独自【マギー司郎(79)】 「誰も傷つけない芸」の哲学 「〝抜けてる〟っていうのも、なんか人生には必要なんじゃないかな」「挫折もね、いいもんなんですよ」

おしゃべりマジックで長年ファンを魅了してきたマギー司郎さん(79)。
もうすぐ80歳の傘寿を迎える今、TBSの単独インタビューで、誰も傷つけない〝抜けてる〟芸の哲学や、ストリップ劇場での下積み時代、そしてこれからの芸人人生について明かしました。
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来月で80歳になる心境を尋ねると、マギーさんは独自の人生観を語り始めます。
◆マギー司郎さん
「いやあ、数えたら80なんですけど、そういう気持ちは全然ないんですよ」「よく僕が言うことなんですけど、完璧じゃなくて、あの、〝抜けてる〟っていうのも、なんか人生には必要なんじゃないかなって思うんです」と続けます。
その〝抜け〟が長く活躍する秘訣ではないかと指摘すると、マギーさんは「やっぱり〝抜けてる〟人じゃないと、この芸はできないなあっていうのはありますよね」と応じました。
さらに、その〝抜け〟は「計算されたもの」ではないかと尋ねると、マギーさんは笑って否定しました。「いやいや、そんなことないですよ。普通、80歳になったら、こういうくだらないことはやらないと思うんです。恥ずかしいとかね」と、語りました。
そう言うと、マギー司郎さんは、50年近く続けているという鉄板ネタを披露します。
「裏も表も縦縞のハンカチを手の中に丸めて、軽く揉むと横縞になるっていう」ネタです。
この芸を始めた当初は「『それってさ、マギーちゃん、手品じゃないじゃん』って、みんなに非難されたんですよ」と振り返ります。
◆マギー司郎さん
「でも、僕は『これでいいんじゃないの』って、自分で納得して。芸っておもしろくてね、〝抜け〟てても、誰も傷つけないんですよね」「だから批判されても、おもしろくないなあって思われても、それも混ざってて良いんじゃないかなって。僕は『駄菓子屋さんみたいな手品師』ですかね。駄菓子屋さんって、嫌いなモノも売ってるじゃないですか。でも買ってみないと、舐めてみないと、自分の『好み』じゃなかったって分からない。だから、そういう駄菓子屋さんみたいな手品師かなあって、時々思うときがあるんです。」と、自身の芸を表現しました。
唯一無二の「おしゃべりマジック」は、どのようにして生まれたのか問われると、マギー司郎さんは「最初はね、マニピュレーションって言って、トランプを出したり、『四つ玉』っていう玉を増やしたり、鳩を出したり。そういう本格派のマジシャンに憧れて、ちょこっとはやってたんですよ」と語ります。
しかし、マギー司郎さんは「早めにそれが挫折した」と笑います。
高校生のときに家出同然で上京し、芸人人生の前半14、15年ほどはストリップ劇場が主な舞台でした。
マギー司郎さんは「ストリップ劇場って、1日に4回、土曜日は6回も舞台があるんですよ。そうすると、ちゃんとしたマジックはできない」と、当時の状況を説明します。
「自然に、生きるために『こういう形』になっちゃったんだろうなと思うんですよね」と、明かしました。
ストリップを見に来た観客の反応は、当然ながら『厳しいもの』だったと言います。
マギー司郎さんは「男が出てきたら嫌じゃないですか、お客さんは。もう雰囲気で分かるんです。『引っ込め』っていうような人もいましたしね、当然。」と、当時を回想。
そうした逆境の中で、「『もうすぐ(マジックが)終わりますから、もうちょっとだけお願いします』とか言って」場を繋ぎ、時には「楽屋にある新聞とか雑誌を持って行って、『これ見て(時間を)20分もたせてください』って(お願いする)。そうするとお客さんも(雑誌や新聞を)取りに来るんですよ」と、驚きのエピソードを披露しました。
そして、この下積み時代の経験が、現在の芸風に繋がっているとマギー司郎さんは分析します。
◆マギー司郎さん
「今でもそうなんですけど、舞台に出ていくと、結構謝ってるんですよ。『よろしくお願いします、すいません』とか言っちゃうんだよね。この『低姿勢な芸風』は、下積み時代の経験が大きかったんだと思います」
厳しい下積み時代を経て確立した芸ですが、マギー司郎さん自身は「こんな楽な仕事ないなって今でも思ってるんです。だって、舞台は全然疲れないんだもん。楽しいだけ」と断言します。
その理由の一つが、おしゃべりの利点です。「おしゃべりって、すごく融通が利くんですよ。やってて失敗しても、言葉でフォローできるじゃないですか」
一方で、「音楽に『合わせてやる』マジックで失敗すると、もうフォローできない。『失敗』は『失敗』なんです。そうすると今度はお客さんが、『ああ、失敗しちゃってかわいそう』って思っちゃう。笑いにも繋がらない」と、本格的なマジックの大変さを述べます。
「その点、この『おしゃべりマジック』っていうのは、『失敗』も『成功』もあんまり関係ない。抽象的だから、お客さんには分からないじゃないですか〝わざとああいうふうにしたんですか〟って言われるくらい。」と語り、だからこそ、「挫折もね、いいもんなんですよ」と、マギー司郎さんは微笑みます。
さらに、「マジックって、多少手先を使うでしょ。で、『しゃべる』って頭も使うでしょ。だから多分、ボケにくいと思うの。そういう意味では、他のマジシャンにも勧めたいくらいです。20分やるなら5分か10分しゃべったほうが、人生にはプラスじゃないって。」と、健康面でのメリットも挙げ、周囲を笑わせます。
最後に『何歳まで舞台に立ち続けたいか』を尋ねると、マギー司郎さんは「うーん、呼んでいただければどこでも行きますし、呼ばれなくなったら『もういらないんだろうな』って思うだけ。だから、自分で線引きはしたくないっていう感じですかね」
『100歳まで現役』という可能性については、「100までできたら最高ですよね。可能性はありますよね。90ぐらいまでは、なんとか行けちゃいそうだよね」「Mr.マリックさんと一緒にハードな事をやる時もあるんですけど、あれで死ねるのもいいなあって思ったりもします。でもね、しばらく出来そうなのよ、これが。」と、穏やかな笑顔を見せます。
〝完璧〟を目指すのではなく、あえて〝抜け〟を大切にする。
失敗も、挫折も、批判も、すべてを包み込みながら舞台に立ち続ける。
80歳を前にしてもなお、その姿勢は少しも変わりません。
誰も傷つけず、誰かの一日を少しだけ軽くする。マギー司郎さんの〝抜けてる芸〟は、今日もどこかで人を笑顔にしています。
【担当:芸能情報ステーション】