「ただの3党協議じゃないのか」国民会議初会合も15分で終了・・・永田町では疑問の声 “悲願”の野党側が躊躇する背景に高市総理への警戒心【edge23】

高市総理が選挙公約に掲げた「消費税減税の実現」に向けて、ついに「国民会議」が動き出した。しかし、初回会議に参加した野党は「チームみらい」のみで、「中道改革連合」と「国民民主党」は参加を保留。永田町では早くも「ただの3党協議じゃないのか」との声が上がっている。
そもそも民主党の流れをくむ野党にとっては、給付付き税額控除の実現は悲願とも言える。なぜそこで二の足を踏む必要があるのか。取材を進めると、政府・与党側の思惑と野党側の警戒心が複雑に絡み合う構図が浮かび上がった。夏前の中間取りまとめを目指すこの会議は、果たして実を結ぶのだろうか。
TBS政治部の野党キャップ・新田晃一 記者と、経済部で内閣府・財界を担当する古市啓一朗記者が解説する。
「またか」から一転…冷静な受け止め カタログギフト問題の現在地
国民会議の開催に先立ち、高市総理をめぐる別の問題が浮上していた。先の衆院選で当選した自民党議員に対し、約3万円相当のカタログギフトを配布していたことが判明したのだ。
去年、石破前総理が同様の問題で世論の厳しい批判を浴びたことは記憶に新しい。
だが、野党側の対応は微妙だった。新田記者は「普通であれば『おかしいものはおかしい』と指摘するのが野党の役割だが、石破前総理の件とは状況が大きく異なっていた。高市総理を批判すれば、なぜか野党が批判されるという状況になっている」と分析する。
野党側は「腰が引けている印象がある」というのだ。
一方、古市記者によると「報道が出た直後は、霞が関でも『またか』という受け止めがあった」と振り返る。内閣府をはじめとする官僚たちの受け止めについて、古市記者によると「冷静に受け止めている人が多い」という。
その背景には、省庁側の「新年度の予算案審議を順調に進めたい。何よりも税制関連法案を年度内に通したい」という現実的な判断がある。軽油の暫定税率廃止など、法案が通らなければ社会的混乱も予想される中、実務者としては予算委員会での野党の追及がどの程度広がるかを見極めたいというのが本音だ。
15分で終了した第1回会議「ただの3党協議じゃないのか」
2月26日、総理官邸で開催された国民会議第1回。
しかし、参加したのは「自民党」「日本維新の会」そして「チームみらい」のみ。中道改革連合と国民民主党は参加を見送った。会議時間は15分程度で終了。新田記者は「永田町からは早速、これって国民会議じゃなくて、ただの3党協議じゃないのか、という声が上がっていた」と明かす。
当初参加の案もあった民間の有識者も今回は参加せず、完全に政党間の「顔合わせ」にとどまった。古市記者によると「政党間の調整でいっぱいいっぱいだった」という状況だ。
国民会議は本来、親会議をトップとした三層構造で設計されている。政党の実務者が中心となる「実務者会議」と、民間エコノミストや学者による「有識者会議」が今後設置される予定だが、「どのように始まっていくかは判然としない状況」だという。
中道改革連合が参加を見送った理由は複雑だ。もともと「給付付き税額控除」をめぐっては、選挙前に「自民」「維新」「立憲」「公明」の4党協議が行われていた。「実現に向けて来月から本格的に議論しましょうねと言っていたのに、高市総理は解散を打った」という不信感に加え、「突然、消費税減税が入ってきた」ことへの戸惑いがある。
国民民主党の玉木代表も25日の代表質問で高市総理に10点の質問を投げかけたが、「満足の行く回答ではなかった」として参加の判断を保留している。
「絶対我々のせいにされる」野党の警戒心の正体と政府の思惑
野党の本音が最も端的に表れたのは、議員会館のエレベーター内でのある出来事だった。新田記者が偶然同乗した別々の野党幹部が、「これ絶対できなかったら私たちのせいにされるよね」と口にしていたのだ。普段は必ずしも近い関係ではない両者だが、一致して懸念を示していた。
この警戒心の背景には、突如として議論のテーマとなった消費税減税をめぐる各党の立場の違いがある。チームみらいは消費税減税に明確に反対。中道改革連合の前身の立憲民主党は前回参院選では「食料品の2年間ゼロ」を掲げていたが、中道結成後は「恒久ゼロ」に転じた。国民民主党は「一律5%」を主張している。
古市記者は政府・与党側の思惑について、「実現できなかった場合に、政府与党とで連帯責任ではないが、どっちにも責任がある、という状況を作ることも可能にしたいんじゃないか」と分析する。
実際、消費税減税の実現には高いハードルが立ちはだかる。
2年間で約10兆円という財源確保が最大の課題だ。政府は「租税特別措置・補助金の見直し、税外収入など」と説明するが、具体的な特定は避けている。中道、国民ともに財源論が異なるなど、議論がまとまるか見通せない状況だ。
公明党出身の中道議員からは厳しい声も聞かれる。
「我々が与党だった時に自民党は「給付付き税額控除」や「食料品の消費税ゼロ」なんて『本丸』ではなく、議論もしてこなかった。高市さん以外は本当に本気でやるつもりなのだろうか」
夏前の中間取りまとめまで残された時間は4か月程度。古市記者の取材によると、霞が関からは「短すぎる」「4か月は無理筋だ」との声も漏れているとのことで、経済界も「永田町の論理で終わらず、実務を負担する民間の意見にも耳を傾けてほしい」と注視しているという。
国民会議をめぐり与野党が駆け引きを続ける一方で、物価高にあえぐ国民にも限界が訪れようとしている。国民の姿が見えてこない国民会議、今後の動向が注目される。