振付師・Kenが語る『DREAM STAGE』の舞台裏 岩瀬洋志らが演じるTORINNERのダンスに込めた思い【ドラマTopics】

4歳よりダンスを始め、jazz・hiphop・house・lockなど幅広いジャンルを習得。東京を拠点に活動しているダンサーで振付師(コレオグラファー)のKenさん。これまでリュ・シウォン、AI、ANARCHYなどのバックダンサーを務めるほか、Da-iCE、超特急、ME:Iなど多数のアーティストの振り付けを担当してきた。そんなKenさんは、現在、TBS系金曜ドラマ『DREAM STAGE』に参加している。
Kenさんが振り付けを担当したのは、作中でNAZEのライバルグループとして登場する期間限定ボーイズグループ「TORINNER(トリナー)」。リョウ役の岩瀬洋志、ヨヌ役のHOJIN(KAJA)、アイク役の志賀李玖、イロ役の松瀬太虹、ニック役のISAAC(KAJA)の5人で構成され、劇中では「Top Tier」と「Eyes On You」の2曲を披露している。
ドラマという映像表現の中でダンスが果たす役割、キャラクター性を背負った振り付けの在り方、そして若き表現者たちと向き合う現場で感じた刺激とは。本作への参加を通して見えてきた、振付師・Kenさんの視点に迫る。
ドラマ参加で見えた表現領域の拡張と創作責任
コレオグラファーとして本作に参加した感想について、Kenさんは「このお話をいただいて、率直にうれしかったです」と切り出す。
ダンサーがドラマ作品に関わる機会は増えつつあるものの、それでもなお貴重な経験であるといい、「映像やストーリーの中で、自分たちの表現がどう機能するのかを、より深く知ることができる」と、その意義を語る。
「意を決した、というほど大げさではないですが、本当に自分ができる最大限のことをやろうという気持ちでした」。そう振り返る言葉からは、クリエイターとしての覚悟がにじむ。
ライバルグループを象徴づける振り付けコンセプト
Kenさんが手がけたのは、「Top Tier」と「Eyes On You」の2曲。それぞれに、TORINNERというグループの立ち位置を反映した明確なコンセプトが込められている。
「『Top Tier』に関しては、劇中でTORINNERがカリスマ的な存在として登場すると聞いていたので、まずは彼らのかっこよさを最大限に引き出したいという思いがありました」とKenさんは説明する。
歌詞に込められた「自分たちが一番だ」というメッセージを、振り付けとしてどう表現するかを考え、「勢いや、一人一人のかっこいい一面がしっかり見えること」を重視した。その一方で、「簡単にはできない、猛特訓してやっと形になるレベル」を求めた振り付けでもあったと明かす。
一方の「Eyes On You」では、TORINNERが持つカリスマ性を軸にしながらも、「『Top Tier』よりは、少し親しみやすさを持たせたい」という狙いがあったという。「かっこよさだけではなく、かわいいというほどではないですが親近感があって応援したくなる、そんな一面が伝わるように意識しました」と語る。
振り付けで意識する“輝かせ方”とサプライズ性
普段、振り付けを行う際に意識していることについては、「自分が踊る時とは、やはり考え方が違う」と前置きし、「踊る人たちがどうすれば一番輝くか、この楽曲にどうアプローチすればより輝くのかを常に考えています」と語る。
「ただ難易度が高い振り付けをするのではなく、見ている方が親近感を持てたり、楽しんでもらえたりすることを大切にしています」。加えて、Kenさんが重視しているのが“展開”だという。
「同じテンションが続かないように、動いているところから急に止めたり、逆に止まっているところから一気に動かしたり。そうした変化を意識しながら作ることが多いです」。
TORINNERの楽曲においても、独自の技法は随所に反映されている。「『Top Tier』の最後のラスサビ前は、ブリッジ(曲の展開を切り替えるパート)がすごく静かなので、ポーズが連続する流れを作っています。そこから、リョウのパートで急に大きく体を使ってノリ始めたり、一度後ろに下がってから一気に前へ走り出したりする。その切り替えが“展開”になるように考えました」。
フォーメーションが目まぐるしく変化する点については、「普段の活動人数と違うこともあって、立ち位置や動線を一瞬迷ってしまう場面もありました」と、振り入れの様子を振り返る。
K-POPやグループダンスの振り付けでは、同じ振り付けでも立ち位置だけが変わることが多く、「そこに苦戦している印象はありました」と率直に語る。
制作現場で得た学びと俳優陣へのリスペクト
本作に携わったことで受けた刺激については、「一人のクリエイターとして、本当にありがたい経験でした」と語る。「これまで一視聴者としてドラマや映画を見てきましたが、実際にはこれほど多くの人が関わり、これだけの時間がかけられている。その現場を知ることができました」。
何時間も撮影した中から、放送されるのはわずかな時間に過ぎない。それでも、「その積み重ねがあるからこそ、このクオリティが生まれる」と実感したという。「一つのものにどれだけ時間をかけるか、その大切さを改めて感じました。妥協してはいけないと、強く思いました」。
特に、岩瀬さんについては、「本当にリスペクトしています」と語る。撮影の合間にセリフの練習を重ね、韓国語のチェックを受けながら準備する姿を見て、「頭の中はどうなっているんだろうと思うほど」と感嘆する。
「俳優として、さらにダンスにも挑戦しながら、それぞれの役割をきちんと全うしている。その姿勢が本当にすごいと思います」と敬意を示した。
夢を追い続ける信念と次世代へのまなざし
最後に、夢を追う上で大切にしていることについて聞くと、Kenさんは「諦めないこと」と即答する。「僕は具体的な目標よりも、大まかな目標を持つことが多いのですが、口に出したり、周りに伝えたりすることはすごく大事だと思っています。言霊はあると思うので」と信念を明かす。
やりたかったことを諦める選択については、「それだけはしてほしくない」と語る。「仮にダンサーという夢が叶わなかったとしても、ダンスに関わる仕事は必ずある。形が違っても、続けられる道はあると思うので、本当に諦めずに、夢や目標についてたくさん口に出してほしいです」とエールを送った。
TORINNERの5人から受ける刺激については、「映像作品が初めてのメンバーもいると思いますが、『頑張りたいです』と目を輝かせている姿を見ると、すごくかっこいいなと思います」と笑顔を見せる。
「その分、ちゃんと“かまして”ほしいな、と。みんなの姿勢が本当に素敵だと思います」と温かなまなざしを向けた。そのまなざしからは、与えられた振り付けを超えて、彼ら一人一人のこれからを本気で信じ、背中を押そうとするクリエイターとしての覚悟がにじんでいた。
ドラマという表現の場で、キャラクターと物語を背負いながらダンスを形にしていく。その一つ一つに真摯に向き合う姿勢こそが、振付師・Kenさんの現在地であり、表現の可能性をさらに押し広げる原動力となっている。