高市総理“年越えて石油の供給確保にめど” 原油代替調達のキーマンに聞く 一方でトランプ氏「ひとつの文明全体が死に絶えようとしている」…迫る交渉期限の対応は?【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-04-08 12:06

トランプ大統領が通告しているイランとの交渉期限がおよそ10時間後に迫っています。こうした中トランプ大統領は「ひとつの文明全体が死に絶えようとしている」とイランを改めて強く警告しました。

【写真を見る】原油調達の代替ルート コスト倍増の懸念も

高市総理「年を越えた石油の供給確保にめど」

鹿児島市にある、まちの歯医者さん。中東情勢の影響は遠く離れた、ここでも…

よしかわ歯科 義川耕平 副院長
「注文して2~3日で届くグローブが、なかなか届かなかった。7日に届いた、(グローブの)箱が。それでも2週間ぐらい」

原油を精製して作られる、ナフサが原料の「医療用のグローブ」。治療に欠かせないものですが、中東情勢の悪化に伴う急速な需要の増加などからメーカーも在庫不足となり、普段より値段の高いものでも選ばざるを得ない状況です。

よしかわ歯科 義川耕平 副院長
「(グローブの)価格が上がっても診療代の値上げができるわけではないので、どうにか節約しながらやっていくしかない」

わたしたちの食卓にも影響が出るかもしれません。

生産量日本一を誇る鹿児島県垂水市の養殖カンパチ。4月から6月末にかけて中国から船で稚魚を輸入する予定でしたが、重油不足の影響で輸送に遅れが出ているそうです。

垂水市漁協 篠原重人 組合長
「5 ~6万匹しか導入(輸入)されていない。今後4月10日に1隻は来ることになっているが、それ以降、段取りついていない」

エネルギーの安定供給への懸念が高まる中、高市総理は7日夜…

高市総理
「中東や米国などからの調達で、現時点において4月前年実績比で2割以上、5月には過半の代替調達にめどがつきました」

ホルムズ海峡の代替ルートで原油の調達に最大限注力した結果、「年を越えての供給を確保できるめどがついた」と明らかにしました。

政府はさらに、5月からは原油の代替調達を本格化させる予定です。今後、原油をどう確保していくのか。原油調達のキーマンに聞きました。

原油の代替調達は中央アジア・豪州から キーマン「5月から本格化」

INPEX 上田隆之 社長
「INPEXは、中東以外でもオーストラリアやアゼルバイジャン、カザフスタン、色々な国で原油あるいは天然ガスの生産を行っている」

政府も株式をもつ、日本最大級のエネルギー開発会社「INPEX」。カザフスタン、アゼルバイジャン、オーストラリアの油田やガス田の権益を持ち、5月にもオーストラリア産の原油が日本に到着するといいます。

さらに、中央アジアのカザフスタンとアゼルバイジャンにある原油については、これまで主にヨーロッパ向けに販売していましたが、今後、日本へ優先的に供給すると明らかにしました。

ルートはカスピ海にあるカザフスタン、アゼルバイジャンの原油をパイプラインを使って黒海へ。タンカーに移し替え、地中海、紅海を通っていき、ホルムズ海峡を避けて日本に向かわせます。

ほかにも、喜望峰を回るルートもあります。しかし、問題は輸送日数とコスト。ホルムズ海峡を通る中東産は20日程度に対し、カスピ海の原油の輸送は最低でも40日程度かかります。時間がかかる分、コストもかさみます。

INPEX 上田隆之 社長
「中東から持ってくるのと、アゼルバイジャンから持ってくるのを比べると10倍くらい船賃が高い

さらに、供給の9割を中東に依存する日本にとって、ここだけでは賄いきれないといいます。

INPEX 上田隆之 社長
「中東に代わる世界全体の代替供給先は正直言ってない状況だと思います。供給が縮んでますので、やや争奪戦になってると思う」

交渉に進展は? トランプ大統領「イラン全土は一晩で壊滅できる」

世界が原油の確保に苦慮する中、ホワイトハウスで行われた恒例のイベント・キリスト教の復活祭に姿をみせたトランプ大統領。親子連れらがスプーンで卵を転がすなど、楽しみました。

和やかな雰囲気の中、トランプ氏が問われたのは「イラン問題」です。

――イランへの攻撃は、戦争犯罪では?

トランプ大統領
「奴ら(イランの体制側)は4万5000人も殺した。それ以上、6万人に上るかもしれない反体制派を殺したんだ。奴らは動物だ。戦争犯罪が何か分かるか?いかれた国に核兵器を持たせることだ

そして、このあと臨んだ会見では…

トランプ大統領
「東部時間7日午後8時までイランには猶予を与えている。それを過ぎれば奴らは橋も発電所も失う。石器時代だ」

トランプ氏がイランに示した交渉期限は、アメリカ東部時間の7日午後8時。日本時間の8日午前9時です。

会見でトランプ氏は、ホルムズ海峡の開放が「非常に大きな優先事項」との認識を示し、「交渉は順調に進んでいると思う」とも述べました。

ただ、交渉で合意しなかった場合として、「イラン全土は一晩で壊滅し得る。それは“明日の夜”かもしれないな」と警告しました。

この会見を受け、イランの軍事精鋭部隊・革命防衛隊は、改めて徹底抗戦の姿勢を強調しました。

イラン革命防衛隊(声明)
「妄想にとらわれたアメリカ大統領の無礼で傲慢な発言や根拠を欠いた脅しは、アメリカとイスラエルへの攻撃の継続に何ら影響を及ぼさない

ロイター通信などは、イランでは若者らに対し「攻撃目標となりうる発電所周辺に集まり、“人間の鎖”を作るよう呼びかけられている」と伝えています。

「ひとつの文明が死に絶えようと」イランへ警告

互いに強気の姿勢をみせるアメリカとイラン。戦闘終結への道筋はなかなか見えてきません。

ニュースサイト「アクシオス」は、イスラエル当局者の話として、「ネタニヤフ首相がトランプ氏と5日に電話会談し、現時点では停戦に踏み切らないよう求めた」という情報を伝えています。

トランプ氏は、“イランがアメリカの要求を受け入れれば停戦は可能”としつつも、濃縮ウランの引き渡しやウラン濃縮活動の放棄といった条件は譲らない姿勢を強調したということです。

イランはこれまで、平和目的でのウラン濃縮活動は「権利」だと主張しています。

戦闘から1か月以上経ちますが、出口戦略を示さないトランプ氏に記者からは…

――終わらせる気はあるんですか?

トランプ大統領
「分からない。知らない。イランの出方次第だ」

会見の最後には、日本などを名指しして「軍事作戦に協力しなかった」と不満をあらわにしました。

トランプ大統領
「NATOだけじゃないだろ?他に助けてくれなかったのは?韓国、オーストラリア、日本だ!

日本とイランをめぐっては... 

木原稔 官房長官
「在イラン日本国大使館は、1月20日にイラン現地当局に拘束された邦人が現地時間4月6日に保釈されたことを確認している」

政府は保釈された日本人について、在イランの日本大使が面会し、健康状態に問題がないことを確認したと明らかにしました。

保釈されたのはNHKのテヘラン支局長とみられ、首都テヘランのエビン刑務所に収監中だったとされます。

そして、トランプ氏はSNSを更新。

トランプ大統領
ひとつの文明全体が死に絶えようとしている。2度とたて直せないほどに。私はそうなってほしくないが、おそらくそうなるだろう」

自らが設定した交渉期限が迫る中、改めてイランに強く警告した格好です。

アメリカ・イスラエルがカーグ島攻撃

イランのメヘル通信は7日、ペルシャ湾にある原油輸出の拠点カーグ島に、アメリカ軍とイスラエル軍が複数回攻撃を行ったと報じました。

この攻撃について「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、アメリカ当局者の話として「アメリカ軍がカーグ島の軍事目標50か所以上に攻撃を行った」と伝えました。

また、「FOXニュース」の記者はSNSで、「標的にはレーダー施設や弾薬庫などが含まれていた」と投稿しています。

一方、「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記事では、「アメリカと仲介国が
イランと45日間の停戦実現に向けて働きかけを続けているものの、進展はほとんど見られていない」とも伝えています。

年を越えた石油の供給見通し その確実性は?

藤森祥平キャスター:
イラン情勢で左右されているのが、原油の価格です。

この供給について高市総理は7日夜の段階で、「年を越えて石油の供給を確保できるめどがついた」とし、国会でも「今すぐ節約をして下さいと申し上げる用意はない」と説明しました。これが今の日本の備えです。

小説家 真山仁さん:
「めどがついた」というのが具体的にどこまで確実なのかを皆知りたいですよね。

中東から石油を輸入できなければ、世界中が中東以外から輸入することになるので、競争になります。

めどがあることがわかっただけなのか、購入契約までできているのか。確保しても、ものすごく値段が跳ね上がっているはずです。そのようなお金はどこにあるのでしょう。

こういう場合、他の国はまず国民に節約を求めるところから始めていますが、高市総理は「節約しなくてよい」と言っています。さらにガソリンの補助金も出そうとしています。

しかし、すごく値段が高騰している石油をこれから購入する場合に、年を越えて石油が供給できることになるのであれば、お金の使い方がかなり心配です。

藤森キャスター:
「現時点では」という点は強調しないといけないかもしれませんね。

小川彩佳キャスター:
国内の長期金利も一時2.43%まで上昇していました。約27年ぶりの水準を連日更新しています。

小説家 真山仁さん:
長期金利が上がると、住宅ローンなどが心配な上に、お金がなくなれば、最終的に国債を発行するしかなくなります。その国債の利回りも上がってくるので、結果的にそれを償還する時にまたクーポン代を払わないといけません。

どんどんお金が出ていく環境が日本で続いているときに、「責任ある積極財政」の言葉の意味をちゃんと考えているのか、高市総理に聞いてみたいところです。

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<プロフィール>

真山仁さん
著書に能登地震がテーマの「ここにいるよ」
最新作は「チップス ハゲタカ6」

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