三重大学生の挑戦が商品に おやつカンパニーと生まれた“三重コラボ”の舞台裏

2026-04-23 08:00

大学生のアイデアが、そのまま商品として世の中に並ぶ。そんな取り組みがあると聞くと、なんだか素敵だなと感じてしまいます。いったいどんな発想から、どんな商品が生まれたのでしょうか。

三重大学の学生たちがインターンシップを通じて挑戦したのは、ただの体験ではなく、実際の商品開発。試行錯誤を重ねながら形にしたのは、ベビースターラーメンで知られるおやつカンパニーとともに、三重の特産品を活かしたユニークなベビースターラーメンでした。

学生の発想と企業の技術、そして地域の魅力が重なり合うことで、一つの商品が完成していく過程には、単なるお菓子づくりを超えたストーリーがあります。さらに、その成果は三重県知事への表敬訪問という形でも紹介され、地域全体で共有される取り組みへと広がっています。

若い世代の挑戦が、地域の魅力と結びついたとき、どんな価値が生まれるのか。その答えのひとつが、今回のプロジェクトに詰まっているように感じました。

“三重”が重なって生まれたプロジェクトのはじまり

三重県で生まれた今回のプロジェクトは、「三重」というキーワードを軸にした取り組みでした。関わっているのは、三重大学の学生たち、三重の特産品、そして三重に本社を構える企業。この3つが重なり合うことで、“三重(さんじゅう)”のコラボレーションが形になっています。

もともとこの取り組みは、商品開発の現場を体験するインターンシップとしてスタートしました。ただ知識を学ぶだけではなく、実際に企業の現場に入り込み、自分たちのアイデアを形にしていく。そんなリアルな経験を通じて、これからのモノづくりを担う人材を育てていくことが目的とされています。

参加したのは、三重大学の生物資源学部に所属する学生たち。普段は講義や研究に取り組んでいる学生が、企業の商品開発という実務の場に入り込むことで、教科書だけでは得られない気づきや視点に触れていきます。

最初は「自分たちが食べてみたい味」といった身近な発想からスタートしたアイデアも、議論や分析を重ねる中で少しずつ変化していきました。誰に届けるのか、どんな価値を感じてもらえるのか。そうした視点を持つことで、アイデアはより具体的で現実的なものへとブラッシュアップされていきます。

そしてたどり着いたのが、「三重の特産品を活かした商品にしたい」という方向性でした。地域の魅力を伝えることと、商品としての魅力を両立させる。そのバランスを模索しながら進められたプロジェクトは、単なる体験にとどまらず、地域とつながるモノづくりへと広がっていきます。

学生、企業、そして地域。それぞれの立場や視点が重なり合うことで生まれた今回の取り組みは、「三重」という言葉に込められた意味を、そのまま体現しているようにも感じられます。

学生の発想が形になるまでのリアルなプロセス

今回のプロジェクトで特徴的なのは、学生たちが商品開発の一部ではなく、その中心に立っていた点です。単なる体験にとどまらず、実際に商品として世に出ることを前提に進められているからこそ、求められる視点や責任も自然と高まっていきます。

アイデア出しは、複数のグループに分かれてスタートしました。当初は「自分たちが食べてみたい味」をベースにした案が多く出ていたものの、検討を重ねる中で、次第に視点が広がっていきます。市場のニーズや商品の独自性といった観点を踏まえながら、どんな商品であれば多くの人に手に取ってもらえるのかを考えるようになっていきました。

そうしたプロセスを経て、いくつかの案が絞り込まれ、実際に試作品として形にしていく段階へと進みます。ここでは、見た目や味といった分かりやすい要素だけでなく、香りや食感、さらには製造ラインへの適合性や季節感といった現実的な要素まで含めて検討が行われました。アイデアとして成立していても、商品として成立するかどうかは別問題であるという点に、学生たち自身も気づいていったのではないでしょうか。

そして最終段階では、商品化をかけたプレゼンテーションが行われます。社長をはじめとする経営層を前に、自分たちの考えた商品について、コンセプトやこだわり、そこに込めた想いまでを伝えていく場です。限られた時間の中で、なぜこの商品なのか、どんな価値があるのかを言葉にする経験は、学生にとっても大きな挑戦だったはずです。

そうした一連のプロセスを経て、最終的に一つの案が選ばれ、実際の商品として発売されることが決定しました。自分たちのアイデアが、議論や検証を重ねた先で現実の形になる。その過程には、学びだけでなく、確かな手応えもあったのではないかと感じられます。

三重の魅力を詰め込んだ一品へと仕上がった理由

ベビースタードデカイラーメン(レモン香る濃厚伊勢海老味)

こうして選ばれたのが、三重の特産品を活かした「レモン香る濃厚伊勢海老味」というアイデアでした。地域の魅力を商品としてどう表現するかを考えた結果、三重県の特産品である伊勢海老とマイヤーレモンを組み合わせるという発想にたどり着きました。

伊勢海老といえば、濃厚な旨みと香ばしさが特徴の食材。その風味をしっかりと感じられるようにしながら、そこにレモンの爽やかさを加えることで、重くなりすぎず、後味まで楽しめるバランスに仕上げられています。濃厚さとさっぱり感を同時に味わえる設計は、日常のおやつとしてはもちろん、少し大人向けの楽しみ方にもつながりそうです。

また、こうした味づくりの背景には、「三重らしさをどう伝えるか」という視点が一貫してあったように感じられます。ただ美味しいだけではなく、地域の特産品に触れるきっかけになること。その土地ならではの魅力を、手に取りやすい形で届けること。そうした意図が、商品全体に反映されているように思えます。

実際に完成した商品は、「ベビースタードデカイラーメン(レモン香る濃厚伊勢海老味)」として発売が決定。学生の発想からスタートしたアイデアが、企業の商品として全国に展開されていくという点も、このプロジェクトの大きな特徴のひとつです。

一つの味を形にするまでに積み重ねられた試行錯誤と、そこに込められた地域への想い。商品として店頭に並ぶとき、その背景まで含めて伝わるかどうかで、受け取られ方も変わってきそうです。

知事への報告で広がる、地域とのつながり

完成した商品は、三重県知事への表敬訪問という形で報告されました。学生たちが関わって生まれた取り組みが、地域のトップに直接届けられる機会はそう多くありません。今回のプロジェクトが、単なる企業と大学の取り組みにとどまらず、地域全体とつながるものとして受け止められていることがうかがえます。

訪問の場では、実際に商品が試食され、その味についての感想も寄せられました。伊勢海老の風味のあとに広がるレモンの香りが印象的であることや、子ども向けのお菓子という枠にとどまらず、大人でも楽しめる味わいであるといった声が上がっています。こうした評価は、学生たちが考えたアイデアが、しっかりと商品として成立していることを示すものとも言えそうです。

さらに、学生に向けて今後の活躍への期待が寄せられている点も印象的でした。自分たちの取り組みが評価されるだけでなく、その先の未来にもつながっていく。そうしたメッセージは、今回関わった学生にとって大きな意味を持つものになったのではないでしょうか。

大学、企業、そして地域。それぞれの立場を越えて一つの成果を共有することで、取り組みの価値はさらに広がっていきます。今回の表敬訪問は、その広がりを象徴する場でもあったように感じられました。

学生の挑戦が、地域の未来につながっていく

今回の取り組みを通して見えてくるのは、単に一つの商品が生まれたという結果だけではありません。学生が自ら考え、試行錯誤を重ね、そのアイデアが実際の形として社会に届けられるまでのプロセスそのものに、大きな価値があるように感じられます。

特に印象的なのは、最初は身近な発想から始まったアイデアが、地域の特産品へと視点を広げていった点です。自分たちの中だけで完結するのではなく、誰かに届けること、地域の魅力を伝えることへとつながっていく。その変化こそが、このプロジェクトの本質なのかもしれません。

また、企業の技術やノウハウと掛け合わさることで、学生の発想が現実のプロダクトとして成立していく過程には、これからのモノづくりのヒントも感じられます。若い世代の視点と、長年培われてきた技術が出会うことで、新しい価値が生まれていく。そんな可能性を、今回の取り組みは示しているようにも思えました。 身近なお菓子の中にも、こうした背景やストーリーがあると知ると、手に取るときの見え方も少し変わってくるかもしれません。


株式会社おやつカンパニー 概要

株式会社おやつカンパニーは、三重県津市に本社を構える食品メーカーで、「ベビースターラーメン」をはじめとしたスナック菓子の製造・販売を手がけています。
創業以来、子どもから大人まで幅広い世代に親しまれる商品を展開しながら、“たっぷり、たのしい、おやつ”を通じて日常に楽しさを届ける取り組みを続けています。
地域とのつながりも大切にしながら、新しい価値づくりにも積極的に挑戦しています。

公式HP:https://www.oyatsu.co.jp/

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