猫をモチーフにしている『妖怪』3選 それぞれの特徴や伝説をご紹介

2025-12-13 17:00

暗闇で目を光らせながら、足音を立てずに歩く―大昔から猫は謎多き動物として認識されています。今回は、神秘的な猫を題材にした3つの妖怪伝説を紹介します。雰囲気を盛り上げるため、できるだけ暗い場所で読んでみてください…。

1.長生きすると「猫又」の可能性も!?

ミステリアスな猫

猫の妖怪と言えば、猫又が真っ先に挙がります。

猫又とは、古来、日本各地で伝承される妖怪で、大きな特徴は、年老いた(長生きした)猫に限って化け、しっぽが真っ二つに裂けていることです(2股)。

猫又には、山で暮らす猫が化けるストーリー、飼い猫が化けるストーリー、2つのパターンに分かれています。

お山出身の猫又は人間を襲う一方で、飼い猫育ちの猫又は、飼い主から大切にされたかどうかで、「恩返し」または「祟り」をシビアに振り分けると言います。最近、愛猫のお世話が疎かになりがちな方には、思わず気持ちがピリッとなる話です。

猫又伝説で有名なのは、鎌倉時代の「黒部峡谷の猫又山」です。

主人公は、もともと富士山で暮らしていた老猫で、狩り中の軍兵を殺害したため、富士権現の怒りに触れて、黒部峡谷へと追放されます。しかし、そこでも人を殺めるなど悪事を働き、ついには大勢の狩人たちが猫又退治に乗り出します。

退治に向かったものの、狩人たちは、猫又のおどろおどろしいさまに立ちすくみ、手を出すことすらできません。そのうち、攻撃を加えることなく、猫又は山から姿を消した―。

当時、猫又が立ち去ったとされる山が、現在の富山県に位置する「猫又山」(2378m)です。

行方をくらました猫又はその後、いったいどこに向かったのでしょうか?猫らしく最後まで謎のままです。

2.お家騒動にも発展した「化け猫」

暗がりを歩く猫のシルエット

猫又と並んで、よく知られるのが数々の化け猫伝説です。

猫又も化け猫の一種と言われていますが、両者で違うのは、しっぽの数です。2股に分かれた猫又に対し、化け猫は1本とされています。猫又も、化け猫も、人間の言葉を理解し、怪奇現象を引き起こすことでは共通しています。

化け猫伝説では、現在の佐賀県にまつわる「鍋島騒動」を簡単に紹介しておきましょう。

舞台は江戸時代の肥前国佐賀藩です。2代目藩主・鍋島光茂が、臣従していた龍造寺又七郎と囲碁に興じたところ、あろうことか、連敗(又七郎はKYな人物だったのでしょうか)。激怒した光茂は、カッとなって又七郎を殺害します(とんでもない時代です)。

我が息子の死に直面した又七郎の母親は、憤慨した末、自ら命を絶ちます。その滴る血を舐めた愛猫がやがて化け猫に変貌し、夜な夜な光茂の暮らす場内に出没。光茂は、自分の蒔いた種とは言え、精神的に追い詰められます。

最終的には、光茂の忠臣が化け猫退治に成功しましたが、一連のなりゆきは、猫又のような「祟り」の恐怖を感じさせます。囲碁を含めた勝負事では、つい真剣になりがちです。対戦相手によっては、多少空気を読んで「接待」することも必要かもしれません。

ちなみに、この「鍋島騒動」はフィクション色が濃厚で(歌舞伎や講談にもなっている)、史実的には、鍋島家と龍造寺家との間で起こったお家騒動がモチーフになっていると言われています。

3.猫又と化け猫のルーツとされる「仙狸」

カメラ目線のヨーロッパヤマネコ

3つ目に紹介するのは、中国の猫妖怪「仙狸(せんり)」です。

仙狸の字面だけを見ると、「タヌキ?」と勘違いしがちですが、古代中国で「狸」はヤマネコのことで、「仙」と合わさって、「仙人のようなヤマネコ」を表しています。

猫又と化け猫との明確な相違点は、年老いた末の変化ではなく、特殊能力(神通力や霊能力)を身につけるため、長い年月に渡って厳しい修行に耐え抜いた結果、妖怪として生まれ変わることです。

おそらく、修行中のヤマネコのなかには、道半ばで脱落した者もいたことでしょう。「仙狸の道も修行から!」とは、彼ら、彼女らのお互いの励まし言葉だったかもしれません。

晴れて妖怪・仙狸になったヤマネコは、巷で人間の美男美女に化けて、魅力たっぷりに誘惑し(たぶらかし)、油断させている隙に、いつの間にか、相手の精気を搾り取ったと言われています。

もしみなさんが夜更けのバーなどで、隣に居合わせた美男美女が気さくに話しかけてきたら、あるいは仙狸の生き残りかもしれません。人生を骨抜きにされないためにも、デレ顔を見せるのは、愛猫だけに留めておきましょう。

まとめ

ドラキュラに扮した白猫

今回は、猫にまつわる妖怪を3つ紹介しました。

要点を簡単にまとめると、「猫又」も、「化け猫」も、もともとは中国の「仙狸(せんり)」がルーツだった、という歴史があります。

猫が妖怪になるという話は、猫特有の神秘性、驚異の運動能力、とらえどころのなさが重なり合い、人間の想像力を刺激した結果なのでしょう。

本文で紹介した逸話にもあったように、愛された飼い猫はのちに猫又となって、飼い主さんに恩返しすると言います。

もしそれが本当だったら、いや、仮に真実でもなくても、飼い主さんは愛猫のことをいつまでも大事にしてください。少なくとも愛猫は幸せな一生を送れるはずです。

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