進む円安…なぜ止まらない?「消費税減税」が物価高の“アクセル役”に?経済界が危惧する理由【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-02-04 20:08

円安が止まりません。高市総理の発言の影響も続いているようです。
暮らしに身近なものの物価高にもつながる、円安について考えます。

【図で解説】円安が止まらない理由

 円安関連の倒産 43か月連続発生 

井上貴博キャスター:
今回の選挙を考える上で重要なキーワードの一つが「円安」です。円安、円高どちらが良いということはありません。どちらも極端に行き過ぎると負の影響が出てきます。

円安を英語に訳すと「weak yen」、つまり「weak(弱い)」+「yen(円)」です。円が弱くなると、国力も弱まってくるということが見えてくるのかもしれません。

東京商工リサーチによると、2025年1月から12月の「円安関連の倒産件数」は65件でした。2022年以降の円安局面で、前年(2024年)の83件に次ぐ2番目に高い水準です。さらに2026年1月は6件と、43か月連続で円安関連の倒産が発生しているということです。

【円安関連の倒産件数】
・2021年:6件
・2022年:24件
・2023年:52件
・2024年:83件
・2025年:65件
(TSRデータインサイトより)

進む円安 なぜ止まらない? 「消費税減税」に理由が?

井上キャスター:
円安の進行はなぜ止まらないのでしょうか。

野村総研 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんは、「要因のひとつとして…減税合戦のような状況の中、財政悪化の懸念が広がり、さらに円安が進んでしまった」と言います。

今回の選挙で各政党は物価高対策として、「消費税減税」を掲げています。ただ、財源についてはあいまいな考えを述べています。

そうなると…
財政悪化で赤字国債発行の懸念が広がる→円の信用が低下→資産家は円よりも安全な資産を買うために円を売る→円安が加速→輸入している物の値段が上昇し、物価高に拍車がかかる。

つまり、物価高対策のために講じるはずだった「消費税減税」が回り回って、物価高の“アクセル役”になってしまうかもしれないというのです。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
過去にも似たようなケースがありました。2022年、イギリスのトラス前首相が、財源の裏付けがないまま年間7.5兆円規模(当時)の大規模減税を実施しました。その結果、金融市場の信頼を失い、ポンド安、金利上昇、国債価格の下落、さらに株安にまで繋がってしまい、トラス前首相はとても短い期間で辞任に追い込まれてしまいました。

高市首相の場合は、「むしろこれからどんどん積極的にやっていこう、円安でも大企業は輸出が増えて儲かり、いいじゃないか」というような考え方なので、今回の選挙で自民党が大勝すると、場合によっては1ドル=160円も見えてくるかもしれません。そうなると、行き過ぎた円安の影響が出てくるのではないでしょうか。

財界、海外メディアから懸念の声

井上キャスター:
高市総理は「円安を容認したわけではない」と述べていますが、財界からは懸念の声が上がっています。

3日、日本商工会議所の小林健会頭は「財政悪化の懸念、円安進行による国内外の信用不安が生じうることを考えると消費減税に関しては非常に慎重であるべき」と話しています。

さらに、海外メディアはより深刻に伝えています。

【消費税の減税 海外メディアは…】
<米・ブルームバーグ(1月21日)>
低所得世帯支援という点で的を絞った施策より効果が低い可能性

<英・フィナンシャル・タイムズ(1月31日)>
金融市場は今回の選挙が国家財政をひっ迫する可能性を懸念

<英・ガーディアン(1月26日)>
海外投資家は英・トラス元首相の減税政策と同じ結果をもたらすのではと危惧

一方、日本金融経済研究所の馬渕磨理子さんは、「(1)政府の借金をこれ以上増やさない 、(2)無駄な補助金をカット、この条件が整えば、限定的な期間での食料品の消費税ゼロであれば、財源はひっ迫しないと思う」といいます。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
難しいですね。投資家の中には「株高で儲かればいい」という人もいるかもしれませんが、やはり普通の人たちの暮らしを守るためにどうするのがいいのかということを政治家の方にはしっかり考えていただきたいと思います。

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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学 准教授
専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破

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