「やらされる」教育から「自らやりたくなる」環境へ── 非認知能力を育む「スポーツスタッキング」の可能性

2026-05-19 14:00

現代の子どもたちが抱える「運動不足」や「やり抜く力の低下」といった社会課題。
これに対し、「運動を通じた非認知能力の育成」という独自のアプローチで解決に挑む企業がある。
幼児体育のパイオニアとして全国で100箇所以上の指導実績を持つ「有限会社さわだスポーツクラブ」であり、近年世界的なブームを呼んでいる「スポーツスタッキング」の普及を牽引する「一般社団法人WSSA-JAPAN」だ。
「単なる運動指導」では終わらせない――。子どもたちの可能性を引き出す教育のあり方や、これからの挑戦について、澤田代表に話を伺った。

事業内容について

幼稚園・保育園・学童などにおける子ども向けの運動指導が主軸。「さわだスポーツクラブ」として、現在全国100箇所以上の施設にプログラムを導入している。親子や園向けの運動プログラム開発も手掛けており、NHKやベネッセといったメディア出演の実績も多数。また、もう一つの柱として全国で「スポーツスタッキング」の普及活動を推進。企業や自治体と連携した教育プログラムの提供や、イベント・大会の運営を行い、2025年にはスポーツ庁より「Sport in Lifeアワード 奨励賞」を受賞している。


現代の課題「生きる力の低下」にどう立ち向かうか

私たちの使命は、「子どもの未来をつくること」です。現代の子どもたちは、運動不足による体力低下だけでなく、集中力ややり抜く力の低下、人との関わりの希薄化といった課題を抱えており、“生きる力”そのものが弱くなっていると感じています。 だからこそ、私たちは運動を単なる体力づくりとして終わらせません。考える力や主体性、協調性を育てる「非認知能力の教育」として捉えるべきだと考えています。現場で重視しているのは、子どもが夢中になり、「できた!」という成功体験を積み重ねられる環境づくりです。誰もが挑戦できる場を整え、子ども自身が自ら考え、動く力を育てていく。その先にあるのは、「やらされる教育」から「自らやる教育」への転換です。運動を通じて子どもたちの可能性を最大限に引き出し、未来へとつなげていく社会の実現を目指しています。

教育を変えるツール「スポーツスタッキング」の可能性

私がスポーツスタッキングに出会ったとき、これは単なる競技ではなく「教育を変える力を持つツール」だと直感しました。 子どもたちは、できた・できないが一瞬でわかるからこそ夢中になり、自然と挑戦を繰り返します。その中で育つのは、手先の技術だけでなく、集中力ややり抜く力、自分で考えて行動する主体性といった非認知能力です。 私は長年、幼児体育の現場に立つ中で「どうすれば子どもが自ら動くのか」を追求してきましたが、スポーツスタッキングはその答えの一つでした。年齢や運動能力に関係なく誰でも取り組め、成功体験を積み重ねやすいこの競技は、子どもだけでなく大人や高齢者にも価値があります。だからこそ私は、日本中にこの価値を広げ、運動を通じて人が成長し続けられる社会を実現したいと考えています。

現場で起きている、子どもたちと保護者のリアルな変化

さわだスポーツクラブが子どもたちに選ばれる理由は、現場での具体的な変化に表れています。例えば、最初は運動が苦手で消極的だった年中の男の子が、遊びの要素を取り入れたサーキット運動に参加するうちに、「もう一回やりたい!」と自ら挑戦するようになりました。ここでは“やらせる”のではなく、遊びの中で自然に体を動かす設計になっているため、子どもが主体的に関わり始めた結果です。 また、スポーツスタッキングなどは回数やタイムで「できた」が明確に見えるため、保護者の方も成長を実感しやすいのが特徴です。以前はできなかった動きができるようになることで、子ども自身も驚くほど自信を持ち始めます。

「運動×教育×競技」で広がる新しいモデル


現在、「運動×教育×競技」を軸に、幼稚園・保育園・小学校といった教育現場への導入拡大に注力しています。単にプログラムを提供するだけでなく、指導者の育成や資格制度の構築を進め、どこでも質の高い指導ができる「再現性のある教育モデル」の確立を目指しています。 また、WSSA-JAPANとして大会運営や競技の体系化を推進し、競技スポーツとしての価値向上にも取り組んでいます。単なる運動指導にとどまらず、「教育コンテンツとしてのスポーツ」を全国に広げることが、現在の最重要テーマです。

日本発の教育モデルを世界へ。3世代がつながるスポーツ文化の創出

日本の教育とスポーツは、これから大きく変わっていく必要があると感じています。これまでは「知識を教えること」や「技術・勝敗を競うこと」に重きが置かれてきました。しかしこれからの時代に本当に必要なのは、変化に対応できる“生きる力”です。机の上だけではなく、体を動かす経験の中でこそ、その力は育まれます。 今後の目標は、単なる事業拡大ではなく、「教育×スポーツの仕組みを社会に根付かせること」です。まずはスポーツスタッキングを軸にした運動教育を全国へ広げます。さらに、教育だけでなく福祉や地域にも展開し、子どもから高齢者まで3世代が関われるスポーツ文化を創出していきたいと考えています。スポーツを通じて人と人がつながり、挑戦し続けられる社会の実現です。 最終的には、これを「日本発の教育モデル」として世界に発信し、「運動=生きる力を育てる教育」という価値を広げていくこと。それが私の描く未来であり、これから挑戦していく大きな目標です。


【取材協力】

一般社団法人WSSA-JAPAN
理事長 澤田 康徳(さわだ やすよし)
日本体育大学卒業。幼児体育・子どもスポーツ指導に20年以上従事し、幼稚園・保育園・小学校で延べ数万人以上の子どもへ運動指導を行ってきた現場型の総合運動指導者。2016年にスポーツスタッキングと出会い、国内普及を推進。現在は教育・福祉・地域分野で、運動を通じた非認知能力の育成プログラムを展開している。

一般社団法人WSSA-JAPAN   https://www.wssajapan.com/
有限会社さわだスポーツクラブ https://sawada-sc.com/

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