「こんなにつらいなんて聞いてなかった」 産後に感じる孤独と“頑張りすぎ”の現実

2026-05-14 08:00

出産は「幸せな時間」というイメージがある一方で、その裏では、想像以上の不安や孤独を抱えながら毎日を過ごしている人も少なくないようです。夜中の授乳や慣れない育児、思うように休めない生活の中で、「ちゃんとしなきゃ」と頑張り続けてしまう――そんな声を耳にする機会も増えてきました。

実際に、出産後の女性を対象にした調査では、約8割が気分の落ち込みを経験していることが明らかになっています。さらに、産後ケアについて「必要だと思う」という声が多い一方で、「贅沢なのでは」と感じてしまう人も多く、心と体を休めることへのハードルも見えてきました。

そんな中、東京都・有明では、産後のお母さんと家族を支える“産後ケアホテル”「Villa Mom(ヴィラマム)」が開業予定となっています。産後を「ひとりで頑張るもの」にしないために、今どんなサポートが求められているのか。今回の調査結果や取り組みから、あらためて考えてみました。

「こんなにつらいなんて聞いてなかった」 約8割が感じていた産後の落ち込み

出産というと、「赤ちゃんが生まれて幸せいっぱい」というイメージを持つ人も多いかもしれません。もちろん大きな喜びがある一方で、実際の産後は、想像していた以上に心も体も大きく変化する時期でもあります。

調査では、出産後に何らかの“気分の落ち込み”を感じた女性が約8割にのぼることが明らかになっていました。特に20代では、長期間にわたって強い不安や落ち込みを感じたという回答も目立っていたそうです。

産後は、生活が一気に変わります。夜中でも数時間おきに授乳が必要になったり、赤ちゃんが泣くたびに気を張ったり、ゆっくり眠る時間がほとんど取れなくなることもあります。さらに、自分の体もまだ回復途中の状態です。

それでも、「母親なんだから頑張らないと」「みんな乗り越えているから」と、自分を後回しにしてしまう人も少なくありません。周囲に頼りたい気持ちがあっても、遠慮してしまったり、「弱音を吐いてはいけない」と感じてしまうケースもあるようです。

また、共働き家庭であっても、産後の負担は女性側に偏りやすい現実も見えてきました。調査では、約半数の夫・パートナーが育休を取得していないという結果も出ています。

最近では男性の育休取得が話題になることも増えていますが、実際には「制度はあっても取りづらい」「仕事の都合で難しい」という家庭もまだ多いのかもしれません。その結果、出産直後の不安定な時期を、お母さんがほぼ一人で抱え込む状況につながっていることも考えられます。

もちろん、産後の感じ方は人それぞれです。周囲の支えがあって比較的落ち着いて過ごせる人もいれば、不安や孤独感が長く続いてしまう人もいます。ただ今回の調査からは、「産後は幸せだけの時間ではない」という現実が、あらためて浮かび上がってきました。

近年は、産後うつや育児ストレスについて耳にする機会も増えましたが、まだまだ「我慢して当たり前」という空気が残っている部分もあるのかもしれません。だからこそ、出産後の女性が安心して休める環境や、気軽に頼れる場所の必要性が、少しずつ注目され始めているようです。

 「休みたい」は贅沢なのか 産後ケアに対する“本音”が見えてきた

今回の調査で印象的だったのが、「産後ケア」に対する考え方です。
近年は、“産後ケアホテル”や“産後ケア施設”という言葉を耳にする機会も少しずつ増えてきました。出産後のお母さんが滞在しながら休息を取ったり、育児サポートを受けたりできるサービスですが、まだ「特別な人が利用するもの」というイメージを持つ人も多いようです。

実際、調査では約7割の人が、産後ケアホテルに対して「贅沢なもの」という印象を持っていると回答していました。

確かに、“ホテル”という言葉だけを見ると、どうしても高級なイメージを持ちやすいのかもしれません。特に子育てが始まるタイミングは、今後の教育費や生活費などを意識する家庭も多く、「自分のためにお金を使うこと」に迷いを感じる人もいるはずです。

また、日本では昔から「母親は頑張って当然」という空気が根強く残っている部分もあります。疲れていても無理をしてしまったり、「休みたい」と言い出しづらかったりする人も少なくありません。

ただその一方で、今回の調査では9割近い人が、「産後ケアは早期回復のための投資」という考え方に共感すると回答しています。
この結果を見ると、多くの人が本当は「ちゃんと休むことが大切」だと感じていることが分かります。
出産は、心にも体にも大きな負担がかかる出来事です。それにもかかわらず、退院後すぐに育児や家事が始まり、自分の回復を後回しにしてしまうケースも珍しくありません。
だからこそ最近では、「まずはお母さん自身が回復することが大切」という考え方が、少しずつ広がり始めています。

実際に調査では、「産後は休む環境が不可欠だった」と感じている人も多く、“もっと早く頼ればよかった”と感じている声も見られました。
もちろん、すべての人が産後ケア施設を利用する必要があるわけではありません。ただ、「産後は一人で乗り越えるもの」という考え方だけではなく、“周囲を頼りながら回復していく”という選択肢が広がってきているのは、これからの子育て環境にとって大きな変化なのかもしれません。

“ひとりで頑張らなくていい” 保育事業者が産後ケアホテルを始めた理由

医療法人彩陽会 理事長
代官山バースクリニック 院長
佐藤 陽一(さとう よういち)


2022年に代官山ウィメンズクリニックを開院。代官山エリアを中心に産科医療に携わり、妊娠・出産という人生の大切な時間に寄り添ってきました。
大きな喜びがある一方で、不安や戸惑いなど、さまざまな感情が交差する時期だからこそ、一人ひとりの気持ちに丁寧に向き合うことを大切にしています。
医師としてだけでなく、父親として、また患者としての経験も生かしながら、ご家族と同じ目線で歩み、安心して新しい命を迎えられるような産科医療を目指しています。

こうした中、東京都・有明で2026年6月に開業予定となっているのが、産後ケアホテル「Villa Mom(ヴィラマム)」です。

運営するのは、これまで認可保育園やプレミアム保育施設などを手がけてきた株式会社Smile Project。子どもや家族と向き合ってきた保育事業者だからこそ、“出産後のお母さんを支える場所”の必要性を感じていたのかもしれません。
Villa Momでは、産後のお母さんが心身を休めながら過ごせる環境づくりを目指しています。食事や育児サポートだけでなく、医療や保育とも連携しながら、「退院後の不安を一人で抱え込まないための場所」としての役割も意識されています。

また、産婦人科医からは、日本の産後支援には“切れ目”があるという声も上がっています。
一般的に、出産後は数日で退院となりますが、その後は自宅での育児がスタートします。一方で、病院でのサポートは限られており、日々の生活の中で感じる不安や孤独を、すべて医療機関だけで支えることは難しい現実もあります。
さらに、昔のように祖父母と同居する家庭も減り、核家族化が進んだことで、「頼れる人が近くにいない」という状況も増えています。
だからこそ最近は、“退院して終わり”ではなく、その後の生活まで含めて支えていく「切れ目のないケア」が重要視されるようになってきました。

また、「産後ケアの形は100人いれば100通りあっていい」という考え方も心に残りました。
子育ての悩みや家庭環境は、それぞれ違います。実家を頼れる人もいれば、夫婦だけで育児をしている家庭もあります。育児に対する不安の感じ方も人によって異なるからこそ、「こうしなければいけない」と決めつけるのではなく、自分たちに合ったサポートを選べる社会が求められているのかもしれません。

これまでは、「育児は家庭の中で頑張るもの」という考え方が一般的だった部分もあります。しかし今は、“誰かを頼ること”や“休むこと”を前向きに考える流れが、少しずつ広がり始めています。
Villa Momのような施設も、単なる宿泊サービスではなく、「産後を一人で抱え込まないための選択肢」のひとつとして、今後さらに注目されていきそうです。

 「頼ること」がもっと自然になる社会へ 産後ケアが変えようとしているもの

出産後の時間は、本来であれば、心と体をゆっくり回復させながら新しい生活に慣れていく大切な時期です。
しかし現実には、「ちゃんとやらなきゃ」「迷惑をかけたくない」と、自分を追い込んでしまう人も少なくありません。特に日本では、“頑張ること”が美徳のように語られる場面も多く、休むことや誰かを頼ることに、どこか罪悪感を抱いてしまう空気もあります。
だからこそ今回の調査で、「産後ケアは必要だと思う」という声が多く集まっていたことは、とても印象的でした。

“贅沢”というイメージがまだ残っている一方で、本当は「もっと安心して休みたい」「少しでも支えてほしい」と感じている人が多いのかもしれません。
近年は自治体による産後支援も少しずつ広がっていますが、まだ十分とは言えない地域もあります。家庭によって状況が違うからこそ、医療・行政・民間、それぞれが支え合いながら選択肢を増やしていくことが、これからますます重要になっていきそうです。

今回開業予定となっている「Villa Mom」でも、開業を記念した無料体験モニターキャンペーンを実施予定とのこと。こうした取り組みをきっかけに、「産後ケアって特別なものではないんだ」と感じる人も増えていくのかもしれません。

“ひとりで頑張らなくていい”。
そんな考え方がもっと自然に広がっていけば、出産や子育てに対する不安も、少しずつ変わっていくのではないでしょうか。

  1. 犬の『毛質が悪くなってしまう』NG行動4つ 間違ったお手入れ方法とは?
  2. 小さくてコロコロした『赤ちゃん犬の一日』に密着した結果→すべてが尊い『朝から晩までの記録』が85万再生「全力すぎる」「抱きしめたい」
  3. 高市政権発足1年 支持率60%台の背景に「強い言葉」とSNS活用も… 期待の「経済政策」と「生活実感」に乖離が【サンデーモーニング・風をよむ】
  4. ルイ・ヴィトン 10/24~10/27 エスパス ルイ・ヴィトン東京で「InSitu2」開催 Kōki, 谷まりあ Awich 岩瀬洋志華ら多彩なゲストたちも来場 身を寄せられる空間に
  5. ハロウィンの時期に『犬をトリミングサロンに連れて行った』結果→『仮装写真』が送られてきて…まさかの光景に3万いいね「クセw」「表情最高」
  6. 散歩中、なにげなく『犬の名前』を呼んでみた結果→言葉にならないほど『尊すぎるお返事』が229万再生「惚れた」「笑顔に変わるの最高かよ」
  7. サントリー、フルセットの激闘もあと一歩及ばず敗戦 0ー2から粘りの2セット連取 第5セットは23ー25【SVリーグ男子】
  8. 赤羽で「1000円ちょっとグルメ」を大調査!取材拒否のイタリアンがテレビ初公開 絶品ポークジンジャーにでっかい豆大福も【Nスタ×ホワイトボード】
  9. 猫と一緒に『バスに乗る』ときに気を付けたい注意点3つ 必要になる準備や知っておくべきルールも
  10. 犬の『性格』はいつ決まるの?性質を左右する3つの要因やお世話の注意点まで解説
  1. 「2秒で416万円」残高ゼロに…GMO不正アクセスで口座破壊声明 被害受け政府に「能動的サイバー防御」を要請 PHPの脆弱性巡り世界で混乱も【サンデーモーニング】
  2. 【 笠井信輔 】財布紛失で位置確認「窃盗犯が福岡に飛んだのです」AirTag電池切れで「思わぬ落とし穴があるのです」自転車のカゴに置き忘れ
  3. ソーセージ食べ比べ!結局どれ? 腹ぺこレスリング部&街角でジャッジ!香薫やアルトバイエルンなど定番を比較!【それスタ】
  4. 美背中で圧倒【 安斉星来 】「沢山の愛を込めることができました」艶やかなメッセージ〝麗しい世界に浸かって〟【 うるわしの宵の月 】
  5. “名門復活”名城大 3年ぶり9度目の優勝!2区近藤希美が区間新で逆転、5区1年生・木村真桜が区間賞、大東文化は12度目の2位【全日本大学女子駅伝】
  6. 金正恩総書記の訪中 北朝鮮メディア大々的に報道「強固な朝中友好団結の不変性を刻む」10月開通の中朝結ぶ橋では中国共産党・序列4位が見送り
  7. 人類史上初「火星圏からのサンプルリターン」へ 探査機MMX 日本が挑む衛星フォボスの砂採取「はやぶさ」の技術継承し2031年地球帰還予定【サンデーモーニング】
  8. 赤羽で「1000円ちょっとグルメ」を大調査!取材拒否のイタリアンがテレビ初公開 絶品ポークジンジャーにでっかい豆大福も【Nスタ×ホワイトボード】
  9. 知人女性の遺体を仙台市のコインパーキング車内に遺棄か 28歳の男を逮捕 女性は数日前に死亡か 男は殺害も示唆 千葉県警
  10. フランスで55万人大規模デモ 一部“暴徒化”車炎上や3000店被害 米イラン攻撃が追い打ち 生活苦を訴える抗議は欧州各国へ【サンデーモーニング】
  11. 【 片岡鶴太郎(71) 】 出演舞台が大千穐楽「一つひとつの瞬間を大切に」 本番直前のシャドーボクシングを公開「フットワークが20代」「さすがストイック」と絶賛
  12. フランス全土で41万人大規模抗議デモ 一部で暴動も 約1000人拘束 イタリアでも各地で物価高などへの抗議デモ 一部が警察と衝突