちですが、いくつかの特徴的な症状があげられます。高齢の猫に以下のような症状が見られたら注意しましょう。

  • よく食べるのに痩せる
  • 水を大量に飲む(多飲多尿)
  • 落ち着きがない
  • 大きな声で鳴く

また、甲状腺機能亢進症の早期発見には、甲状腺ホルモン値の検査が有効です。健康診断の際に検査をするのがおすすめです。

まとめ

鳴いている猫

猫の甲状腺機能亢進症は、高齢猫に多く「食欲があるのに痩せる」「急に活発になる」「水をよく飲む」など、一見「元気そう」に見えるサインで進行します。そのため、病気が見過ごされがちです。

放置すると心臓病や腎臓病などの深刻な合併症を引き起こし、命に関わる場合があるため、早期発見・早期治療が重要な病気のひとつです。

健康診断の際に甲状腺ホルモン値の検査をおこなうのはもちろん、日常生活で少しでも気になる症状が見られたら獣医師に相談するようにしましょう。

関連記事

猫ちゃんの目の前にボールを転がしてみたら…思わず笑ってしまうリアクションに2万いいね「性格がよく分かるw」「揺るぎないものを感じる」
『ベッドに向かおうとする黒猫』を撮っていたら…飼い主さんが思わずツッコんだ『まさかの行動』に「すっげー見てるww」「可愛すぎ」と反響
猫が寂しかった時にする5つのサイン
飼い主さんにそっと持ち上げられた猫→『胴体』を見てみると…驚きの光景に6万いいね「もしかしてお餅?」「おうどんみたいw」と話題
パパが仕事に行く準備をしていると、ネコが…朝の『微笑ましすぎるやり取り』に反響「ギックリ腰になるw」「なかなか重厚感があるボディw」

  1. 【速報】4月~11月のクマの人身被害 全国で230人 過去最多に 出没件数も過去最多 環境省
  2. トランプ氏 が“地上攻撃”を示唆…「ベネズエラが麻薬密輸」 背景に“中国の影”も、米国の“攻撃”現実性は?【news23】
  3. 【 井上咲楽 】「塩麹しこみ!」自宅で作業 フォロワー質問「前回の塩麹足していますか?」に「足してます!」と返答も
  4. サッカー日本代表・中村敬斗選手に対するストーカー行為で逮捕の女性(60代)を不起訴処分 千葉地検
  5. 目眩がして横になっていたら、犬が近くにきて…思わずキュンとしてしまう『まさかの行動』に感動「思いやりを見習いたい」「優しくて素敵」
  6. 【 工藤静香 】楽屋でドーナツ談義「仕事前じゃなかったら3種いくね」お気に入りはポン・デ・リング&チョコファッション&フレンチクルーラー
  7. 鈴木京香氏「時の人賞」を受賞! 「Precious WATCH AWARD 2025」贈賞式レポート
  8. ショートトラック 宮⽥将吾、中島未莉ら6選手がミラノ五輪へ 代表選考基準満たす 全日本選手権後に正式発表
  9. 【速報】インフルエンザ感染者数 「44.99人」今シーズン初の減少も全国で「警報」基準を超える 厚生労働省
  10. ホワイトハウス前のクリスマスツリー トランプ大統領が点灯式に出席 100年以上続く歴代大統領の伝統行事
  1. “ジャングル潜伏28年”「恥ずかしながら…」残留日本兵・横井庄一さん“潜伏続けた理由”とは「お母さんに…」【戦後80年つなぐ、つながる】
  2. 勾留中の男(54)が7階の窓から逃走 左手首に片手錠がついた状態 静岡・伊豆の国市
  3. 千葉・船橋市立小学校の事務職員(21)を逮捕 駅の男子トイレで盗撮か 千葉県警
  4. “執行猶予付き有罪判決”で釈放の当日に中学生暴行・逮捕の男(23) 別の神奈川での不同意わいせつ傷害の疑いでも逮捕
  5. 【木南晴夏】第2子出産を報告「母として、そして俳優としての木南晴夏の応援の程、今後ともよろしくお願い申し上げます」 夫は玉木宏
  6. トヨタが新型スーパーカーなどを発表 フラッグシップスポーツカー3台の世界同時発表会
  7. 中国「過去最大規模」100隻超の艦船を東アジアに展開 高市総理の発言に反発か 軍事演習など動向注目
  8. サッカー日本代表・中村敬斗選手に対するストーカー行為で逮捕の女性(60代)を不起訴処分 千葉地検
  9. 【速報】インフルエンザ感染者数 「44.99人」今シーズン初の減少も全国で「警報」基準を超える 厚生労働省
  10. “税”めぐる議論が本格化…「住宅ローン減税」「“年収の壁”引き上げ」など“高市カラー”にじむ減税政策で国民負担どうなる?一方で財源は【news23】
  11. 千葉市美浜区の団地で火事 性別不明の1人の遺体が見つかる この部屋に1人で住む80代の男性か
  12. 【DAIGO】祖父が元総理大臣 妻は北川景子 芸能界で長く活躍する秘訣は「色々な人の助けでここにいるって分かりながら生きていくこと」