猫の『耳』はどのくらい聞こえているの? 聴力に関する5つの豆知識をご紹介

2026-01-17 16:00

猫も人も、五感(視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚)で得た情報を脳で分析・判断して生きています。しかし、五感の使い方には大きな違いがあります。人は主に視覚を使いますが、猫が最も多く使用する感覚は聴覚です。だからこそ、猫の聴力は人を凌ぐ精度にまで進化してきました。猫の優れた聴力に関する豆知識をご紹介します。

1.子猫の聴力は約1ヵ月で完成する

母猫のお乳を吸う子猫たち

生まれてすぐの子猫は、まだ耳が聞こえません。そのため、母猫は喉をゴロゴロと鳴らす振動で、子猫とコミュニケーションを図ります。子猫の聴力は、生まれてから約1ヵ月をかけて、下記のような経過で発達し完成します。

<生後6日齢まで>
内耳や聴神経は生まれた直後から発達を始めますが、外耳道が開き始めるのが生後6日齢頃からなので、しばらくはよく聞こえていません。生後2〜3日頃から大脳への電位が見られ始め、生後6日目までには可聴域が200〜6,000Hzまで広がります。(※)

<生後17日齢まで>
生後7日齢になると音がする方への反応が見られ始め、13〜16日齢で音の聞こえる方向を探索するようになります。外耳道は、生後17日齢で完成します。

<生後31日齢まで>
生後21〜28日齢で兄妹猫や人の声が認識できるようになり、聞きなれない音に威嚇する防衛反応を示すようになります。生後31日齢で、成猫と変わらない聴力に発達します。

(※)言葉を話せない猫の聴覚研究では、音に対する行動反応を確認する方法と、脳の電気反応を測る聴性誘発電位の2種類が使われます。「電位が見られる」とは聴性誘発電位のことで、音の情報が脳に伝達されたことを示します。

2.猫の聴力は特に高音の聞き取りに優れている

ねずみを狙う猫

音は振動です。物体の振動が空気を震わせて音波となり遠くまで伝わり、それをキャッチした耳が電気信号に変換して脳に伝え、音として認識されます。波なので、音の高さは周波数(Hz:ヘルツ)で表されます。

音として認識できる周波数の範囲を可聴域と言い、人と犬と猫の可聴域は下記とされています。数字が大きくなるほど、高音になります。

人:約20〜20,000Hz
犬:約65〜50,000Hz
猫:約25〜75,000Hz

中でも猫が最も敏感に反応する音は、20dB(木の葉が触れ合う程度の音量)で250〜35,000Hz近辺の音です。これは、主な獲物の齧歯類の鳴き声が17,000〜148,000Hzであることに関係していると考えられています。

3.猫は生活ノイズを意図的に遮断できる

肩に乗ってTVを見る猫

20dBの音まで察知できる猫にとって、テレビ・ラジオ・目覚まし時計などの日常生活におけるノイズ音は、かなりの騒音に違いありません。ただ猫は、これらの生活ノイズを意図的に遮断できることがわかっています。

人も、何かに集中すると周囲の音が耳に入らないことがありますが、それを意図的に行えるのです。とは言っても、猫の首輪に鈴をつけると、動くたびに高音がしてストレスになる可能性があります。安全面の配慮は鈴に頼らず、飼い主さんの注意でカバーしてあげましょう。

4.猫の耳を自由自在に動かす耳介筋

左右で異なる方を向く猫の耳

猫は、耳(耳介)の可動域もとても広いです。耳の向きを変えたり前後や横方向に倒したりするだけでなく、左右の耳を別々に動かせたりもします。

これを実現しているのが、耳介筋と呼ばれる筋肉です。左右に16本ずつ、合計32本の耳介筋があり、これは人の約5倍です。これらの筋肉を左右別々に制御することで、音の立体的な位置情報を捉えているのです。

人の耳介筋も音の方向を調整する役割を担っていますが、ほとんど無意識のうちに働いており、かつごくわずかな動きしかできません。

5.実は猫に負けていない人の聴力!

人の耳

音源の方向を特定することを「音源定位」と言います。猫は75%の精度で5度の位置ずれの範囲で音源を定位する能力を持っています。ちなみに、犬の音源定位能力は8度です。ところが、猫のように自由に耳を動かせない人の音源定位能力は、1〜3度と猫よりも高い精度を誇っています。これには、きちんと理由があります。

脳は、左右の耳から入る音の時間差と音量の差をもとに、音源の位置を計算します。人は「言葉」を使って意思疎通を図るため、脳がより複雑で微細に音源を定位する能力を身につけました。その上、人の頭は猫よりも大きいので両耳の間隔は広くなります。そのため時間差や音量差が大きくなることも、精度を上げる要因になっています。

また人の耳は猫よりも複雑な凹凸を持ちます。音が反射して周波数特性が変化することで音色がわずかに変わり、その違いを脳が学習するため前後上下の位置判断に役立つのです。さらに、視力をメインの情報源としている人は、音と視覚情報を統合的に利用できるため、音源定位の精度が底上げされます。

まとめ

猫の耳のアップ

深夜から明け方にかけて活動するネズミなどの齧歯類を主な獲物とする猫は、薄暗い中で狩りを行えるよう、明るい場所での視力を犠牲にして暗がりでの視力を高めました。その代わり、非常に優れた聴力を得たのです。

何も聞こえず何も見えないのに、愛猫が壁や天井の一点をじっと見つめながら耳を澄ましていても、怯える必要はありません。その壁や天井の向こう側にある排水管に水が流れたり、小動物が走り去ったりしているのかもしれません。小さな耳の優れた能力。やはり猫は侮れませんね!

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