本当に絶滅?九州のツキノワグマ(1987年)【TBSアーカイブ秘録】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-12-11 15:04
本当に絶滅?九州のツキノワグマ(1987年)【TBSアーカイブ秘録】

『九州地方のツキノワグマはすでに絶滅していると考えられる』(※)

【クマ類の分布図】九州地方は真っ白で生息情報がない 環境省パンフレット『クマ類の生態と現状』より抜粋

環境省の資料には前述のような表記があります。現在、日本の各地でクマによる人身被害、農作物や家畜への被害が報告されていますが、本当に九州にはクマはいないのでしょうか。
TBSの映像アーカイブには九州で捕獲された最後(?)のツキノワグマの映像が残っていました。

※環境省『特定鳥獣保護・管理計画作成のためのガイドライン(クマ類編・平成28年度)』より
(アーカイブマネジメント部 木暮健介)

1987年、大分でツキノワグマが捕殺される

1987年11月24日、大分県の祖母・傾山系笠松山の中腹で猟師がイノシシと間違えて、ツキノワグマを捕殺しました。九州でツキノワグマが捕獲されたのは実に1941(昭和16)年以来のことでした。

「九州のクマ」は、1957(昭和32)年にツキノワグマの子どもの死体が発見されて以降、確実な目撃例は途絶えていたのです。

捕殺されたツキノワグマは九州生まれ?それとも…

捕殺されたツキノワグマは詳細に調査が行われました。
その結果、推定4歳のオスで、人工飼育の経験のない野生の個体と結論されました。

しかし、頭蓋骨を他の地域のクマと比較すると「西中国山地産もしくはそれより北を産地とする」(※)とされ、他の地域から運び込まれた可能性が否定できないとされました。

※大分県 1988 『大分県祖母・傾山系で捕獲されたツキノワグマについての緊急調査報告書』より

DNA解析の結果は?

このツキノワグマは九州で生息し続けてきたものなのか、由来を明らかにするためDNAの解析が行われました。2010年に発表された論文によると、捕殺されたツキノワグマは北陸~中部地域から移入された、もしくはその地域から移入されたメスの子孫であると結論づけられました。

では、ツキノワグマはどこからやって来た?

捕獲直後の大分県の調査でもツキノワグマの歯が、檻から出ようとして齧り付いたためなのか、著しく摩耗していることが確認されていて、生きているときに捕獲された経験がある可能性も指摘されていました。

聞き込み調査でも、九州の養蜂家が本州に採蜜に来た際に捕獲したクマを観光施設に譲り渡したという話もありました。

これらのことから、このクマは本州で捕獲され九州に運ばれた後、短い期間で逃亡もしくは山に放されたものではないかと結論づけられました。

DNA検査の結果、九州のクマは絶滅。

そもそも「絶滅の基準」とは、「過去50年間前後の間に、信頼できる生息の情報が得られていない」(※)とされています。

1987年に捕獲されたツキノワグマが九州に生息していたクマではないとすれば、その前の確実な目撃例は1957年となります。そのため九州ではクマは絶滅したと環境省も結論づけているのです。
※『環境省レッドリストカテゴリーと判断基準(2020)』より

九州にいまクマがいない理由として、九州の山はそれぞれが分断されており、広い面積を生息地とするクマが生きにくかったからのようですが、九州の山は人工林が多く、クマが冬眠する際のエネルギー源となるどんぐりが実らないということも大きな要因となっているようです。

1987年に大分で捕殺されたクマは、結局のところ九州のツキノワグマの最後の一頭ではなく、本州から連れてこられた可能性が高く、故郷から遠く離れたところで、一頭でさびしく暮らしていたのでしょう。九州のツキノワグマはもっと前に絶滅してしまっていたのですから。

参考文献:哺乳類科学 50(2):177-180,2010『九州で最後に捕獲されたツキノワグマの起源』

  1. 旧ツイッター買収巡る株主訴訟 陪審がマスク氏に賠償認める評決
  2. 視聴者の声~冬季オリンピック放送へのご意見~【調査情報デジタル】
  3. 病院の診察台で笑顔を見せていた犬→『注射』と聞こえた瞬間に…もはや別犬な『わかりやすい表情』に反響「即オチ2コマ漫画で草」「可愛いw」
  4. 『ボールが突然消えるマジック』を大型犬に披露→引っ掛かるか検証した結果…「かわいすぎる」「いいリアクション」とSNSで反響
  5. 貧困対策から居場所づくりへ~全国に広がる「学生こども食堂」の活動~ <シリーズSDGsの実践者たち>【調査情報デジタル】
  6. 国防総省の取材規制は違憲 米連邦地裁 許可した職員以外への取材を事実上制限 報道の自由を保障する憲法修正第1条などに
  7. チョッパーが“世界の万能薬”になる! 国境なき医師団×トニー・トニー・チョッパー「公認サポーター就任」発表会
  8. 【脳トレ】「因」の中に紛れて1つ違う文字がある!?あなたは何秒で探し出せるかな??【違う文字を探せ!】
  9. 新年度にオススメ「最新文房具」は?キーワードは“多機能”や“はがして消す”【THE TIME,】
  10. 赤ちゃんに抗体のプレゼント 妊婦向けRSウイルスワクチンが原則無料で定期接種化へ
  1. タクシーで『女性にわいせつ行為』、生徒を殴り【けが】をさせる… 男性教諭2人「懲戒処分」
  2. トランプ大統領 ホルムズ海峡での協力「日本には憲法上の制約があるが支援してくれる」
  3. 病院の診察台で笑顔を見せていた犬→『注射』と聞こえた瞬間に…もはや別犬な『わかりやすい表情』に反響「即オチ2コマ漫画で草」「可愛いw」
  4. イラン最高指導者モジタバ師「敵に混乱もたらす打撃で亀裂生じさせた」 声明発表も姿現さず
  5. 旧ツイッター買収巡る株主訴訟 陪審がマスク氏に賠償認める評決
  6. トランプ大統領「停戦は望んでいない」 イラン攻撃で 「相手を壊滅させている最中にするわけにはいかない」と強調
  7. 新名神高速道で大型トラックが渋滞の列に追突して6人死亡 警察は身元の特定急ぐ 三重・亀山市
  8. 【速報】トランプ大統領「イランでの軍事作戦の縮小を検討」
  9. 貧困対策から居場所づくりへ~全国に広がる「学生こども食堂」の活動~ <シリーズSDGsの実践者たち>【調査情報デジタル】
  10. チョッパーが“世界の万能薬”になる! 国境なき医師団×トニー・トニー・チョッパー「公認サポーター就任」発表会
  11. 国防総省の取材規制は違憲 米連邦地裁 許可した職員以外への取材を事実上制限 報道の自由を保障する憲法修正第1条などに
  12. 『ボールが突然消えるマジック』を大型犬に披露→引っ掛かるか検証した結果…「かわいすぎる」「いいリアクション」とSNSで反響