羽田空港が「地方の宝」への入り口に! 糸魚川・高岡・大野・豊後高田が共演した「自慢のまちPRひろば」

2026-01-29 08:00
羽田空港が「地方の宝」への入り口に! 糸魚川・高岡・大野・豊後高田が共演した「自慢のまちPRひろば」

多くの旅行客が行き交う羽田空港第1旅客ターミナル。その2階マーケットプレイスが、地方の熱気と隠れた魅力に包まれた。2026年1月16日(金)から17日(土)の2日間、日本商工会議所主催によるイベント「自慢のまちPRひろば」が開催された。

インバウンド需要が回復・拡大する一方で、訪日客の足は依然として東京・大阪・名古屋の三大都市圏に集中している。地方にはまだ知られていない魅力的な地域資源――いわば「宝」が眠っているにもかかわらず、だ。本イベントは、そうした課題を打破すべく、独自のブランディングで注目を集める4つの商工会議所(新潟県糸魚川市、富山県高岡市、福井県大野市、大分県豊後高田市)が集結。空の玄関口を行き交う人々へ、次なる旅先としての「自慢のまち」をダイレクトに提案する場となった。

【新潟県糸魚川市】石を拾い、地球を感じる。「石コロジー」という新たな旅

新潟県の最西端、富山県と長野県の県境に位置する糸魚川市。ここは日本列島を東西に分かつ「フォッサマグナ」上にあり、東日本と西日本の文化が交錯する特異な場所だ。ブースで語られたのは、意外な事実。「糸魚川市という名前ですが、実は現在『糸魚川』という川はない」のだという。かつては存在したが、現在は暗渠や道路となり姿を消している。

そんな糸魚川が打ち出したテーマは「石のまち」。約4億年前のヒスイをはじめ、海岸には多様な石が転がる。今回の展示の目玉は、単なる石の展示にとどまらない「体験」の提案だ。駅前で販売されている「石ひろいキット」は、ケースと図鑑がセットになっており、観光客は自ら海岸で石を探し、拾い、学ぶことができる。

「石コロジー」と銘打たれたこのプロジェクト。拾った石を加工し、世界ジオパークの大地から湧き出る温泉に浸かり、地元の食を楽しむ。石拾いを起点とした、地球の歴史と戯れるプリミティブな旅の形がそこにあった。

【富山県高岡市】加賀藩の美意識と昆布文化。静謐な「城下町リゾート」

金沢の近隣に位置し、同じ加賀藩の歴史を持つ富山県高岡市。観光都市として成功した金沢の影に隠れがちだが、実は国宝が2つ、重要伝統的建造物群保存地区が3つもある歴史の宝庫だ。オーバーツーリズムとは無縁の、ゆったりとした時間が流れるこの街は、「城下町リゾート」としてその価値を問い直している。

ブースで紹介されていたのは、伝統産業である「金属加工」と、富山の食文化「昆布」だ。

高岡はものづくりの街であり、展示された株式会社フジタの金属製品は、表札やシフトノブまでオーダーメイド可能。工場見学を含む体験プランも用意されている。

一方、食の主役は意外にも「昆布」。富山県は昆布の消費量が全国トップクラス。北前船の歴史が育んだこの文化を体感できる「KOMBU HOUSE」などのゲストハウスも紹介された。古民家を改装した一棟貸しの宿で、昆布締めや「ほうじ昆布」の出汁を味わい、金属工芸の美に触れる。喧騒を離れ、上質な文化に浸る「大人の隠れ家」としての高岡がアピールされた。

【福井県大野市】人とつながる「結の故郷」。天空の城と恐竜が招く東の玄関口

福井県の東端、岐阜県との県境に位置する大野市は、中部縦貫自動車道の開通により「福井の東の玄関口」としての役割を強めている。人口減少という課題に直面する中、域外からの誘客に活路を見出すべく参加したという。

まちのシンボルは、雲海に浮かぶ姿から「天空の城」と呼ばれる越前大野城。1576年築城のこの古城は、今も徒歩でしか登れない孤高の存在だ。また、近隣の勝山市と共に恐竜化石の産地としても知られ、地元の神社では恐竜をモチーフにした「御竜印(ごりゅういん)」を授与するなど、ユニークな取り組みも光る。

しかし、大野市が今回最も伝えたかったのは「人とのつながり」だ。醤油醸造場や玩具店、和菓子店など5つの事業者が連携し、「微住(びじゅう)」という滞在スタイルを提案。観光地をただ巡るのではなく、その土地の人と触れ合い、少し暮らすように旅をする。専用アプリを活用し、地域全体で旅行者を迎え入れる「結(ゆい)の心」が、ブースの温かい雰囲気からも伝わってきた。

【大分県豊後高田市】昭和の町は「夜」が熱い。レトロと白ネギでハシゴ酒

国東半島の付け根に位置する豊後高田市。「昭和の町」として商店街再生に成功し、年間を通して多くの観光客が訪れるが、その多くは昼間の滞在にとどまっていた。そこで25周年を迎えようとする今、次なる一手として打ち出したのが「夜の昭和」だ。

ターゲットは、ビジネスホテルに宿泊する客層や、レトロブームに沸く若者世代。スナックや居酒屋が軒を連ねる「宮町商店街」を中心に、1000円のチケットで気軽に飲み歩きができる「はしご酒」プロジェクトを展開している。入りにくいスナックの扉も、このチケットがあれば気軽に開けられる。

さらに食の魅力として猛プッシュされたのが、西日本有数の産地である「白ネギ」。甘みの強い白ネギを豪快に焼いたり、鍋にしたりと、夜の酒場グルメとしてのポテンシャルは高い。

昼間の「昭和30年代」だけでなく、スナック文化や80年代アイドルブームのようなきらめきを含む「夜の昭和」へ。世代を超えて楽しめる、ディープな夜のエンターテインメント空間がそこには広がっていた。

三大都市圏だけが日本ではない。石を拾い地球を感じる旅、伝統工芸と美食に浸る静寂の時、人と人との温かいつながり、そして昭和レトロな夜の熱気。羽田空港に集結した4つのまちは、それぞれ全く異なるアプローチで「自慢のまち」を表現していた。

今回のイベントは、単なる観光PRにとどまらず、各地域が自らのアイデンティティを再定義し、磨き上げたブランディングの成果発表の場でもあった。旅の選択肢は無限にある。次の旅行先を考える際には、こうした地方の深い魅力に触れる旅を計画してみてはいかがだろうか。

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