未解決事件、残された姉が考える「グリーフケア」の意味

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2026-04-15 17:00
未解決事件、残された姉が考える「グリーフケア」の意味

悲しみ、喪失を語り合える場を

東京都品川区旗の台にある「スペース『あはひ』」。ここは2000年に起きた「世田谷一家殺害事件」で妹を亡くした入江杏さんが2024年に開設した施設です。こちらは入江さんが代表を務める「ケアミーツアート研究所」の拠点と位置付けられていて「グリーフケア」の活動が不定期で行われています。

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グリーフは死別や災害、事故などで大切な存在を失ったとの深い悲しみや痛みのことです。そのような思いを抱えた人をサポートすることを「グリーフケア」と言います。ご自身の経験も交えて全国各地で「グリーフケア」にまつわる講演をしていた入江さんですが、なぜこのような固定のスペースを作ろうと思ったのか。お話を伺いました。

ケアミーツアート研究所代表・入江杏さん
「大きな講演会って場所を借りるなど結構大変だったんです。それも大事なことなのですが、小さな場で語り合うっていうのもまた大切だと。例えば授業や講演会で話すのを少しほぐす場というか。私が動ける時に何か出来ること、伝えらえることをやればいいんじゃないかと。家族や仲間の言葉もあって『あはひ』を開設しました。小さな場ですが様々な方を紹介できる一つの器もできたと思います」

『あはひ』は古語が由来で「間」を意味します。入江さんは多くの間=タイミングに偶然に救われ、また、元々この言葉が好きだということもあり名付けたといいます。

実はこの場所は入江さんの生家をリノベーションして作られました。入江さんが子供の頃に妹さんと遊んだ庭も残されています。事件が起こる前から妹さんと「いつか地域の方たちが集まれる場所を作ろう」と約束していたそうで、その夢を形にした場所でもあります。

残された姉・入江杏さんが考える「グリーフケア」

一般的な「グリーフケア」は同じ体験を持つ人たちが集まって対話したり、専門家による心のサポートを行うことを言います。しかし『あはひ』では、その枠にとどまらないような幅広い活動が行われていました。入江さんに、「スペース『あはひ』」での活動内容や、グリーフケアへの思いを聞きました。

ケアミーツアート研究所代表・入江杏さん
「ここでは絵画展もしました。それから詩の作家の方も呼ぶイベントもやりました。だから、グリーフケアっていうイメージを超える様々な表現、色々な出会いの場というのを創出できればいいと思っています。グリーフを『死別』だけだと捉えるとちょっと違っていて、もう少し広げていきたいんです。例えば『結婚』。凄く良いことのように思いますが、結婚と同時に失う物もありますよね。例えば1人の時間とか自由とか。そういうポジティブなイベントだと思っていたことも実は『喪失』が常につきまとう。悲しみの形っていうのは人それぞれ違うと思うんですが、どこか深いところでは繋がっている水路なんじゃないかと思います。それぞれの人や心の中にある『悲しみ』っていう共通の水脈ですね」

スペース『あはひ』には、大切な人を亡くした方だけではなく、仕事をリタイアした喪失感からこの場所に行きついた方などもいます。活動内容については、参加者同士の対話だけでなくアートワークや読書会など、自分と対話し自己表現を行う活動も大事しています。

様々な人と心の底で繋がっていく

また連続した講座も開催されていて私も4月7日(火)に参加してきました。講師は昭和医科大学教授で院内学級の指導教員も務めている副島賢和教授です。この連続講座ではジブリ作品を通して「自分も相手も大切にするにはどうすればよいのか」という問いについて考えました。

参加者は様々な年齢の男女20名ほど。今回は「『天空の城ラピュタ』に学ぶ、自分を守る言葉」というテーマで、代表的なセリフ「バルス」を例に挙げ、喪失体験から立ち直るときに「おまじない」となる言葉や、自分を守る言葉を考えるという内容でした。

スペース『あはひ』での活動について副島賢和教授にお話を聞きました。

昭和医科大学・副島賢和教授
「この場所で人との繋がりを通して、自分自身を見つめる時間を持ってもらえたらなと思っているんです。この『あはひ』が、例えば誰かが落っこちてしまうような隙間ができているものを埋めたり、支えたりできる空間・場であったらいいなと。そんなイメージを持って活動をしています」

スペース『あはひ』は、特別な体験をした方に関わらず、誰でも受け入れてくれる場所です。副島教授の次回の講座は5月12日(火)に開催されます。講座の詳細や他のイベントについてはケアミーツアート研究所までお問い合わせください

(TBSラジオ「人権TODAY」担当 : 亀山真帆)

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