シリアの孤児支援のため、東京・池袋で「ラマダン(断食月)の夜」に開かれたイベント

ラマダン(断食月)の日没後の食事を、ムスリムもそうでない人も一緒に
イスラム教徒(ムスリム)にとっては、この1か月ほど、日本では2月19日から3月20日まで、イスラムの暦で9番目の月、「ラマダン(断食月)」でした。
日没後、最初にとる食事をアラビア語で「イフタール」と呼びます。
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ラマダン中の3月1日(日)、東京・池袋の「としま産業振興プラザ」ホールで、「イフタール」を共にするイベント「ラマダンフェスティバル(Ramadan Festival 2026)」が開かれました。
内戦が続いていた中東の国、シリアの人たちを支援する団体「シリアンハンズ(Syrian Hands)」の主催です。区内にあるモスク「マスジド大塚」や「日本イスラーム文化センター」が協力しました。
昼間、飲食をしないだけでなく、コミュニティを大切にし、交流する一か月
会場に入る時に、ペットボトルの水と、デーツ(ナツメヤシの実)など甘いものが入った袋が渡されます。断食中は血糖値が下がっているので、まず甘いものをとる習慣だということです。そして、ムスリムの参加者は日没後の礼拝を一緒に行いました。
その後、司会が「ご参加いただき誠にありがとうございます。ラマダンはムスリムにとって、断食や振り返り、そしてコミュニティを大切にする特別な月です。ここ日本で、ムスリムの方もそうでない方も一緒にこの時間を分かち合えることをとても嬉しく思います」と話して、イベントは始まりました。
イフタールとして用意されたアラブの料理のお弁当を食べるだけでなく、会場では、ラマダンの記念の写真を撮ったり、アラビア文字の書道を体験したりするコーナーもありました。
ムスリムも、そうでない人も、楽しみ、交流する場でもあります。
内戦が続いていたシリアの孤児を支援する団体が主催
販売コーナーでは、シリア・アレッポの伝統的な製法で作られた石鹸(紛争のため、トルコで現在は作られている)や、タルビーナという料理の材料、様々な手作りのアクセサリーなどがありました。売り上げは全て寄付されます。
シリアでは1年ほど前に新しい政権が発足しましたが、混乱が収まったとは言えない状況です。「シリアンハンズ」は日頃から、シリア、そしてイスラエルとの紛争が続くパレスチナの人たちなども支援しています。
この日の参加者は、10カ国以上から集まった、60人。13万円近い金額が集まり、戦争で親を失ったり、親と離ればなれになった子供たち20人を1か月支援する費用に充てるということです。
ムスリムの参加者たちの声
日本生まれ育ちのムスリムの男性は「母が日本で、父がモロッコ系のフランスの移民で、群馬県から来ました。シリアの人もそうだし、リビアの人もパレスチナの人もそうですけど、大きい長い戦争で苦しんだ人たちが多いんで、そういう人たちに少しでもザカート(喜捨)ができるんであれば、ちょっと気持ちでしかできないですけど、やりたいなと思って、来ました」と話します。
また来日13年という男性は「国籍はパキスタンで、今日は静岡から来ました。東京っていうのもあって、こういう集まりができるんですけれども、地方へ行くと、そういう集まりがなかなかないもので、寂しいっていう気持ちはあります。ムスリムにどういう方がいて、どういうことをやっているのかを知ってもらえれば、日本の方が受け入れやすい関係になるんじゃないかなと思っているので、誰でもいつでもウェルカムです」と話していました。
また、幼い子供を連れて、一家で来ていた男性は「子供の頃から、そういうラマダンとかで、日本の社会で、自分一人がムスリムじゃない、周りに同じ人が結構いるところを意識してもらうために、できる限り参加するようにしています」と話します。
イフタールのお弁当を食べた後は、「シリアンハンズ」のこの1年間の活動について報告がありました。
ムスリムではない参加者の声
そのあと、会場はイスラム教の知識についてのクイズで盛り上がりました。
エジプト人女性たちのグループを知り、そこを通じて参加したという、ムスリムではない女性は「ラマダンのイフタールに参加するのは初めてです。美味しいので、すごく楽しんでます。アラブ文化自体には、興味が元々ありましたが、水を飲んではいけないのは知りませんでした。水も駄目なんだと思って、びっくりしました。日本に住んでるムスリムの人たちがどう生活してるのかっていうのは、知り合いにいなかったので、今日来てよかったです」と話していました。
最後、ムスリムは一日の最後の礼拝、そしてラマダン期間中の特別な礼拝を行い、閉会となりました。
このように、ラマダンの時期は、単に飲食をしないだけでなく、様々な人たちとのお付き合い、交流の時間を取る機会でもあります。
イスラム教に基づく文化を知る機会は様々に
放送日の3月21日(土)は、ラマダン明けの「イード」というお祝いのイベントが日本でも各地で開かれました。
こうした場への参加は、シリア、パレスチナなど紛争の続く地域で苦しんでいる人たちのことを知ったり、思いを寄せたり、支援する機会にもなります。
日本でも地域によっては、学校にムスリムの生徒がいるのも珍しくないですし、ムスリムが働く職場も増えています。慣習や考え方が違うのは当たり前です。
今回取材した「ラマダンフェスティバル」のように、お互いを知る機会は普段から周りにあります。探してみてはいかがでしょうか。
TBSラジオ「人権TODAY」担当: 崎山敏也記者