外部刺激で発光色が変化する材料を開発 芝浦工業大学と兵庫県立大学

2026-04-22 02:09

芝浦工業大学と兵庫県立大学の研究チームが、溶媒、機械刺激、静水圧といった外部環境に応答して発光色が青色から赤色まで広範囲かつ可逆的に変化する材料を開発しました。

概要

芝浦工業大学と兵庫県立大学の研究チームは、発光性有機分子をフッ素化亜鉛錯体で連結することにより、外部環境に応答して発光色が変化する材料を開発しました。この材料は、溶液中では青色発光を示しますが、固体状態では緑色から赤色まで、擦る、押すといった刺激や静水圧の印加により発光色が可逆的に変化します。この手法は一段階で定量的に反応が進行するため簡便性が高く、さまざまな発光色素への応用が期待されます。

研究の背景

外部刺激に応答して発光色が変化する材料は、分子集合状態や結晶構造と光物性との関係を理解する上で重要です。しかし、赤色などの長波長発光を安定かつ可逆的に実現する例は限られていました。一般的に有機発光分子は青色や緑色で発光するものが多く、赤色発光を得るには多段階の有機合成と精製工程が必要とされ、合成の簡便性と発光色制御の両立が課題でした。

研究の概要

本研究では、青色に発光する有機色素を、芳香族フッ素を導入した亜鉛錯体で架橋するという分子設計により、発光色を大きく変化させる新しい手法を提案しました。この反応は一段階で定量的に進行し、複雑な分子修飾なしに青色発光分子を基盤とした材料を得ることができます。溶液中では青色発光を示しますが、結晶化により分子間相互作用が強まり、機械刺激や静水圧の印加に応答して、発光色が緑色から赤色まで連続的に変化することが明らかになりました。刺激を取り除くことで元の発光状態へと戻る可逆的な挙動も確認されています。本研究の特長は、発光色の長波長化を発光分子骨格の改変ではなく、錯体架橋と結晶構造制御によって実現した点にあります。亜鉛は一般に無毒であり、結晶構造の柔軟性と分子集合状態を制御する要素として機能し、赤色発光を含む広範囲な色変化を引き出しています。

今後の展望

本研究成果は、力や周囲の分子環境の変化に応じて発光色が変化することから、これまで目に見えなかった変化を光として可視化できる点が特徴です。この性質を活かすことで、物質の状態変化や外部からの刺激を簡便に捉える材料への展開が期待されます。将来的には、圧力やひずみが加わったことを色で知らせる発光材料や、分子が結合したり離れたりする様子を色の変化として捉える材料へと応用できる可能性があります。高価な測定装置を用いなくても「色を見るだけで周囲の状態が分かる」発光材料は、環境問題への取り組みや材料評価の分野においても重要な役割を果たすと考えられます。また、発光分子を錯体で連結するという設計概念は、複雑な合成を行わずに発光色の幅を大きく広げられる点でも特徴的です。今後、このような設計手法を発展させることで、環境や状態の変化を光で伝える新しい発光材料の基盤技術につながることが期待されます。

まとめ

芝浦工業大学と兵庫県立大学の研究チームは、外部刺激に応答して発光色が変化する材料を開発しました。この材料は、一段階の反応で合成可能であり、青色から赤色まで広範囲な発光色の変化を可逆的に実現します。この成果は、物質の状態変化や外部からの刺激を光で可視化する材料開発への展開が期待されます。

関連リンク

https://www.shibaura-it.ac.jp/

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