なぜ?FRB利下げも“続く円安”…長引く「物価高」や「円安」2026年どうなる?【Bizスクエア】

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2025-12-19 06:30
なぜ?FRB利下げも“続く円安”…長引く「物価高」や「円安」2026年どうなる?【Bizスクエア】

経済対策やこの後予想される日銀の利上げを受け、2026年の物価・円安・経済はどうなっていくのか。専門家からは「サナエノミクス」の“矛盾”を懸念する声も…。

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高市政権の経済対策は「矛盾する2つ」

政府の経済政策の裏付けとなる2025年度補正予算案が、11日の衆議院本会議で与党と国民民主・公明の賛成多数で可決し、参議院に送られた。

【物価対策】⇒▼電気ガス料金補助▼ガソリン暫定税率廃止▼子供1人2万円給付など
【強い経済】⇒▼AI開発▼造船業の再生・強化など

野党の主張も取り込み、一般会計の総額は約18.3兆円と24年度より4兆円以上膨らんでいる。

また、いわゆる「年収の壁」の見直しでは、現在160万円の所得税の非課税枠の引き上げを巡り、12日、自民・国民民主の税制調査会長が協議。

政府与党案は、基礎控除と給与所得控除の非課税額を「直近2年間の物価上昇率」をもとに2年に1回引き上げ、26年度の税制改正で168万円に引き上げる方向で調整しているが、178万円を目指す国民民主からは…

国民民主・古川元久税調会長:
「引き上げ幅やどこまで引き上げの対象になるのか、まだまだ議論を続けていかなくてはならない」

こうした議論も含め、高市政権の経済対策を「矛盾する2つをやろうとしている」と指摘するのは、金融・財政政策が専門の矢嶋さんだ。

『ニッセイ基礎研究所』エグゼクティブ・フェロー 矢嶋康次さん:
「高市政権はある程度インフレを許容して経済を温める“高圧経済”を目指しているので、インフレが起こるという事。つまり<インフレが起こることをする>のと<インフレ対策をする>という矛盾する二つをどうバランスをとっていくのか。難しいというか、解がないような気がする」

日米「金利差縮小」方向でも“円高の兆し”ナシ

市場も、政府の「積極財政」路線に警戒感を強めている。

▼長期金利⇒“18年半ぶり”に「2%目前」まで上昇
▼ドル円相場⇒「一時157円台」になるなど政権発足後は円安が進行

そうなると心配なのが「インフレ」だ。
生鮮食品を除く10月の消費者物価指数は、前年同月比「3.0%」と2か月連続で上昇率が拡大している。

そんななか日銀の植田総裁は9日夜、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズのイベントに出演。「インフレが加速する兆候はない」としながらも…

植田和男総裁:
「食料インフレや為替相場の弱さが予想以上に長期化し、インフレ期待に波及する
とインフレ状況は一変する可能性がある」

物価上昇への警戒感を示したことから「12月利上げ」観測が強まり、折しもアメリカのFRBは10日、3会合連続で「利下げ」を決定。

日米の金利差は縮小する方向だが、“円高の兆し”はない。
その理由について番組の為替予想でおなじみの山田修輔さんはー

『バンクオブアメリカ』主席為替ストラテジスト 山田修輔さん:
「実質金利で見たときにアメリカはしっかりある。日本の金利がたとえ0.25%程度変わっても、あまり効果がないという金利の水準」

その上で、2026年の日銀の利上げの動向と為替相場についてはー

山田さん:
「12月に利上げして次どうするのかに目線は移っている。例えば26年4月の会合にも利上げの可能性があれば、多少円高の戻りの期待は続く可能性はあるが、市場では『次の利上げは6月7月』というのがメインシナリオになっている。なので現段階ではもう少し円安気味に進むのではないかというのが我々のシナリオ」

「1-3月期は基本的には150円台後半から160円台前半の水準」で見ているというが、年初の円相場で円安は進むのかー

山田さん:
「0.5⇒0.75%の利上げに結構時間がかかっていて、だとすると0.75⇒1%も少なくとも同じくらい時間がかかるのではないか。日銀としては経済状況が良く2%の物価安定の確度が上がってくればペースを速めることもできるといったニュアンスは伝わった方が、為替相場、円相場の安定には繋がっていくと思う」

米国次第で「円安バイアスが強くなる」

ニッセイ基礎研究所の矢嶋さんも、市場が考える6、7月の利上げが早まれば、「円高のバイアスは確かに強くなるかもしれない」とする一方で、“円安のバイアス”が強くなる可能性も口にする。

『ニッセイ基礎研究所』エグゼクティブ・フェロー 矢嶋康次さん:
「アメリカが利下げして金利差が縮小しているにも関わらず、円高にならないということを考えると、26年にもしアメリカの利下げ観測がなくなったときに、円安のバイアスはもっと強くなるだろう。日本銀行や日本サイドでできる話で、26年の前半をどうするかは結構大きい」

2026年の「物価」「賃上げ」どうなる?

では、2026年の物価や経済の情勢はどうなっていくのだろうか。

ニッセイ基礎研究所の予測では、【消費者物価指数の上昇率】はこれまでの急激な上昇から緩やかに低下し、26年にかけて2%前後で安定する見込みだ。

『ニッセイ基礎研究所』矢嶋康次さん:
「これは制度的要因が大きい。経済対策で電気料金など色々下げるので、ここずっと続いていた3%ぐらいから2%ぐらいまでには落ちていくのではという予測」

そして【賃上げ】は、25年の5.25%に続き26年も高水準が維持される見込みだ。

<春闘賃上げ率 2026年予測>
▼予想が高い8機関⇒5.33%
▼予想が低い8機関⇒4.50%
▼平均⇒4.88%

※日本経済研究センターより

矢嶋さん:
「5%ぐらいの賃上げというのは過去から見ても非常に高く、日本全体の賃金に置き換えると大体2%ぐらい。なので消費者物価指数が2%ぐらいになるとすると、実質賃金がプラスになる期待もある。ただ問題になるのは、高市政権の“インフレ許容”で消費者物価指数に上方バイアスがかかる点。また、わずかな実質賃金のプラスなら『インフレをもう少し何とかして欲しい』という声があがる。価格低下の対策をやればやるほど需要喚起になってインフレ率が上がるという矛盾が出てくるので、これをどうするか」

――高市総理の国会答弁など聞いてると、物価を下げることよりも、それ以上に成長すればいいと。そちらに力点がある

矢嶋さん:
「高市さんは、供給を何としても上げないと日本は強くならないと。それは正しいと思う。インフレを許容して経済をもっともっと熱くさせれば、民間は設備・人手不足対策をやるし、個人はより賃金の高くて生産性の高いところに移動して結果として日本は供給力が高くなるというのを目指している。ただインフレを許容するので、『インフレ対策をやってくれ』という話と真逆の方向に経済政策を振っているということ」

懸念される「財政悪化」と「金利上昇」

日本を強くするために危機管理投資をし、それによりインフレ対策が益々必要になり財政が膨らむ。それがマーケットの懸念材料となり「円安」「長期金利上昇」にー

――2%の物価上昇であれば、2%近い長期金利でもおかしくはない。何が問題なのか

『ニッセイ基礎研究所』矢嶋康次さん:
「経済が良くなれば長期金利が上がるのは自然な姿で、別に今2%になったからといって何か世の中がおかしくなるというわけではない」

ただ、矢嶋さんが懸念するのは、今後の長期金利の上昇に「財政が持ちこたえられるか」だという。

矢嶋さん:
「名目成長率が上がれば税収が増えるので長期金利より名目成長率が高ければ財政は非常に良い状況で、今はものすごく良い。今後問題なってくるのは、経済が良くなってくれば自然と長期金利は上がってくるという点」

つまり、名目成長率から長期金利を引くと当面はプラスで「債務縮小」方向だが、近い将来にはひっくり返り「債務拡大」に。高圧経済で増えた税収を投資に回そうとしても、投資の効果が出るまでの数年のタイムラグを持ちこたえられるかだという。

矢嶋さん:
「政府主導で投資を始めて、成果が出てくれば名目成長率も上がる可能性はあると思うが、それがいつ出てくるのか今のところ見えない。なので財政の面ではさらに不安になって、金利が上がったときに『まだ上がるのでは』という懸念が出てしまうということ」

(BS-TBS『Bizスクエア』 2025年12月13日放送より)

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