犬のワクチンや寄生虫の予防の必要性とは?「予防が難しいケース」まで獣医師が解説

2026-02-21 17:20

おうちのわんちゃんのワクチンや予防は正しく理解し、行なっていますか?高齢であることや外に出ないからという理由で行なわないと、おうちのわんちゃんや飼い主さんまでも危険にさらされてしまう場合もあります。なぜ必要なのでしょうか。

ワクチンや予防はなぜ必要?

注射器とバイアルのそばで伏せる犬

わんちゃんをお迎えしたら切り離せないのが「予防」です。

予防接種や毎月の寄生虫の予防など、飼い主さんは忘れないように行わなければならない予防がたくさんあります。

しかし、なぜ必要なのかな?とふと考えることもあるのではないでしょうか。

なぜ必要なのか、おうちの子に必要な予防はどんなものなのか、正しく理解をして行うことが大切です。

自分のわんちゃんを守るため

一番の目的はおうちのわんちゃんを守るためです。

予防接種の中に含まれる病気は、日常生活の中で感染し得るものばかりで、特に他のわんちゃんたちと接触する場合、感染してしまう可能性もあり、わんちゃん自身の身を守るために必要です。

寄生虫の予防も、日常生活の中に存在していて感染し得るため、欠かせません。

治療をすれば負担を軽減できるものもありますが、命を落としてしまう危険性のあるものもあります。

愛するわんちゃんを守るため、予防は大切です。

飼い主さんを守るため

わんちゃんの感染症の中には、人獣共通感染症と言って、飼い主さんにも感染する病気もあります。

中にはわんちゃんが感染することで、飼い主さんも感染してしまい死に至る危険性がある病気も存在するため、注意が必要です。

これらの病気も、よく見られる地域性などはあるものの、日常生活で感染する可能性があるものです。

どんなわんちゃんでも感染する可能性があるため、わんちゃんと飼い主さんの健やかな生活を守るための予防とも言えるでしょう。

他のわんちゃんたちを守るため

おうちのわんちゃんが社会で生活している以上、他のわんちゃんと接触する機会もあるはずです。

お散歩をあまりしないわんちゃんであっても、動物病院やトリミングサロンに通う機会もあるでしょう。

もしおうちのわんちゃんが病気に感染している状態で、他のわんちゃんが集まる場に行く場合、他のわんちゃんたちへ病気の感染を拡大させてしまう危険性があります。

もちろん、他のわんちゃんたちが病気の予防をしていることも大切ですが、それぞれがマナーとして予防をきちんと行うことが飼い主さんとして、社会で生活するわんちゃんとして必要です。

特に注意が必要とされる病気は?

犬用ベッドで横になる体調が悪そうな犬

様々な病気の予防を行うべきと注意喚起がされていますが、中でも特に気を付けなければならないものが存在します。

どうしても予防を行うことが難しそうであれば、生活環境やわんちゃんの状態などにもよりますが、優先して予防を行うべき病気とも言えるでしょう。

リスクの大きさと、予防によってわんちゃんに対してかかる負担を比較したうえで予防を行うかどうかを決めると良いでしょう。

レプトスピラ症

人獣共通感染症とも呼ばれ、飼い主さんにも感染する可能性がある病気です。

レプトスピラ症は、野ネズミなどの野生動物の尿を媒介して感染する細菌が原因となる病気であり、感染するとわんちゃんは肝障害や腎障害、出血傾向などが見られ、ひどい場合は死に至る危険性もあります。

国内での発生は少なかったですが、最近では首都圏でもわんちゃんの感染が確認されていて注意が必要です。

アウトドアによく出かける子や、ネズミなどが見られたり接触する可能性のある地域のわんちゃんは、飼い主さんも感染してしまうことのないよう接種することをおすすめします。

マダニ感染によるSFTS

特に最近話題になっているウイルスによる感染症です。

「重症熱性血小板減少症候群」という病気で頭文字をとって「SFTS」と呼ばれます。

マダニを媒介してウイルスが感染し、発熱や血小板減少などが見られるため、出血傾向が見られるようになります。

最初は症状が気付きにくいですが、進行とともに神経症状や出血による全身状態の悪化などにもつながり、死に至る危険性もある怖い病気です。

SFTSは飼い主さんも感染し、命を落とす危険性のある病気です。

SFTSウイルスを予防する方法はまだ開発されていませんが、媒介するマダニを予防することでSFTSウイルスへの感染する確率を低くします。

パルボウイルス感染症・ジステンパーウイルス感染症

古くからわんちゃんを死に至らしめる危険性のある病気として知られているのがパルボウイルス感染症やジステンパーウイルス感染症です。

これらの病気は日常生活の中でも触れる可能性のある病気であり、特に子犬の集まるペットショップやブリーディングの場などで見られることのある病気です。

パルボウイルス感染症は消化器症状を、ジステンパーウイルス感染症は神経症状を呈して重症化することで、わんちゃんを死に至らす危険性のある怖い感染症です。

わんちゃんと接触する可能性のあるわんちゃんであれば、最低でもこれらの病気の予防をすることをおすすめします。

予防が難しいケースはどうしたらよい?

犬をなでながらカルテの記入をする獣医師

予防を行うことで怖い感染症になってしまうリスクを減らすことができますが、体調やわんちゃんの状態などによっては難しい場合もあるでしょう。

他のわんちゃんとの接触を控えなければならないこともあるかもしれません。

予防が難しい場合はどのように対策をしたらよいのでしょうか。

ワクチンの種数を減らす

ワクチンには様々な種類があり、含まれる病気の種類が異なります。

病気の種類の数が増えることで、体への負担がかかる場合もあり、高齢のわんちゃんや持病によってはワクチンの接種により体調が悪化してしまうリスクも考えられるでしょう。

致命的な病気の予防のみを目的とし、種数を減らすことも選択肢の一つです。

致命的な病気であるジステンパーウイルス感染症やパルボウイルス感染症の身を防ぐ2種ワクチンが最低の種数となり、かかりつけの先生と相談しながら、最低限の病気の予防だけを行うという方法でも安心できると思います。

抗体検査を行なって接種の可否やタイミングを決める

ワクチン接種の目的は、わんちゃん自身の免疫力を上げることになります。

充分に病気を予防することが可能な免疫力を持っていることがわかれば、ワクチンを接種する前の状態でも病気を予防することができます。

ワクチンの接種が難しい場合、抗体検査を行い、現在のわんちゃんのウイルスなどの感染症に対する免疫力を把握しておくと安心です。

こまめに抗体検査を行うことで、免疫力が低下した場合はワクチンを接種するという選択であれば、最低限の負担でワクチンを接種することが可能でしょう。

かかりつけの先生と抗体検査を行うタイミングや接種のタイミングについて、わんちゃんの状態を観察しながら決めることをおすすめします。

様々な寄生虫予防のアイテムがあるため、ストレスなく行えるものを探す

外部寄生虫の感染自体は、重度でなければ致命的なトラブルにつながりにくいですが、他の致命的な感染症を媒介してしまう危険性があり、他の感染症同様に対策が欠かせません。

最近ではおなかの虫やフィラリア、外部寄生虫が1つのお薬ですべて対策できるようにオールインワンタイプになっているものが主流です。

オールインワンタイプのものは便利である反面、経口投与のお薬であることが多く、わんちゃんによっては投薬が難しい場合もあるでしょう。

経口投与のお薬もチュアブルタイプや錠剤タイプなど様々であり、わんちゃんによってはチュアブルタイプに対しては警戒してしまうケース、錠剤は吐き出してしまうので苦手であるケースなどいろいろな事情があるとお聞きします。

お薬も様々な選択肢があるため、飼い主さんにとってもわんちゃんにとってもストレスになりにくいタイプのものを選ぶことで、予防へのハードルが下げられるでしょう。

まとめ

幸せそうな表情で上を見上げる犬

病気の予防はおうちのわんちゃんだけでなく飼い主さんの健康をも守る大切なものです。

そして他のわんちゃんとのかかわりもある社会の中で生活するために行う、一つのマナーとして欠かせません。

おうちのわんちゃんだけでなく、周りのわんちゃんや飼い主さんも含め、わんちゃんと人間が健康で問題のない生活を送れるよう、飼い主さんの責任として病気の予防は必ず行いましょう。

不安がある場合、「しない」という選択を一人で決断するのではなく、必ず専門家であるかかりつけの先生に相談することで最善の方法が見つかる場合もあります。

おうちのわんちゃんに最適な予防スタイルを見つけられると良いでしょう。

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