「イタチごっこで円安修正進まない」可能性も…次の利上げは26年秋以降か【Bizスクエア】

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2025-12-24 06:30
「イタチごっこで円安修正進まない」可能性も…次の利上げは26年秋以降か【Bizスクエア】

利上げ決定しても進む円安。円高への反転には何が必要なのか。

【データを見る】日物金利スワップ市場(OIS)から見た「今後の日銀利上げの織り込み度」

なぜ?利上げしても円安進む

日銀は19日、委員全員の賛成で政策金利を0.25%引き上げ「0.75%」とすることを決定。1月以来7会合ぶりの利上げで、0.75%は1995年以来30年ぶりの高い水準だ。

しかし、植田総裁の会見中、為替は1ドル156円台と1円ほど円安方向に。さらにその後、海外の市場では157円台まで円安が進み、期待されていた円安の解消にはつながらなかった。

番組の為替予想でおなじみの瀬良礼子さんは、「こんなに円安に動くとは正直思わなかった」とする一方で、要因は植田総裁の会見にあると話す。

『三井住友信託銀行』瀬良礼子さん:
「次どうするのかというアクションに関して、今までと同じ見通しが実現していけば金融緩和の度合いを調整するという“全然突っ込まない発言”だった。日銀はどの辺りを利上げの到達点と考えているのかに関心は非常に高いが、それに関しては濁したということは、もしかすると到達点はものすごい低いのか、高いのかもよく分からない。この不確実性が市場参加者からすると、『0.75%で最後の利上げかも…』という受け止め方、疑心暗鬼も広がった可能性がある」

日銀ウォッチャーの加藤出さんも、利上げしても円安が進む原因として、日銀の“本気度”が感じられない点を指摘する。

<植田総裁 発言要旨(12月19日)>
▼【12月利上げの理由】⇒利上げのタイミングを間違えたり遅れると“後に極めて大幅な利上げを迫られ”大きなマイナスになる
▼【基調物価に与える影響】⇒複数の委員が円安による“輸入価格上昇が基調物価にも影響を与える可能性”を指摘
▼【今後の金融政策】⇒“実質金利は極めて低い水準”踏まえ引き続き政策金利を引き上げ、緩和の度合いを調整していく

――会見で注目されたのは今後の利上げのペース。“実質金利が極めて低い”というのは、まだ利上げの余地があると言いたかったのではないか

『東短リサーチ』社長 加藤 出さん:
「一応『まだ利上げが続く』と示唆はしている。ただ今回マーケットが注目していたのは、円安あるいは今のインフレを止めるという、日銀の本気度が見たかったのだと思う。ところがあまり迫力がない言い方だったので、『これは円安もインフルも止まらないのでは』と円安が進んでしまった。利上げした日に円安になるというのは深刻。日銀の信認が今、段々と崩れてきているというリスクも入っている」

「ずっと後手後手」で円高にならない

植田総裁も会見で口にした日本の「実質金利」は、マイナス圏で推移していて緩和的な環境が続いている。

『東短リサーチ』社長 加藤 出さん:
「名目の金利は30年ぶりの高さになったとはいえ、そこからインフレ率を差し引いた実質のコール翌日物金利を見るとマイナスの2%前後くらいなので、やはり依然として低い。この金利が低いということは、我々の預金金利も大体連動しているので『預金の利息がインフレに負けて元本が目減りしている』ということ。なので、お金はどうしても外に流れやすくなる」

実質金利が際立って低いことで、為替市場では円安が進行。
複数の国の通貨に対する自国通貨の総合的な価値を示す【名目実効為替レート】では、主要通貨の中で円だけが突出して弱い。

<名目実効為替レート>
12月16時点(※2020年の年初=100)
▼ユーロ圏:115.2
▼中国:109.4
▼イギリス:106.2
▼アメリカ:106.0
▼日本:73.0

――今回高市政権が利上げを事実上容認したのは、やはり円安がこれ以上進むのが怖いからか

加藤さん:
「それもあるし、あと日銀がせめて1回ぐらい利上げをしないとアメリカも為替介入にあまりいい顔をしないだろうから、利上げを許容せざる得なかったのだろう」

――「円安が進めば利上げしてもいい」この繰り返しだと、結局為替を円高に反転させたり修正ができずに、現状追認型の後手に回る

加藤さん:
「この1年半ぐらいずっと後手後手。なので利上げしてもなかなか円高にならない。一歩先んじないと、ズルズル攻め込まれてしまうのだが、長期金利が暴れたりなど、やはり政権との関係で相当トラブルが起きるというのを日銀が恐れているのだろう。それをマーケットが見透かして、また円安を仕掛けてきている」

「超低金利」に馴染みすぎたツケ

「ドル円相場」と「消費者物価指数」(生鮮食品を除く)のグラフを重ねてみると、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降円安が進み、それとともに物価も上昇。25年11月は「前年同月比3.0%」上昇となった。

――物価2%が目標で1%も上振れているのに、まだ『基調的物価は2%に達してないから緩和を維持する』という、この理屈はどうなのか

『東短リサーチ』社長 加藤 出さん:
「非常にわかりにくい。まもなく丸々4年インフレ上振れで、しかも政府がエネルギーなどに補助金を出して抑えて3%。物価対策がズルズル続いたら、それ自体がインフレに油を注いでるようなもので、本来は物価の番人である日銀がインフレに合わせた金利の状況を追求していくという姿勢が望まれる。ただ、30年間、国債や色んなものが超低金利に馴染んでしまっているので、出口でトラブルが起きやすいと慎重になり過ぎて手遅れになってしまっている」

次の利上げは「26年秋以降」?

では、次の利上げはいつになるのか?

『三井住友信託銀行』の瀬良礼子さんは、26年の物価の動向次第だと言う。

「26年度の物価見通し。1月の終わりに日銀の展望レポートが発表されるが、そこでもし上方修正が入ってくると少し見方が変わってくる。25年も結局年末の利上げだったが、春闘の初動モメンタム(賃上げの勢い)が確認できるタイミング、説明しやすいタイミングというところから早くても10月、遅ければ12月と見ている」

翌日物金利スワップ市場(OIS)から見た「今後の利上げの織り込み度」でも、<利上げがある=100%>を超えてくるのは、26年9月以降だ。

<日銀利上げ折り込み度>
2026年:翌日物金利スワップ(OIS)市場
▼1月会合:1%
▼3月:13%
▼4月:37%
▼6月:67%
▼7月:91%
▼9月:110%
▼10月:123%
▼12月:134%

※東短ICAP・東短リサーチ調べ(12月19日時点)

――バンクオブアメリカの山田修輔さんは、「利上げを春ぐらいにみたいな感じにならないと為替は反転しない」と話していたが、無理そうなのか

『東短リサーチ』社長 加藤 出さん:
「基本は半年間隔ぐらいだが、政治との関係あるいは海外経済も見ながらとなると、半年よりずれるのではという見方。ただ、円安が進むと、その円安に追い詰められる形で春ごろの利上げというのもありえなくはない。円安による物価上昇を止めねばという利上げだが、そのスタンスだといつまでも物価が下がらない悪循環になる」

米FRB“新議長”も「円安是正のカギ」

日銀が高市政権と調整しながら利上げの時期を探るのと、もう一つ、円安の是正には「米・FRB」の動向がカギになる。

FRBのパウエル議長は26年5月に議長としての任期を終えるが、次期議長の候補にあがっているのが▼FRB理事・ウォラー氏▼元FRB理事・ウォーシュ氏▼国家経済会議委員長・ハセット氏の3人だ。

――FRBは26年は「1回の利下げ」が中央値だとされているが、新議長の顔ぶれによっては、利下げが増えるかもしれない

『東短リサーチ』社長 加藤 出さん:
「基本的にこの3人なら1回よりも多め、かつハセット氏はトランプ大統領に近いから利下げしたがるだろう。ただ、あまり過度に利下げすると今度インフレが心配になってくるので、少し気が早いが『27年は利上げの年になるのでは』という見方がマーケットでだんだん強まっている」

――そうなると、26年のうちに円安修正しておかないと大変なことになる。アメリカの2回利下げで3%ぐらいになって、日銀がもう1回利上げすれば1%。日米の金利差が2%ぐらいになるとだいぶ局面が変わるのか

加藤さん:
「まあそうだが、一方で27年以降FRBが利上げかみたいな予想が織り込まれてくると、また金利差が開くじゃないかと。そう思われたらイタチごっこで、なかなか円安修正が進まない。やはり日銀の覚悟、本気度を示さないということだと思う」

(BS-TBS『Bizスクエア』2025年12月20日放送より)

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