撮影監督・宗賢次郎さんが語る『田鎖ブラザーズ』の画作り 光で映像を設計する手法とは【ドラマTopics】

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2026-04-18 08:00
撮影監督・宗賢次郎さんが語る『田鎖ブラザーズ』の画作り 光で映像を設計する手法とは【ドラマTopics】

映像の印象を決定づける「光」を設計する照明技師としてキャリアを重ねてきた宗賢次郎さん。近年は、画全体の設計を担う撮影監督としても活動の幅を広げ、映画「ゴールド・ボーイ」(2024年)や「遠い山なみの光」(2025年)、「#拡散」(2026年)などでその手腕を発揮してきた。

【写真で見る】ドラマ『田鎖ブラザーズ』に撮影監督として参加した宗賢次郎さんがこだわった画作りとは――

照明技師が光の配置や色、強さを緻密に組み立てて空間の質感を作るのに対し、撮影監督はカメラワークやレンズ選択、色設計を含めて最終的な映像表現を統括する役割を担う。その両方の視点を併せ持つ宗さんが、TBS金曜ドラマ『田鎖ブラザーズ』でどのように画作りに向き合ったのか。その背景には、これまで積み重ねてきた経験と、撮影スタイルの変化があった。

照明技師としての経験を軸に――撮影監督としての関わりへ

宗さんが『田鎖ブラザーズ』演出の山本剛義さんと出会ったのは、2015年に放送されたWOWOWドラマ『海に降る』だった。当時は照明技師としてのキャリアを積み始めた頃で、「お互いにメインになったばかりで、その時から仲良くさせてもらっていた」と振り返る。その後も山本さんからはたびたび声がかかっていたが、実現には至らなかった。

理由の一つが、関わり方だった。「『照明だけ来てください』というオファーは何度もいただいていたのですが、照明だけだと撮影現場全体を変えることは難しいという思いがあって」。映画の撮影現場でも、宗さんはカメラマンではなく監督やプロデューサーから直接声がかかることが多く、作品ごとに撮影体制が変わる中で、より主体的に画作りに関わりたいという意識を強めていた。

転機となったのは、映画「#拡散」で撮影監督のオファーを受けたことだった。「その話を山本さんにしたら、『撮影監督だったら来てくれるんですか!』と(笑)」。撮影監督としてであれば、撮影現場の環境作りや画のトーンを自ら設計できる。「『撮影監督だったら、自分のやりやすい形で画作りができるかもしれない』と話したのが、今回につながりました」と明かす。

連続ドラマ特有の制約――DITとの連携で築いた撮影体制

こうして参加した連続ドラマの撮影現場は、映画とは異なる環境だった。特にスケジュールのタイトさは顕著で、「最初は少し戸惑いました」と率直に語る。一方で、限られた時間の中で撮り切ることもまたプロフェッショナルの条件だと捉え、「ロケ現場の移動も多くて驚きましたが、撮りこぼしはなかったと思いますし、カット数も落としていないと思います」と振り返る。

今回の画作りを支えたのが、DIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)の山口武志さんの存在だ。DITは撮影された映像データをその場で確認し、色味や明るさをデジタル上で調整・管理する役割を担う。撮影現場で仕上がりに近い映像を共有できるため、判断のスピードと精度を高めることができる。

宗さんは、照明によって光を設計し、DITによって質感を仕上げるという役割分担で画を構築していく。「照明でコントロールして、DITで最終的な質感を詰める。このやり方は日本ではまだ多くないと思います」。演出側とも目指す方向性が共有されていたことで、「同じイメージで画作りができたのは大きかった」と語る。

山口さんとは、映画「遠い山なみの光」で初めて組んだ。海外のカメラマンが行う撮影スタイルに準じ、DITが常に現場に入る体制の中での経験が、その後の「#拡散」、そして今回へとつながっている。「“撮影監督を中心に画を作る”という形を実践してきた積み重ねがあった」と信頼を寄せる。

「光は全て設計する」変わらない信念と撮影現場での手応え

これまで宗さんは「日本一準備が早い照明」と自ら語るほど、事前の設計を重視してきた。あらゆるカメラポジションに対応できるよう光を仕込むスタイルだが、連続ドラマではその準備時間が限られる。「いつも通りのやり方ができない中で、どうするかを考え続けていました」。

その中でも一貫しているのが、「撮影現場の既存の光に頼らない」という考え方だ。「“その場の電気は使わない”というのが基本で、自分たちで光を作る」。色や光量を細かく調整しながら空間を設計する手法は、今回も変わらない。その精度を補完したのがDITの存在であり、「スピード感の中でもトーンを維持できたことは一つの手応えになりました」と話す。

照明技師として培ってきた経験をベースに、撮影監督として画全体を設計する。宗さんが目指してきたスタイルは、「画面の中の光を全てコントロールすること」にある。LED照明の進化やデジタル環境の整備により、その実現性は高まりつつある。

「照明に特化した撮影監督としてやっていきたいという思いがあって、今回はそれが一つ形になったと思います」。連続ドラマという“制約”の中で得た手応えが、宗さんのキャリアにおける次のステップにつながっている。

撮影環境の違いの中でも、今回自らの画作りを維持した宗さん。これまでの経験に基づき、照明設計を起点に映像全体を組み立て、照明と撮影を“横断”するその取り組みが、現在の制作手法の最前線として実践されている。

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