「過失で終わるのは納得できない」“危険運転”での起訴求める遺族の訴え すり減ったタイヤで走行のトレーラーで起きた事故で女性死亡

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-04-10 19:15

3年前、茨城県常総市で大型トレーラーが横転して下敷きになった車の女性が死亡しました。「極端にすり減ったタイヤ」で走行していたトレーラーは“危険運転”に当たらないのか?遺族の訴えです。

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星さん夫婦。毎日欠かさず向かう場所があります。

父 星伸一さん(58)
「雨が降ろうが、風が吹こうが毎日来ています」
母 ひろみさん(58)
「有里紗がいると思うと会いたいですね」

娘の有里紗さん(当時21)。幼い頃から料理が好きで、夢だった栄養士として働きはじめた矢先のことでした。病院から「事故にあった」と電話がかかってきたといいます。

家族全員で病院に向かうと…

母 ひろみさん
「本当にうそみたいな感じで、きれいな顔してて」
父 星伸一さん
「触ったら冷たいんですよね」

医師からは即死に近い状態だったと告げられたといいます。

母 ひろみさん
「まさかね…、今度会うときは死んじゃうなんていうのは誰も思わないじゃないですか。本当にあるんだ、あんなつらいこと…」

その日は家族で、母・ひろみさんの誕生日を祝おうとしていたといいます。家族が待つ家にまもなく着くころでした。

2023年5月19日の午後4時55分ごろ、茨城県常総市の国道を軽乗用車で走っていた有里紗さん。すると、対向車線を走る大型トレーラーが突然スリップし、こちらの車線に進入してきます。トレーラーは有里紗さんの車の前を通って、そのまま街路樹に衝突。そこへ乗用車が突っ込みます。

ここでトレーラーはとまりませんでした。回転しながら横転し、有里紗さんの軽乗用車が下敷きになったのです。

事故直後の写真。大きなトレーラーの下に有里紗さんの車が。車の中からは母・ひろみさんが大好きだという発泡酒の缶が見つかりました。

母 ひろみさん
「私の誕生日5月18日(事故前日)で、個人的にビールが好きなんですよ。それで有里紗が買ってくれたやつで」
父 星伸一さん
「ちゃんと受け取ったよって置いています」

その後の警察の捜査で、トレーラーの駆動輪のタイヤ4本の溝が保安基準を下回る1.6ミリ以下にすり減っていたことがわかりました。事故当時は水たまりができるほど雨が降っていて、路面は濡れた状態でした。

警察は、著しく摩耗したタイヤで制限速度を超えるスピードを出したことが事故を招いたと判断。最初に衝突した車の男性に重傷を負わせたうえ、下敷きになった車の有里紗さんを死亡させたとして、過失運転致死傷より法定刑の重い危険運転致死傷などの疑いで書類送検しました。

ところが、事故からまもなく3年が経ちますが、運転手の男性は、いまだ起訴されていません。

有里紗さんの部屋は、あの日のままです。

母 ひろみさん
「有里紗がいなくなって3年経つんですけど、やっぱり有里紗のいない日常に慣れるってことはないですよね」

そんな中、先月26日、起訴を判断する検察官と面談した際、こう告げられたといいます。

父 星伸一さん
「『過失運転の方向で行きたい』というような」
母 ひろみさん
「ちょっとはっきり言われました。納得できないんですよね、どうしても。事故の重さを認識してもらいたい」

遺族側はきょう、危険運転致死傷罪での起訴を求め、東京高検へ要望書を提出。遺族の代理人弁護士は、道路の形状や当時の路面の状況、車の構造や性能など具体的な状況を考慮したうえで判断すべきだと主張しました。

遺族の代理人弁護士
「すごい土砂降りの雨でした。上り坂、右カーブ。そして丸坊主(すり減ったタイヤを装着)。三つの要素を考えれば、当然、時速80キロで走っていれば、スリップして、横転して、進路を逸脱することは明らかじゃないかと」

極端にすり減ったタイヤでの運転。どんな危険があるのでしょうか。

とある運送会社に見せてもらったのは廃棄前のすり減ったタイヤです。溝が浅くなっているのがわかります。溝の深さは6ミリ。事故を起こしたトレーラーのタイヤ4本の溝の深さは少なくとも1.6ミリ以下で、見せてもらったタイヤよりも、さらにすり減った状態でした。

乗用車が濡れた路面をすり減ったタイヤで走行した実験映像。タイヤがすり減っているほど、停止するまでの距離が長くなることがわかります。

トレーラージャパン(株)北関東支店 浅野勇気 支店長
「カーブのときに横に力がかかると思うんですけど、遠心力のところでのすべりというのも感じるはず、スリップが考えられます」

さらに、大型トレーラーの場合はスリップした後に、危険な「ジャックナイフ現象」が起きることがあるといいます。

トレーラージャパン(株)北関東支店 浅野勇気 支店長
「急ブレーキとか、急ハンドルとかを取られたときっていうのは、後ろからの重量っていうのが一気にこのヘッドの方にかかりますので、『ヘッド自体が制御不能になってしまって、くの字に折れてしまう』。そうなると、もう正直どういうふうにコントロールしたら元に戻るのかわからない」

事故を起こしたトレーラーもスリップした際に、この「ジャックナイフ現象」を起こしたとみられています。

すり減ったタイヤのトレーラーで起きた事故は危険運転にあたるのか。

父 星伸一さん
「やっぱり家族一丸でね、有里紗の生きた証、尊厳を守るために今後も戦っていきたいと思います」

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