北九州市Z世代課が描く新しいまちづくり 若者と共創した2年間の挑戦

2026-04-17 08:00

「若い人の声をもっとまちづくりに活かしたい」
そんな言葉はよく聞くものの、実際にどこまで形になっているのかは、なかなか見えづらいものです。

そんな中、福岡県北九州市では、若者を“支援する対象”ではなく“パートナー”として捉え、一緒にまちをつくる取り組みが進められてきました。しかもそれを専門に担う部署まで立ち上げ、2年間にわたって実践してきたというから驚きです。

今回、その歩みや具体的なプロジェクトがひとつの形としてまとめられ、誰でも見られるようになりました。
若者のアイデアがどのように社会とつながり、実際の取り組みに広がっていくのか。そのプロセスを知ることで、「まちづくりって意外と身近かもしれない」と感じるきっかけになるかもしれません。

若者と一緒にまちをつくる 全国初の「Z世代課」とは

北九州市が立ち上げた「Z世代課」は、2024年4月に設置された全国初の部署です。名前の通り、いわゆるZ世代と呼ばれる若い世代にフォーカスし、その価値観や考え方をまちづくりに活かしていくことを目的としています。

これまで行政の取り組みというと、どうしても「市民の声を聞く」という形が中心でした。しかしZ世代課では、その一歩先をいき、若者を“対象”としてではなく、“一緒に考えるパートナー”として位置づけているのが大きな特徴です。

なぜそこまで若い世代に注目するのでしょうか。背景には、人口減少や産業構造の変化など、社会全体の大きな転換があります。これまでのやり方だけでは対応しきれない課題が増える中で、新しい価値観や柔軟な発想が求められる場面は確実に増えています。

その中で、これからの時代を生きていく若い世代の考え方を理解し、それをまちづくりに取り入れていくことは、単なる若者支援にとどまらず、地域そのものの未来を考える上でも重要な意味を持ちます。

Z世代課は、そうした変化を前向きに捉え、「若者から学ぶ」という姿勢を大切にしながら、スピード感のあるまちづくりを目指しています。行政と若者の関係性をアップデートする取り組みとして、全国的に見ても珍しい存在といえるでしょう。

アイデアが形になる 若者発のプロジェクトが動き出している

Z世代課の取り組みを特徴づけているのは、若者の声が“そのまま終わらない”点にあります。アイデアを聞いて終わりではなく、実際のプロジェクトとして形にしていくところまでつながっているのが大きなポイントです。

その代表的な取り組みのひとつが、「Z世代はみ出せコンテスト」です。名前の通り、既存の枠にとらわれない自由な発想を歓迎する企画で、若者たちが自分のアイデアを発信し、それを実現に近づける機会となっています。単なるコンテストではなく、“挑戦のきっかけ”として機能している点が印象的です。

また、実際に形になった事例として挙げられるのが、「KOKURA DANCE STATION」です。誰もが自由にダンスを楽しめる空間として整備され、若者の声をきっかけに生まれたプロジェクトの一例となっています。アイデアが具体的な場所や体験として広がっていく様子は、この取り組みの分かりやすい成果といえるでしょう。

こうしたプロジェクトは一部に過ぎず、ポータルサイトでは複数の取り組みが一覧で紹介されています。それぞれの内容を見ると、ジャンルやテーマはさまざまですが、共通しているのは「若者の発想を起点にしている」という点です。

アイデアがそのまま消えてしまうのではなく、誰かとつながり、実際のアクションへと発展していく。この流れがあることで、若者にとっても「関わる意味」が生まれ、取り組み自体の広がりにもつながっているように感じられます。

“支援される側”から“共に考える存在へ 若者と行政の関係が変わる

これまでの行政の取り組みでは、若者は「支援される側」として扱われることが一般的でした。しかしZ世代課では、その前提が大きく変わっています。

若者を一方的にサポートするのではなく、「一緒に考え、つくる存在」として位置づけている点が、この取り組みの大きな特徴です。アイデアを出すだけで終わるのではなく、その後のプロセスにも関わりながら形にしていく。そうした関係性がベースになっています。

具体的には、若者と企業、団体、市民などがつながる仕組みが用意されており、対話を通じて新しいプロジェクトが生まれる環境が整えられています。単発のイベントではなく、継続的に関わることができる点も特徴のひとつです。

また、若者のリアルな価値観や行動を知ることも重要なテーマとなっており、その背景にある考え方を理解しながら取り組みを進めていることが伝わってきます。これは単なる意見収集とは異なり、変化を読み取り、次のアクションにつなげていくためのプロセスともいえます。

こうした仕組みがあることで、若者の視点がより自然にまちづくりへと取り込まれていきます。そして同時に、行政側も新しい考え方に触れながら柔軟に変化していく。双方にとって意味のある関係性が築かれている点は、これまでにはあまり見られなかった動きといえるでしょう。

取り組みを誰でも見られる形に 2年間の歩みが一つにまとまる

こうした一連の取り組みを、誰でも分かりやすく見られる形にまとめたのが、今回公開されたポータルサイトです。

これまで個別に行われてきたプロジェクトや活動内容が整理され、ひとつの場所で体系的に確認できるようになっています。どのような考え方で取り組みが進められているのか、どんなプロジェクトが動いているのかが、初めて見る人でも理解しやすい構成になっています。

また、単なる実績の一覧ではなく、それぞれの取り組みがどのようにつながっているのかが見えてくる点も印象的です。若者の声がどのように拾われ、プロジェクトとして動き出し、さらに広がっていくのか。その流れを追うことで、この取り組み全体の意味がより立体的に伝わってきます。

さらに、このポータルは「これまでの振り返り」にとどまらず、これから関わりたい人にとっての入り口としての役割も担っています。興味を持った人が次のアクションにつながるような導線が用意されており、取り組みを外へと広げていく意図も感じられます。

2年間の積み重ねを可視化し、次の展開へとつなげていく。このポータルサイトは、そうした役割を持つ重要な拠点として位置づけられているといえそうです。

若者とともに変わり続けるまちづくり これからの広がりに注目

若者の声を取り入れるだけでなく、その発想をきっかけに新しい取り組みへとつなげていく。今回紹介した一連の動きからは、そんなまちづくりの変化が感じられます。

これまで当たり前とされてきた行政の進め方も、少しずつ形を変え始めているのかもしれません。若者を“支える存在”として見るのではなく、“一緒に考える存在”として関わっていく。その積み重ねが、地域の新しい価値を生み出していく可能性もありそうです。

今回公開されたポータルサイトは、そうした取り組みの一端を知ることができる場となっています。どのようなプロジェクトが進んでいるのか、どんな考え方のもとで動いているのかを知ることで、これまでより少し身近に感じられるかもしれません。

これからどのように広がっていくのか。今後の動きにも注目していきたいところです。


福岡県北九州市 Z世代課ポータルサイト 概要

福岡県北九州市が推進する、全国初の部署「Z世代課」の取り組みをまとめたポータルサイト。
若者の価値観や行動をまちづくりに活かすことを目的に、自由な発想を後押しする企画や共創の取り組み、実際に形になったプロジェクトなどを紹介しています。

URL:https://www.city.kitakyushu.lg.jp/page/zsedai/index.html

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