中古車選びは検索からAIへ? 最新調査が示す情報行動と判断の本音

2026-02-24 08:00
中古車選びは検索からAIへ? 最新調査が示す情報行動と判断の本音

スマートフォンひとつで、数えきれないほどの中古車情報にアクセスできる時代である。価格、走行距離、年式、修復歴、保証内容、口コミ評価――あらゆるデータが可視化され、比較は容易になったように見える。しかし、選択肢が増えたことは、本当に「選びやすさ」につながっているのだろうか。情報は豊富であるほど安心できるはずだが、同時に「何を基準に決めればよいのか分からない」という迷いも生まれる。特に中古車は一点物であり、同じ条件の車両は存在しない。だからこそ、購入者は限られた情報の中から最適解を探そうとするのである。そこで今回、埼玉県中古自動車販売商工組合 JU埼玉(https://ju-saitama.com/)は、関東圏在住の①中古車購入経験者②中古車購入検討者を対象に、「中古車選びにおける認知状況と情報収集・判断基準」に関する調査を実施した。

“知っている”と“理解している”の差が浮き彫りに

まず、「団体・名称について、あなたが知っているもの」という設問結果を見ると、最も認知度が高かったのは「ディーラー系中古車」で57.1%、次いで「中古車情報サイト」53.0%、「中古車専門店」42.3%という結果であった。日常的に広告や検索結果で目にする機会の多い名称ほど認知が高い傾向が見て取れる。一方で、「認定中古車制度」は31.8%にとどまり、「JU」12.9%、「JU適正販売店」11.5%、「JU埼玉」8.0%と、業界団体や制度そのものの認知は決して高い水準とは言えない。販売チャネルや情報サイトは広く知られているが、それを支える制度や団体の存在は十分に浸透していない実態がうかがえる。

さらに、「『認定中古車』について、あなたの理解に近いもの」という設問では、購入経験者でも「名前は知っているが、内容はよくわからない」が45.3%と最多で、「内容までよく理解している」は35.8%にとどまった。購入検討者ではその傾向がさらに顕著で、「名前は知っているが、内容はよくわからない」が60.5%を占めている。言葉の認知と制度の理解の間には、明確なギャップが存在しているのである。

情報収集は“まず検索”から! デジタル起点が当たり前に

続いて、「中古車を探す際、最初に行う情報収集行動として最も近いもの」という設問を見ると、購入経験者の53.4%、購入検討者の48.0%が「中古車情報サイトを見る」と回答している。次いで「検索エンジンで検索する」が経験者18.1%、検討者27.7%となっており、中古車探しの出発点が完全にオンラインへ移行していることが分かる。販売店やディーラーの公式サイトを見る層も一定数存在するが、まずは横断的に比較できるプラットフォームや検索エンジンで情報を集める行動が主流である。知人・家族への相談は1割前後にとどまり、AIに相談する層もまだ少数派ではあるが、検討者では5.7%と経験者より高く、今後の伸びしろを感じさせる結果となっている。

次に、「実際に調べる(または調べたい)内容」については、購入経験者では「価格帯」71.7%、「車種」70.8%が突出して高く、続いて「走行距離」59.6%、「メーカー」54.3%、「年式」51.3%と続く。購入検討者でも「車種」61.5%、「価格帯」60.3%が上位を占めており、やはり最優先されるのは具体的なスペック情報であることが明確である。保証の有無や整備状況といった安心材料も一定の関心を集めているが、まずは条件に合致する車両を絞り込む作業が重視されている構図である。

さらに、「利用したことがある、または利用したい情報源」では、経験者の61.3%、検討者の59.3%が「中古車情報サイト」と回答し、圧倒的な存在感を示した。販売店・ディーラーの公式サイトや検索エンジンも続くが、比較・口コミサイト、SNS、AIなどはまだ補助的な位置づけにとどまる。ただし検討者ではAIが9.7%と経験者より高く、新たな情報取得手段への関心が広がりつつあることも見逃せない。

これらの結果から見えてくるのは、中古車選びが“デジタル起点・数値中心”で進んでいるという現実である。まずオンラインで広く情報を集め、価格や車種といった明確な条件で絞り込み、その後に販売店や保証内容を確認する。情報の入り口は効率性が重視され、安心の判断は後段に置かれている。そのプロセス自体が、現代の消費行動の縮図であると言える。

検索から提案へ 中古車選びにおけるAIの可能性

「中古車選びのための情報収集の手段として、AI(ChatGPTなど)をどの程度活用するか」という設問では、「よく活用している」と回答した層が購入経験者で26.4%、購入検討者で30.6%となった。さらに「活用したことはないが、今後活用してみたい」は経験者44.2%、検討者57.3%と高く、特に検討層で前向きな姿勢が目立つ。一方、「活用したいと思わない」は少数にとどまり、AIはすでに現実的な選択肢として認識されている。

では何を相談したいのか。最多は「予算内で買えるおすすめの中古車」60.7%で、「自分の条件に合う車種の提案」52.3%、「走行距離・年式の目安」48.1%が続く。AIに求められているのは情報そのものではなく、膨大な選択肢を整理し、最適解を導く“判断補助”の役割である。

第三者評価が8割を動かす、安心の決定打

「中古車を選ぶ際、判断材料として重要だと思うもの」では、購入経験者・検討者ともに「車両価格」「走行距離」「年式」が上位を占めた。経験者では車両価格75.7%、走行距離70.2%、年式61.3%と、数値情報が明確な基準になっていることが分かる。検討者でも同様の傾向が見られ、まずは客観的なスペックで比較する姿勢が強い。一方で、修理歴や保証内容、販売店の信頼性といった要素も一定の割合を占めており、価格だけでは判断しきれないという意識もうかがえる。

では、何が難しさを生んでいるのか。「特に判断が難しいと感じる点」では、購入経験者の45.9%が「車両の状態を自分で正しく判断できない」と回答した。検討者でも30.6%が同様の不安を抱えている。さらに「情報が多く、何を基準に比較すればよいかわからない」「販売店ごとに説明内容に違いがあり、判断しづらい」といった声も挙がっており、情報過多と専門性の壁が意思決定を複雑にしている実態が浮き彫りになった。

こうした不安を和らげる条件として注目されるのが、「第三者機関の評価書あり/整備済み/保証付き」という要素である。これらの条件がそろうと、「やや高まる」58.9%、「とても高まる」25.7%と、実に8割以上が購入意欲の向上を示した。客観的な評価と整備・保証の明示は、消費者の不安を直接的に軽減する効果を持つ。数値で比較し、第三者で裏付けを取る――その組み合わせこそが、現代の中古車選びにおける安心のかたちである。

調査概要:「中古車選びにおける認知状況と情報収集・判断基準」に関する調査
【調査期間】2026年1月27日(火)~2026年1月29日(木)
【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】1,036人(①530人/②506人)
【調査対象】調査回答時に関東圏在住の①中古車購入経験者②中古車購入検討者と回答したモニター
【調査元】埼玉県中古自動車販売商工組合 JU埼玉(https://ju-saitama.com/)
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ

情報過多時代の中古車市場が向かう先

今回の調査から見えてきたのは、中古車選びがますます合理的かつデジタル主導で進んでいるという現実である。消費者は価格や走行距離、年式といった数値情報を軸に比較し、オンラインで効率的に候補を絞り込む。一方で、車両状態の見極めや情報の取捨選択には不安を抱えており、その不安を補完する存在として第三者評価や保証、さらにはAIへの期待が高まっている。

つまり、情報はすでに十分に存在している。課題は、その情報をいかに分かりやすく整理し、信頼性を担保し、納得感のある判断につなげるかである。認定制度の理解促進、評価基準の透明化、デジタルツールの適切な活用――これらが組み合わさったとき、中古車市場は“選びにくい市場”から“安心して選べる市場”へと進化する可能性を秘めている。

中古車は単なる移動手段ではなく、生活の質を左右する重要な買い物である。だからこそ、消費者が迷いなく判断できる環境整備こそが、これからの市場価値を決める鍵である。

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