「愛猫が友達の輪を広げていく」 若者の“ひきこもり生活”を変えたコミュニティ オーストラリア

2026-02-20 06:00

病弱な若者が「ひきこもり生活」を送るために静かな住宅地へ引っ越してきました。でも彼の飼い猫には別の考えがあったようです。猫のおかげで、彼には世代の枠を超えた友人たちが次々とでき、暖かいコミュニティでの生活を楽しむようになったのでした。

孤独な生活をめざして引っ越し

近所を出歩く猫

画像はイメージです

Mike Hohnenさんはシドニーの便利なニュータウンに6年間住んで、トレンディーな生活を送ってきました。

しかし体調が悪化して「遅発性1型糖尿病」と診断された28歳のとき、より静かな住宅地でひっそりと毎日を送ろうと決め、裕福な若い家族や退職者が集まる住宅地ロゼルに引っ越しました。そこで「ひきこもり生活」を送るつもりだったのです。

でも飼い猫のBootsyには別の考えがあったようです。

この猫はいつも家の内外を自由に移動し、近隣の敷地にまで出入りします。このため彼は首輪に電話番号を記入して連絡がとれるようにしていました。ある日知らない女性がから電話があったときも、「Bootsyがその人の家に侵入して、こっそりディナーを食べてしまったのかも」と思ったのです。

ところがその電話の主Enid Morrisonさんは「お宅のBootsyくんは、いま裏のベランダの椅子で寝ています。大歓迎なので、好きなだけ滞在してくださいね」というのです。Mikeさんはすぐにそのお宅へ出かけていきました。

猫を介した出会いが、友情に発展

寝っ転がってくつろぐトラ猫

画像はイメージです

Enidさんの家には、まるで外からの侵入を遮断する要塞のように鋼板の塀が設けられていました。でもドアを開けて出てきたのは、穏やかな表情の高齢女性でした。

87歳の彼女は定期的に食料品店に行ったり、パブで発泡ワインを一杯飲んだりする以外には、ほとんど人付き合いをしない毎日を送っていました。雑誌記者としてロンドンに駐在した後、病気の母親の世話をするために20代でこの近所に移って以来、ずっとそこに住んでいるのです。

この瞬間に、猫を通じた2人の出会いは友情へと変わりました。以来4年間、Bootsyは午前中Enidさんの家で過ごし、午後に自宅に戻る毎日だといいます。いまではお互いの家の鍵を預かるほどの信頼関係を築きました。

「この猫は孤独なわたしを変えてくれました。家の枠にとらわれず、どこでも自分の落ち着ける場所だという雰囲気をかもしだしているのです。そしてそばにいる人間たちを受け入れてくれるのです。とても光栄なことです」と彼女。

2人の友情は、この近隣コミュニティをも変えていきました。EnidさんがBootsyを連れて通りを歩いていると、近所の人が立ち止まって声をかけてきます。

猫の放浪癖のおかげで、孤独だったEnidさんも少しずつ他の人たちに対して心を開くようになってきました。Mikeさんも同様で、外出するときはヘッドホンをはずして近所の人たちと会話をするのを心待ちにするようになったといいます。

助け合うコミュニティが実現

住宅地でリラックスする猫

画像はイメージです

Enidさんの隣人Sara Hornさんは、Bootsyを初めて見たときのことをよく覚えています。

「家の外に出ると、美しいトラ猫が『なでて』とお腹を見せてひっくり返っていました。そのときフードを被ってタトゥーを入れた男性(これがMikeさんです)が、80代の隣人の家に出入りしていたので、すごくびっくりしたことを思い出します。正反対のタイプですからね」とSaraさん。

この地区に住むVicky Clarenceさんも、Bootsyが歩き回っていることを気付いていました。でもMikeさんのことは知らなかったのです。

やがてEnidさんから話を聞き、猫の飼い主が彼だったとわかりました。いまではMikeさんと長いおしゃべりをする間柄です。1979 年にからこの地域に住んでいる彼女は 「Bootsyは、この地域を助け合うコミュニティへと変えました」と話しています。

こうしてかつてMikeさんがめざした「ひきこもり生活」はすっかり変わりました。

近隣の10数軒は、お互いに喜んで助け合おうとする隣人たちでいっぱいです。Mikeさんはネガティブな考え方を捨て、他の人とつながる喜びを感じるようになりました。いま彼は新たなボランティア活動を始め、より多くの人々と接するようになっています。

Bootsyは人間たちに「コミュニティづくりへの道」を示してくれました。高齢になったものの、これからもこの猫はあちこちの家々を往復する生活を続けることでしょう。

出典:‘The cat has changed my life’: how Bootsy turned a street of strangers into a community

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