進まない選択的夫婦別姓 高市総理「旧姓の通称使用」に法的効力検討も…経済界からは不正リスクに懸念の声【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-02-04 20:12

法制審議会が「選択的夫婦別姓」導入を提言してから今年で30年が経ちますが、いまも結論が得られていません。
今回の衆議院選挙でも、意見が大きく2つに分かれています。

【画像を見る】分かれる「推進派」と「慎重・反対派」それぞれのメリットとは?

94.1%が女性側が…「選択的夫婦別姓」とは?

高柳光希キャスター:
「選択的夫婦別姓」とは、夫婦が望む場合、結婚後もそれぞれが結婚前の姓を名乗ることを認める制度です。

例えば、現在の制度では夫婦どちらかの姓を改める義務があります。現在、改姓するのは94.1%が女性ということが分かっています。

しかし、「選択的夫婦別姓」の制度が導入されれば、結婚後、同姓にするか別姓にするかを自由に選択できるようになります。

「自分らしさ」を主張の推進派 キャリアやジェンダー問題も…

高柳キャスター:
各党は「選択的夫婦別姓」をどのように考えているのでしょうか。

大きく分けて2つ「推進派」と「慎重・反対派」に分かれています。

【各党の考え】※衆院選公約などより
●推進派
中道、国民、共産、れいわ、社民、みらい

●慎重・反対派
自民、維新、参政、保守

●公約掲げず
ゆうこく

TBS報道局 社会部 永橋風香 記者:
「推進派」(中道、国民、共産、れいわ、社民、みらい)は、以下の理由を挙げています。

▼仕事上の不利益や不便さを解消
→氏名が変わると続けてきたキャリアが断絶してしまったり、実績が次の氏名に引き継がれないという不都合が生じたりする可能性を解消できる。

▼名義変更の負担解消
→氏名を変更した場合に生じるパスポートや免許証の変更手続きの負担を解消できる。

▼ジェンダー平等の実現
→女性の改姓が94.1%です。法律上どちらが改姓しても良いのですが、女性に偏ってしまっている。こうしたジェンダーの不平等も解消できる。

▼自分らしさを保てる
→結婚するまで何十年と共に生きてきた氏名を変えたことで、違和感を覚えたり、自分らしさが失われる感覚を覚えたりする人もいる。別姓になれば自分らしさを保てるという意見もあります。

「家族の一体感」重視の慎重・反対派 子どもに悪影響の可能性

永橋 記者:
一方で「慎重・反対派」(自民、維新、参政、保守)も以下の理由を述べています。

▽家族の一体感が失われる
→家族全員の姓が同じことが絆に繋がっているという考え方。そのため、別姓になると一体感が薄れてしまう。

▽姓を選べない子どもへの悪影響懸念
→子どもからしたら、自分の姓を選べず、両親と自分の名前がバラバラになることを強制されることになる。その悪影響を心配する声がある。

▽「旧姓の通称使用拡大」で不便さは解消

井上貴博キャスター:
個人的には、選択的夫婦別姓は速やかに導入していただきたいと思いますが、内閣府の調査などを見ると意見は分かれている。
また、世代間ギャップが大きいのも、この議論の合意形成の難しさにあるのだと思います。

政策の議論をもう少し腰を据えてやっていただきたい。この議論に限った話ではなく、選挙ごとに細切れで議論が終わってしまっている気がします。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
「選択的夫婦別姓」の議論は30年ぐらい続いています
ドイツなどでは夫婦別姓が当たり前で、だからといって家族がバラバラになっていることもありません。

同性婚といった様々な形の結婚や家族のあり方が増えている中で、考えなくてはいけない問題は他にもまだある。最初の問題で“足踏み”をしてしまっているので、早く解決してほしいと思います。

「旧姓の通称使用」法律化された場合の効果と課題

高柳キャスター:
「慎重・反対派」の意見には、▽旧姓の通称使用拡大で不便さは解消とありますが、どういうことなのでしょうか。

現在、住民票やマイナンバーカード、運転免許証など公的な証明書で、旧姓の併記ができるようになってきました。

一方で、法的な根拠がなかったため、銀行口座の開設や保険契約などの際に、通称使用ができるかは事業者側に委ねられていました。

そんな中、高市総理は2026年の通常国会で「“旧姓の通称使用”に法的根拠を持たせる法案」を提出する方向で検討しているということです。

2025年3月には、高市総理自身のYouTubeチャンネルで、▼住民票への「旧姓の記載・記録」を法律で定める。▼国・自治体・企業などが必要な措置を講ずる責務を持つということを発言しています。

「旧姓の通称使用」が法律で定められることで、▼通称使用が可能な範囲が広がる▼「同一戸籍・同一氏」を維持する効果がある。したがって、不便さを解消しつつ伝統的家族観を重視する立場も納得するのではないかという意見があります。

永橋 記者:
「旧姓の通称使用」が法制化されることでの課題もあります。

▼法的な姓が2つになる
→証券会社や金融企業などの経済界からは、姓2つを使い分けてマネーロンダリングや脱税といった不正のリスクを懸念する声があります。
また、企業・自治体が氏名を二重管理する負担も考えられます。

▼「改姓したくない」という人の意見には全く向き合っていない
→旧姓使用が通ることで、今後、選択的夫婦別姓の議論が進まないのではと当事者から心配の声も上がっています。

▼国際的に通用するか不透明

井上キャスター:
選択的夫婦別姓に反対の方からすると、「テレビ出演者全員が賛成ではないか」「偏っているのではないか」と思われるかもしれません。

全員からOKが出るのは難しいですが、議論を進めて、早く結論を出していただきたいとは思います。

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<プロフィール>
永橋風香
TBS報道局社会部 法務省・裁判担当
ジェンダーや家族のあり方を取材

斎藤幸平さん
東京大学 准教授
専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破

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