「相続できない家」問題の解決策:サンクコストに囚われず、ユーザーコストで「家のしまい方」を設計する

2026-03-02 11:45

PropTech-Lab(プロップテック・ラボ)は、住宅を「生涯の耐久消費財」と捉え、その「出口戦略」、すなわち家のしまい方について、サンクコスト(埋没費用)に囚われずにユーザーコストの視点から解説する記事を公開しました。

概要

PropTech-Lab(プロップテック・ラボ)は、住宅の「出口戦略」、すなわち家のしまい方について、サンクコスト(埋没費用)に囚われずにユーザーコストの視点から解説する記事を公開しました。人口構造の変化や建物の老朽化などを背景に増加している「相続できない家」や「引き継げない家」の問題に対し、経済学のサンクコスト理論とユーザーコストの枠組みを用いて、合理的な解決策を提示します。
イベント概要: 家のしまい方について、サンクコストに引きずられず、ユーザーコストを基準に最も損失の小さい出口を選ぶ方法を解説

サンクコストに囚われない「家のしまい方」とは

「相続できない家」や「引き継げない家」が増加している背景には、人口構造の変化、地域による需要の差、建物の老朽化があります。住宅は、使われなければ固定資産税や管理、修繕などの負担を生み、資産というより「管理の対象」となります。この問題の最大の要因は、経済学でいうサンクコスト(埋没費用)です。サンクコストとは、すでに支払ってしまい、どんな選択をしても取り戻せない費用のことで、家の売却や活用を妨げる心理的な原因となります。
記事では、サンクコストに引きずられず、かつユーザーコストを基準に最も損失の小さい「出口」を選ぶことが、家のしまい方として最も合理的であると述べています。意思決定においては、「過去にいくらかかったか」ではなく、「今日から先、いくらかかるか/いくら入ってくるか」が重要であると強調しています。

ユーザーコストで見える化する空き家の「負の家賃」

ユーザーコストとは、住宅を「持つ」ことで毎年どれだけのコスト(または収益)を生むかという概念です。空き家は、住むサービスを得ていないにも関わらず、固定資産税、管理費、修繕費、リスクといったコストが発生し続けます。これは、家賃を払って住んでいない状態、つまり「負の家賃」を払い続けているのと同じであると説明されています。
こうした「負の家賃」を把握するために、空き家を「家計簿」として捉え、固定資産税・都市計画税、火災保険料、最低限の管理費、交通費・時間、小修繕費、劣化・減価、リスク(期待損失)などを年額で合計することを推奨しています。この「空き家の家賃」を把握することで、サンクコストを混ぜずに、今日から先のコストを明確にすることができます。

出口戦略:売る・貸す・壊す・譲るをユーザーコストで比較検討

家の出口戦略は、原則として「売る」「貸す」「壊す(更地化)」「譲る」の4つに分類されます。記事では、それぞれの選択肢をユーザーコストの観点から比較検討することの重要性を説いています。
「売る」ことは、将来のユーザーコストをゼロにする選択肢ですが、買値より安いという理由で売却をためらうと、将来コストが積み上がり、結果的に損が拡大する可能性があると指摘しています。価格は市場に合わせ、時間をかけすぎないことが要点です。
「貸す」場合は、家賃収入がユーザーコストを相殺できるかどうかが重要であり、賃貸に出すためのリフォーム代は、未来の効果で評価すべきとしています。「壊す(更地化)」は、建物の減価とリスクを止められますが、解体費や土地の税金・管理費は残ります。また、近年は空き家対策の強化により、放置による固定資産税の特例措置の見直しも進んでいます。
市場が薄い地域では、「価格より総額の負担をどう減らすか」が中心となり、無償譲渡や自治体の制度利用も選択肢となり得ます。相続等で取得した土地を国に帰属させる仕組みについても触れられています。

「相続できない家」を生み出さないための三つの見える化

“相続できない家”を生まないためには、次の三つを「サンクコスト抜き」で見える化し、家族で共有することが重要であると述べられています。
1. 権利関係の見える化:誰が決める家なのか(共有の解消、相続登記の申請義務化など)
2. コストの見える化:空き家の“家賃”はいくらか(今日から先のユーザーコスト)
3. 出口の見える化:売る/貸す/壊す/譲る(期待ではなく、条件で決める)
すでに空き家になっている場合は、まず「行動」ではなく「棚卸し」から始めることを推奨しており、権利関係、建物の状態、市場性、管理の実行可能性などを確認し、方針決定を行う順番が示されています。

まとめ

トラブルにならない家のしまい方とは、サンクコストを手放し、ユーザーコストで設計することです。相続できない家の多くは、権利や出口よりもサンクコストで止まっています。意思決定は「過去」ではなく「今日から先」で行い、空き家は住む便益がほぼゼロなのにコストが出続ける「負の家賃」と捉えるべきです。家のしまい方は、空き家のユーザーコスト家計簿を作り、売る・貸す・壊す・譲るを総額で比較して選ぶことが大切です。政策も放置させない方向へ進んでおり、放置は選択肢を減らしやすい状況です。住宅をユーザーコストで捉える習慣は、維持管理から出口戦略まで、住まいに関する複雑な決断を支える明確な指針となります。

関連リンク

https://newscast.jp/news/3901887
https://pptc.co.jp/
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