朝の持ち越し疲労が仕事と年収に差を生む? 調査が示した“整える習慣”の重要性

新年度が始まり、進学や就職、異動などで生活リズムが変わる4月は、心身ともに負荷がかかりやすい時期でもある。新しい環境に適応しようとするなかで、知らず知らずのうちに疲れをため込み、それを翌朝まで持ち越してしまう——そんな状態に心当たりのある人も少なくないだろう。一方で、その疲れが日々のパフォーマンスにどう影響しているのかを、あらためて意識する機会は多くない。特に新社会人や働き盛り世代にとって、日々のコンディション管理は仕事の質や生産性にも関わる重要な要素である。努力を重ねることだけでなく、疲労をため込まない習慣や、翌日に持ち越さない工夫に目を向けることも、新生活のスタートには意味のある視点といえそうだ。
そこで今回、大正製薬株式会社は、4月の新生活シーズンを迎え、新社会人や働き盛り世代のパフォーマンス向上を支援する目的で、株式会社クロスリバー協力のもと「現代人の疲労とキャリアに関する調査」を実施した。
疲労ケアを習慣にしている人は少数派という現実

現状としてまず見えてきたのは、疲労ケアそのものが十分に習慣化されていないという点だ。週に4回以上、前日夜に疲労ケアをしている人は28%にとどまり、7割以上が習慣化できていない実態が示された。さらに2019年比で減少している点も注目される。
ストレッチや入浴、睡眠など身近な方法はあるものの、忙しさのなかで疲労ケアが後回しになっている人は少なくないようだ。特に新生活が始まる時期は、環境変化への対応が優先され、自身のコンディション管理まで意識が向きにくいことも考えられる。パフォーマンス向上を考えるうえで、まず「整える習慣」そのものを見直す必要があることを示す結果ともいえそうだ。
疲労ケア習慣が“朝の疲れ”に差を生む

では、こうした習慣の有無は、実際にどのような違いを生んでいるのだろうか。疲労ケアをしている層で「朝、慢性的な疲労感がある」と回答した人は32%だったのに対し、非ケア層では71%となり、大きな開きが見られた。
日々の疲れをその日のうちに整えることが、翌朝の疲労感を軽減することにつながっている可能性がうかがえる結果といえる。前夜の過ごし方が、次の日のスタートに影響するという視点は、働き方を考えるうえでも示唆がある。
忙しい毎日のなかでは後回しになりがちな疲労ケアだが、こうした結果を見ると、コンディション維持のための基本的な習慣として捉え直す余地もありそうだ。
朝のコンディションが午前中のパフォーマンスを左右する

さらに興味深いのは、その差が朝の体感だけで終わっていない点である。持ち越し疲労が少ない人は、集中持続時間が1.5倍長く、午前中のタスク完了数も23%多いという結果が示された。
特に注目したいのは、仕事開始後の比較的早い時間帯に差が表れている点である。午前中は重要な判断や集中を要する業務が入りやすい時間でもあり、この時間帯のコンディションが、その後の生産性を左右する要素になっていることもうかがえる。
「朝の疲れ」は個人の感覚にとどまるものではなく、仕事のパフォーマンスとも結びつくテーマとして捉えられている。前夜の疲労ケアを含め、翌朝の状態を整えることが、日々の成果を支える土台になるのかもしれない。
午前中の仕事の進み方が、その後の働き方にも影響する

こうした午前中の差は、その後の業務の進め方にもつながっているようだ。持ち越し疲労が少ない人は、仕事開始90分以内に重要業務を終える割合が2.4倍高く、月平均の残業時間も11時間少ないという結果が示された。
重要な業務に早い段階で着手し、処理できることは、その後の時間の使い方にもつながりやすい。結果として、業務の滞留や残業の抑制にも結びついている可能性がありそうだ。
疲労を持ち越さないことは、単なる体調管理ではなく、日々の働き方そのものを整える視点として捉えられる。仕事の質と効率の土台として、見直す余地のあるテーマといえそうだ。
疲労ケア習慣はキャリア形成にもつながる可能性

日々の業務効率だけでなく、その積み重ねは中長期的なキャリアにも影響している可能性がある。持ち越し疲労が少ない人は、初回昇進が1.6年早く、管理職比率も1.7倍高いという結果が示された。
これまで疲労対策は、体調維持や生産性向上の文脈で語られることが多かったが、今回の結果は、その先の評価や成長にも視点を広げている点が興味深い。安定してパフォーマンスを発揮できることが、積み重ねとして表れているのかもしれない。
努力やスキルだけでなく、コンディションを整えることも働き方の一部と捉えるなら、疲労ケアを見る目も少し変わってきそうだ。
コンディション管理は将来の収入にも影響するのか

そして調査は、さらにその先の収入面にも視点を広げている。持ち越し疲労がない人は、5年で最大252万円の年収差が生じるケースがあり、年収1,000万円に到達している比率も2.7倍高いという結果が示された。
もちろん収入は多くの要因で決まるものだが、安定したコンディションのもとで継続的に成果を出せることが、長期的な評価に影響している可能性は考えられる。疲労ケアは、目先の不調対策にとどまらず、働き方やキャリア、さらには将来設計とも接点を持ちうるテーマとして捉え直せるのかもしれない。
《調査概要》
調査名:「現代人の疲労とキャリアに関する調査」(「休み方」「仕事効率」等に関する調査の総称)
調査期間:2017年9月〜2026年1月
調査対象:全国の20業種815社、計173,208人(10代〜70代)
調査方法:Webアンケートおよび対面ヒアリング
調査協力:株式会社クロスリバー
日々の疲れは、つい「仕方ないもの」と受け止めてしまいがちだが、今回の調査からは、それが仕事のパフォーマンスや働き方、さらにはキャリアにもつながるテーマとして捉えられていることが見えてくる。
特に新生活が始まるこの時期は、新しい環境に意識が向きやすいからこそ、自分自身のコンディション管理は後回しになりやすい。だからこそ、頑張り方を見直すだけでなく、疲れをため込まない過ごし方に目を向けてみることにも意味があるのではないだろうか。
何か大きなことを始めるというより、まずはできることから整えてみる。その積み重ねが、日々の働きやすさや、その先につながっていくのかもしれない。新年度のスタートに、自分なりの“整える習慣”を考えてみるきっかけとして受け止めてもよさそうである。