【2026年4月法改正】実家の不動産「放置で最大15万円」の罰則リスク——相続登記・住所変更、ダブル義務化のデッドラインが迫る

2026-03-30 13:00

所有者不明の土地問題を解消するため、2021年に成立した改正不動産登記法が4月1日、全面施行される。すでに義務化が始まっている「相続登記」に加え、引っ越しや結婚で住所や氏名が変わった際に2年以内の登記申請を求める「住所・氏名変更登記の義務化」がいよいよスタートする。怠れば最大5万円の過料。さらに相続登記の申請漏れと重なった場合、合計で最大15万円のペナルティを科される可能性がある。なお、これは相続登記と住所・氏名変更登記の双方で、正当な理由なく申請を怠った場合の合算上限となる。
 累計取扱件数5万5千件以上、スマホで完結する相続登記支援サービス「そうぞくドットコム」を運営する株式会社AGE technologies代表取締役社長の塩原優太氏に、今現場で起きていることを聞いた。

日本の土地の4分の1近くが「所有者不明」

国土交通省や所有者不明土地問題研究会の調査に基づいた数字によると、全国の土地のうち約23%(九州地方の総面積を上回る約410万ヘクタール)が、登記簿では現在の所有者の所在が確認できない「所有者不明土地」となっている。この発生原因のうち63%は「相続時に名義変更が行われないこと」、29%は「転居時の住所変更登記が未了のこと」に起因する。

十数年にわたり手続きを放置することで、財産の行方が見えなくなるリスクが生じる。こうした事態を解消するため、国は相続登記と住所・氏名変更登記の両方を「義務」へと格上げした。
出典:https://www.gov-online.go.jp/article/202512/entry-10447.html

「駆け込み」が89.1%増——知らなかった人が急増

相続登記の義務化は2024年4月にスタートし、相続発生を知った日から3年以内の申請が求められている(猶予期限は2027年3月末、過料は10万円以下)。そして4月1日からは住所・氏名変更登記の義務化が加わり、変更から2年以内の申請が必要になる(猶予期限は2028年3月末、過料は5万円以下)。両方の申請漏れが重なった場合、合計で最大15万円相当の過料リスクが生じる。

AGE technologiesによると、2025年3月〜2026年2月の利用件数は前年同期比で約89.1%増と急増している。塩原氏は「テレビや新聞での義務化報道を通じて登記への関心が高まり、その影響を受けています。89.1%増という数字は、これまで気になりながらも動けずにいた方が一気に動き出したことの表れだと思います」と話す。


「ずっと前の相続なので自分には関係ない」という大きな誤解

利用者から相談時に最も多く聞く誤解はどのようなものか。塩原氏は「随分前の相続なので自分には関係ない、という声が非常に多いです。しかし施行日より前に行われた相続も、過去のものすべてが対象です。この点を理解されていない方がまだ非常に多い印象です」と指摘する。

猶予期限(相続登記は2027年3月末、住所変更登記は2028年3月末)だけを見ると余裕があるように思えるが、申請の準備には予想以上に時間がかかるケースも多い。「残り1年」という感覚が、気づけば「残り数か月」に変わってしまう前に動き出すことが重要だ。

「固定資産税を払っているから大丈夫」——なぜ誤解が生まれるのか

固定資産税を払い、実際に住んでいるのに、なぜ登記しなければならないのか——こうした疑問を持つ人も多い。塩原氏は「固定資産税を払っているだけでは相続したことにはなりません。実際に住んで税金も払っているから自分が所有者のはずだ、と思い込んでしまう方が非常に多いのです」と語る。

固定資産税の納税通知書は相続人代表者に届くため、「手続きが済んでいる」と勘違いしやすい。しかし相続登記は役所が自動で行うものではなく、本人が申請しなければ完結しない。「知らなかった」では済まされない以上、まず自分の状況を確認することが第一歩となるようだ。

新制度「スマート変更登記」にも落とし穴

今回の全面施行と同時に、「スマート変更登記」の運用も始まる。専用サイトに事前登録しておけば、法務局が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)から住所・氏名の変更情報を取得し、登記を自動更新する仕組みだ。

ただし、この制度には注意点がある。まず事前の申出がなければ自動更新はされない。海外転勤などで住民票が日本にない場合は対象外となるほか、相続(名義変更)はこの制度の対象外だ。親族が亡くなった際の名義変更は、別途、複雑な相続手続きが必須になる。名前が便利そうに聞こえる分、「全部自動でやってもらえる」という誤解が生まれやすい点にも注意が必要だ。

「まずは早めに動き出すことが大切」

相続登記の猶予期限(2027年3月末)まで残り1年を切ったいま、塩原氏はこう訴える。「書類収集から相続人間の合意形成まで含めると、数か月を要することもあります。期限間際は法務局の混雑も予想されます。ご自身で行うにしても、専門家に頼むにしても、まずは早めに動き出すことが大切です」。

「知らなかった」では済まされない——。4月からの新制度を前に、まず自分や家族の不動産の登記状況を確認することが、何より重要な第一歩となる。

取材協力/塩原優太(しおはら・ゆうた)
株式会社AGE technologies代表取締役社長。スマホで完結する相続手続きWebサービス「そうぞくドットコム」(累計取扱件数55,000件以上)を運営。煩雑な相続手続きのDX化を推進している。
https://so-zo-ku.com/

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