日本発・脳梗塞治療薬候補「TMS-007」、治療可能時間を5倍に広げる挑戦

2025-12-26 13:30
日本発・脳梗塞治療薬候補「TMS-007」、治療可能時間を5倍に広げる挑戦

東京農工大学発の創薬型バイオベンチャーである株式会社ティムスが、脳梗塞治療の常識を変える可能性を秘めた新薬候補の研究開発を進めている。開発中の治療薬「TMS-007」は、これまで脳梗塞治療の大きな課題とされてきた治療可能時間の制限を大幅に拡大できる可能性があり、国内外から注目を集めている。

国の成長戦略が後押しする「創薬・先端医療」

2025年10月、高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に就任し、「日本成長戦略本部」が新たに設置された。ここでは、今後の日本経済を支える17の戦略分野が定められ、その一つ「創薬・先端医療分野」では、再生・細胞医療や遺伝子治療、がん、認知症といった分野への研究開発への投資強化が打ち出されている。創薬分野の成長は、日本が直面する超高齢社会と医療費の増大という課題を解決する切り札として期待されているのだ。実際、2023年度の国民医療費は48兆915億円※1と過去最高を更新。特に、発症後の後遺症で介護が必要となるケースが多い脳梗塞は、医療費や介護費の負担が大きい疾患だ。
※1:厚生労働省 令和5(2023)年度 国民医療費の概況

脳梗塞とは?

脳梗塞は脳卒中の過半を占める病気。血栓などにより脳の血管が詰まり、血流が十分に脳細胞に行き渡らなくなると、血流低下の度合が高い箇所から徐々に脳細胞が死んでしまう。死んでしまった脳細胞は生き返ることはなく、その結果半身麻痺や言語障害などの後遺症が残る可能性がある。また、脳梗塞が原因となり亡くなる患者は多く※2、令和5年の死亡数を死因順位別にみると、第1位は悪性新生物<腫瘍>、第2位は心疾患(高血圧性を除く)、第3位は老衰、第4位は脳梗塞を含む脳血管疾患で、その数は10万4,518人に及ぶ。※3
※2:国立研究開発法人 国立循環器病研究センター
※3:厚生労働省「令和5年(2023) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」

脳梗塞治療の大きな壁「4.5時間ルール」

現在使われている脳梗塞治療薬の多くは、血栓を溶かす効果がある一方で、脳出血という重い副作用のリスクがある。そのため、発症から原則4.5時間以内という厳しい投与時間制限が設けられている。この時間内に病院へ到着できず治療を受けられない患者も少なくない。これが、脳梗塞治療における長年の課題だった。

ティムスの新薬候補「TMS-007」とは

ティムスが開発中の「TMS-007」は、血栓を溶かす作用に加えて、脳の炎症を抑える作用をあわせ持つ点が特徴だ。2018年に国内で実施された前期第2相臨床試験では、発症から4.5時間を超えて投与しても、脳出血の発生頻度が上昇しないことが確認された。この結果から、TMS-007は従来薬とは異なり、脳出血の発生頻度が上昇しない、抗炎症作用を併せ持つ新しいタイプの血栓溶解剤として位置づけられた。

この特性により、将来的には発症後最大24時間まで投与できる可能性があり、そうなれば治療可能時間は既存薬の約5倍に広がる。また、TMS-007の抗炎症作用は、脳組織の壊死を防ぎ、神経細胞へのダメージを最小限に抑える効果が期待されている。これらの複合効果により、発症後時間が経過した患者にも有効な治療法になると考えられ、既存薬では投与が間に合わない患者にも効果的に作用し、広範囲の患者に適用可能な新たな治療薬候補として注目されている。

実際、国内で90人の患者を対象に行われた臨床試験では、投与から90日後に「ほぼ完全に回復した」状態と評価される患者(mRSスコア0~1)の割合が、偽薬(プラセボ)と比べて統計的に有意に増加した。

mRSスコアとは?

mRS(modified Rankin Scale)は、脳卒中後の後遺症の程度や、日常生活の自立度を評価する国際的な指標。0:後遺症なし1:軽い症状はあるが日常生活は自立2:身の回りのことは介助なしで可能など、0〜6の段階で評価され、治療効果を判断するうえで重要な基準とされている。

世界規模の臨床試験へ

現在ティムスは、この成果を検証するため、20か国が参加する国際臨床試験(ORION試験)を進めている。もし有効性と安全性が確認されれば、「TMS-007」は、これまで治療の機会を逃してきた多くの脳梗塞患者に新たな選択肢をもたらすことになるだろう。日本発の創薬が、脳梗塞治療の未来を変える日が近づいている。

〈ティムスHP〉
URL:https://www.tms-japan.co.jp/ja/index.html

  1. 【 合格 】俳優・モデルの君嶋麻耶さん 行政書士試験合格証を掲げて1ショット投稿 フォロワー驚き「考えつかんかった!」合格率10~15%の難関
  2. オンライン家庭教師「メガスタ」が破産手続き開始 利用者や講師からは困惑の声 講師への“未払い”報酬やすでに支払った授業料はどうなる?
  3. あす(18日)は北日本の日本海側と北陸で大雪のおそれ 関東から九州は記録的に雨の少ない状態 今後1か月程度続く見込み
  4. 犬の反応『妹が遊びに来た時』と『母に呼ばれた時』を比較した結果→思った以上に『差が激しい光景』がおもしろ可愛いと10万表示の反響
  5. TOEIC「替え玉受験」で中国籍の男らを再逮捕 警視庁
  6. 【Snow Man目黒蓮】カナダから中継で舞台挨拶に参加 29才誕生日を浜辺美波らが〝リモートバースデー〟
  7. 【 花田虎上 】 「ステーキ焼きそば」を堪能 「スープも焼きそばも全て茶色」 自作料理を公開
  8. 【 りくりゅう 】中川翔子 逆転金メダルを祝福 「りくりゅうペア金メダル感動した、、!」
  9. ノロウイルスなどによる「感染性胃腸炎」 5週連続で患者数増加
  10. JR宇都宮線の架線断線は架線の張り替え工事計画の誤りが原因 平行する2本のうち張り替えが必要のない方張り替え 作業員と工事計画者の認識に齟齬 JR東日本
  1. 【 釜井美由紀 】 行政書士試験に合格 育児と両立し難関突破「スキマ時間を見つけてコツコツ勉強」
  2. “30年に一度レベル”記録的少雨 東北地方の太平洋側~九州南部で 「大規模な林野火災が起こりやすい状況」気象庁が注意呼びかけ
  3. 帰宅が遅くなったので『見守りカメラで犬を確認した』結果→ドアの前で…飛んで帰りたくなる光景に9万いいね「泣いちゃう…」「まさに忠犬」
  4. 花火・爆竹「解禁」で6年ぶりの“中国らしい春節” 街のいたるところから絶え間なく打ち上げ
  5. 【 SILENT SIREN 】 黒坂優香子 妊娠を発表 「新しい命を授かりました」「また元気にステージに戻ってきます!」
  6. 【 訃報 】声優・俳優の池田勝さん(83) 心不全で死去 洋画吹替・アニメ作品「ヤッターマン」など数多くのタイトルで活躍
  7. 悲願の金に戸塚優斗「報われるよって伝えてあげたい」、小野光希「ピーク合わせられた」山田琉聖「4年後に向けて」スノボHPメダリストが帰国【オリンピック】
  8. 証券口座乗っ取り相場操縦の罪 中国籍の男が起訴内容認める 検察側は懲役3年・罰金400万円・追徴金約7800万円求刑 東京地裁
  9. 悲願の金へフィギュア坂本花織が五輪最後のリンクへ 女子団体パシュートは“女王奪還”へ髙木美帆が挑む【大会12日目みどころ】
  10. 運転見合わせの西武新宿線 午後4時16分ごろに運転再開 一時、人身事故の影響で西武新宿駅と上石神井駅間の上下線で運転見合わせ
  11. 「どの選手にもメダルの可能性が」樋口新葉が坂本花織ら日本選手の強みを分析、フィギュア女子の頂上決戦へ「最後は気持ち」
  12. 「障害があってもできることはある」 成年後見制度利用で失職は違憲か 警備業法「欠格条項」訴訟 あす最高裁で判決