米国に初めてやってきた「飼い猫」は、16世紀の探検船に乗っていた親子だった?

2025-12-29 06:00

研究者が16世紀にフロリダ沖で難破した船を調べたところ、2匹の親子猫の死骸を発見しました。猫たちはネズミ駆除だけでなくペットとして愛されていた可能性が高く、米国に到達した初めての「飼い猫」だったとも考えられます。

スペイン船に乗船していた親子猫

船上の猫

画像はイメージです

猫は多くの家族に愛され、米国内では7380万匹が4200万世帯に飼われています。では、米国で猫がペットして飼われ始めたのは、いつのことでしょうか。

このほどAmerican Antiquity誌に掲載された論文によると、「1559年フロリダ沖でハリケーンにより沈没したスペイン船に、親子とみられる飼い猫2匹が乗船していた」ことがわかりました。遺骨が発見されたためです。もしかしたらこの猫たちが、米国に到達した初めての「飼い猫」だったのかもしれません。

その遺骨は、1559年9月に現在のフロリダ州ペンサコーラ付近で沈没したスペイン船「Emanuel Point II号」の残骸の中から発見されました。この船は、Tristán de Luna y Arellanoをリーダーとする遠征艦隊11隻のうちの1隻で、メキシコから北上していたところでした。

当時艦隊はスペイン入植地サンタ・マリア・デ・オチュセ付近に停泊していましたが、ハリケーンに襲われて6隻の船が沈没し、もう1隻は内陸に流されてしまいました。のちに1992年から2016年にかけて、研究者たちはこの難破船3隻を発見したのです。

ダイバーたちは、オリーブオイルやワインなどが入っていたと思われる壺の破片など、船からいくつかの遺物を回収しました。さらに、ゴキブリやネズミ、そして少なくとも2匹の猫の死骸も発見しています。

船員に愛されていた猫たち

船の上の猫

画像はイメージです

科学者たちが成猫1匹と幼猫1匹の遺骸を詳しく調べたところ、猫たちはネズミを寄せ付けないために意図的に船内に連れてこられた可能性が高いと判断しました。その過程で、船員たちにもなつき、ペットのように生活していたと考えられます。

成猫のほうは主に魚や豚肉、鶏肉、牛肉などの肉類を食べていたことがわかっています。ときおりネズミを狩っていた可能性はあるものの、猫の食事の「かなりの割合」は、人間が与える食材だったことは明らかです。

ネズミが減ってしまったので人間用の食品を与えたか、あるいは「愛情」からたくさんの食べ残しを与えたのかはわかりませんが、当時の船員たちは「普通より指が多い猫」を幸運の象徴と考え、かわいがっていたことはわかっています。

米国最初の「飼い猫」だった可能性

船乗りの扮装をした猫

画像はイメージです

「船上の猫の主な役割はネズミ退治でしたが、これらの猫は船員たちに好かれ、大切にされていた可能性があります。実際、中世ヨーロッパの一部の地域では、猫がネズミ駆除のためによく乗船していました。この猫たちの食べていたものから判断して、猫が船員の食料として船に持ち込まれたり毛皮のために飼育されていたといった可能性は排除できます」と研究者は述べています。

学者たちは、猫が初めて家畜化されたのは約1万2000年前の中東地域でのことだと考えています。紀元前400年頃までには、猫は地中海地域全体へと広がっていました。アメリカ大陸に最初に渡った猫はコロンブスの船に乗っていたものと考えられていますが、航海の記録にはその猫の名前は記載されていません。

コロンブスが1492年に上陸した現在のハイチで、考古学者たちは猫の遺骨を発見しています。しかしコロンブスが北米大陸に足を踏み入れることはなかったため、米国最初の猫は、このあとの他の探検隊によって持ち込まれたと考えられます。

遺伝子検査の結果、Emanuel Point II号の猫はヨーロッパ起源であることが確認されました。これが米国に最初にやってきた「飼い猫」だったのかもしれません。

出典:Spanish Shipwreck Reveals Evidence of Earliest Known Pet Cats to Arrive in the United States

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