地下鉄サリン事件から30年…後継団体「アレフ」主導するのは麻原彰晃・元死刑囚の「次男」か 教団と戦った住民語る後悔【報道の日2025】

日本中を恐怖に陥れた地下鉄サリン事件から今年で30年。猛毒の神経ガス「サリン」を使うなど数々の凶悪な事件を起こしたオウム真理教の後継団体「アレフ」の現在の様子が、12月28日放送のTBS「報道の日」の取材でわかりました。
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施設に飾られている「松本元死刑囚」の写真
2025年11月、東京都杉並区の静かな住宅街。緊迫した空気の中、公安調査庁によるオウム真理教の後継団体「アレフ」施設への立ち入り検査が行われました。
公安調査庁調査官
「公安調査庁です。鍵を開けてください」
調査官の呼びかけに返答はありません…
公安調査庁調査官
「立ち入り検査を告知してからまもなく5分が経過する。ただちに扉を開けなさい」
呼びかけから約5分後、アレフの関係者とみられる人物から応答がありました。
公安調査庁調査官
「これから立ち入り検査に入ります」
アレフの関係者とみられる人物
「なんのためでしょうか?この間やったばかりじゃないですか」
施設内に調査官が入るのを拒みます。
公安調査庁調査官
「ふさがないでください」
アレフの関係者とみられる人物
「ふさいでいません」
検査通告から約15分後…調査官は施設の中に入っていきました。
施設の中には、祭壇があり、中央にはオウム真理教教祖・麻原彰晃、本名・松本智津夫元死刑囚の写真がありました。
公安調査庁によると現在国内に30の施設があり、信者数は約1600人。
公安調査庁調査第一部第一課 小野寺聡課長
「アレフはオウム真理教の後継団体の中で最大の勢力を持っている団体で、今でも麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚の絶対的な教化で活動を行っている。組織形態も修行体系もオウム時代と変わらない。今なお危険性というものを保持している」
影響力を持つ「次男」の存在 10億円の賠償金も支払わず
今年5月、公安調査庁の立ち入り検査で、横浜市内の施設内から松本元死刑囚の写真とともに、松本元死刑囚の「次男」の幼少期の写真が飾られていたことが確認されました。
公安調査庁調査第一部第一課 小野寺聡課長
「次男はかつて麻原から後継者として指名された人物であって、自らの存在を秘匿しながら、組織の運営にかかわる重要な事項に影響力を発揮してきた」
地下鉄サリン事件から今年で30年。オウム真理教による地下鉄サリン事件など一連の事件による被害者遺族への賠償金約10億円は滞っています。
公安調査庁によると、この意思決定にも次男が関わっているということです。
公安調査庁調査第一部第一課 小野寺聡課長
「次男が被害者に対する賠償金の支払いを止めることについての意思決定に影響力を発揮した」
一方で、今年4月には埼玉県警が団体規制法違反の疑いで次男の自宅マンションを家宅捜索したところ、室内から数千万円が見つかっています。
「知らない世代が増えた」事件の記憶を風化させないために…
公安調査庁は今年、事件の記憶を継承するため、当時の写真や関係者の手記などをまとめた「オウム真理教問題デジタルアーカイブ」をHP上で公開。
公安調査庁調査第一部第一課 小野寺聡課長
「オウム真理教を知らない世代の方々がずいぶん増えてきた。この教団の危険性を国民の皆様にしっかりと伝えていく責務がある」
このデジタルアーカイブに資料として掲載された写真100点のうち、実に42点もの写真を提供した人がいます。山梨県旧上九一色村で教団と対峙してきた住民、竹内精一さんです。
旧上九一色村の住民が撮影 1000枚の写真が語る“教団との闘い”の真実
そもそも旧上九一色村は、 竹内さんらが戦後、開拓した土地でした。マイナス20度になる寒さに耐えながら森を切り開き、酪農を中心とした集落を築きあげたのです。
だからこそ、この土地を教団に奪われたくない…竹内さんは、教団が起こす異様な行為を証拠として撮影し、行政や警察に取り締まりを要望。しかし、公的機関の対応が慎重だったため自ら先頭に立ち戦いました。
竹内精一さん
「身の危険を感じてそれを表に出したら戦いはできない。覚悟がなければ、結局逃げ腰になってしまう」
30年経った今年、97歳になった竹内さんは「サリン」が旧上九一色村で作られたことを未然に防げなかったことを後悔しています。
竹内精一さん
「地下鉄サリン事件は防げたのではないか…多くの人が亡くなってしまった。慚愧に耐えない」