熱海の夜に、また一軒! 魚の街に“肉を炙る灯り”がともる「熱海おさかな食堂炙り家 別邸」オープン

観光地・熱海といえば海鮮。そんなイメージを良い意味で裏切る店が、銀座町の浜町通りに誕生した「熱海おさかな食堂炙り家 別邸」。炭火で焼く幻の地鶏“天草大王”に、香ばしく炙る海鮮丼。昼の“青”をイメージした海鮮中心の「炙り家本店」に対し、こちらは“赤”をテーマにした肉と炙りの店だ。しかも場所は本店の真隣。魚にするか、肉にするか。あるいは両方か。そんな贅沢な悩みも、この店の楽しみ方なのかもしれない。
赤い暖簾が、浜町通りでよく目立つ

まず目に飛び込んでくるのが、別邸の象徴ともいえる赤い暖簾だ。海鮮中心の“青”をイメージした本店に対し、こちらは肉と炎を連想させる“赤”。夜の浜町通りでも存在感があり、思わず足を止めてしまう。「魚の街・熱海」で、あえて肉を掲げる。その勝負の仕方が実に面白い。
一人でも、仲間とでも。熱海の夜に自然と馴染む“別邸”の空気感

店内に入ると、まず驚くのがその広さだ。本店29席に対し、別邸は55席。想像以上に奥行きがあり、グループでもゆったりと過ごせる空間になっている。観光客で賑わう熱海だが、こうした“地元の人もふらりと立ち寄りやすい店”は意外と貴重である。旅先の特別感がありながら、どこか日常にも馴染む。そんな空気がこの店にはあった。

最近の熱海は、グループ旅行だけでなく“一人旅”を楽しむ人も増えている。一方で、仕事帰りに軽く一杯という地元客の姿もこの街にはよく似合う。別邸のカウンター席は、そんな両方の使い方にちょうど良い。程良い距離感があり、一人でも気負わず過ごせる。観光の夜にも、地元の日常にも自然と溶け込む。そんな使いやすさが印象的だった。

店内デザインは、どこか祭りのような高揚感があり、熱海の夜を楽しく彩ってくれる。店内には、熱海海上花火大会や熱海温泉をモチーフにした装飾や紹介が散りばめられており、食事をしながら“熱海らしさ”を感じられる空間になっていた。今回は写真に収められなかったが、熱海梅園の紹介もあり、観光地としての熱海の魅力を随所で感じることができる。肩肘張らず、それでいて思わず写真も撮りたくなる。最近の熱海らしい華やかさと、昔ながらの温泉街らしい賑わい。その両方を上手く混ぜたような空間だ。観光で訪れた人には“熱海らしさ”を、地元の人には“いつもの街の新しい楽しみ方”を感じさせてくれる店かもしれない。
まずは名物を確認、別邸自慢のメニューディスプレイ

別邸自慢のメニューディスプレイを見ているだけでも楽しい。天草大王、串焼き、炙り料理、肉刺し、丼、地酒など。「次はこれを食べよう」「いや、こっちも気になる」と考え始めるあたり、すでに店の術中なのかもしれない。取材で来ていることを一瞬忘れ「これは日本酒だな…」などと普通に晩酌プランを組み始めてしまった。危うく“内覧会レポート”ではなく、“ただの熱海の夜”になるところだった。(笑)
内覧会でいただいた特別試食メニュー

今回の内覧会では、特別試食メニューをいただいた。肉を中心にしながら“炙り家らしさ”をしっかり感じられる構成になっている。串焼き、地鶏、炙り、丼と、見事にこちらの食欲を揺さぶってくるラインナップ。しかも一品ごとに方向性が違うため「次は何が来るのだろう」と自然と箸が進む。取材で来ているはずなのに、途中から完全に“客側の顔”になっていた気がする。
ホルモンつくね串焼き タレ

運ばれてきた瞬間、まず目を引くのがその長さ。約30cmあるという串焼きは、思わず「おお」と声が出る存在感だ。しかも調理は、竹を割るところから始まるという。“妙に手が込んでいる感じ”を見ると「さすがおさかな食堂ブランドだな。」と、納得してしまう。
ホルモンの脂と甘辛いタレ。これはもう反則である。コリコリとしたホルモンの食感と、つくねにしたことで生まれるふわふわ感が絶妙に混ざり合い、想像以上にジューシー。自然と酒が欲しくなる味だが、呑まない人でも“スタミナ飯”としてしっかり満足感がありそうだ。今回はタレをいただいたが、塩も気になる。こういう店は、結局また来る理由をちゃんと残してくる。
天草大王(モモ・ムネ)

国内最大級の地鶏として知られる“幻の地鶏”「天草大王」。見た目は比較的シンプル。だが、こういう料理ほど誤魔化しが効かない。炭火で焼き上げられたモモ肉は、弾力のある歯応えと溢れる肉汁が実に力強い。対してムネ肉は、あっさりとしていながらコクのある旨みがあり、しっとりとした仕上がりだ。炭火の香ばしさが加わることで、噛むほどに旨味が広がっていく。そのまま塩味で食べるのも良いが「から味噌」をつけるとまた表情が変わる。派手さはない。だが、地味にうまい。いや、こういう料理が一番記憶に残るのかもしれない。“地鶏を食べに来る価値がある店”として成立しているのがよく分かる一皿だった。
天草大王たたき(ムネ)

炭焼きとはまた違う魅力を感じたのが、ムネのたたきだ。こちらは主に南九州で親しまれている郷土料理。完全に火を通した鶏肉とはまた違う、独特の旨みと食感を楽しめる。別邸では、表面をさっと炙った“たたき”として提供。しっとりと柔らかな口当たりで、地鶏特有の旨味をじっくり味わうことができる。さらに合わせるのは、熱海らしさを感じる“だいだいポン酢”。爽やかな酸味が加わることで、ムネ肉の旨みがより引き立っていた。シンプルだからこそ、素材の良さが伝わってくる。こういう一品に出会うと、つい酒をゆっくり飲みたくなる。
馬とろ丼

個人的にかなり印象に残ったのが、この馬とろ丼。アツアツのご飯の上に玉ねぎと大葉、そしてその上にたっぷりとのせられた「馬とろ」。とろけるような食感に、濃厚な甘み。それでいて後味は意外なほどさっぱりしており、するすると食べ進めてしまう。炙り料理の合間に入ることで、また箸が進む。気づけば無言で食べていた。正直、おかわりしたくなる美味しさである。こういう“締めるつもりが、もう一杯食べたくなる丼”は危険だ。
だご汁

今回の内覧会では、隣接する“炙り家 本店”で提供される新メニュー「だご汁」も特別に試食できた。小麦の「だご(団子)」が入った郷土感のある一品で、甘みとコクのあるまろやかな味わいが印象的。どこか懐かしく、ほっとする味だ。
肉を楽しむ別邸に対し、本店は海鮮や郷土感を楽しむ場所。真隣にありながら、しっかり役割が分かれているのが面白い。魚にするか、肉にするか。あるいは、二軒はしごするか。そんな贅沢な悩み方ができるのも、この“炙り家”ならではなのだろう。
「熱海銀座 おさかな食堂」を旗艦店として2019年にスタートしたおさかな食堂系列店は《熱海おさかな食堂炙り家 別邸》のオープンによって、熱海を中心に9店舗展開となる。飲食店を通して、地域のタカラを伝えていく。」というコンセプトのもと、海鮮だけでなく、熱海という街そのものの魅力を発信し続けている。今回の別邸もまた、“熱海の夜をもっと面白くする一軒”として、多くの人に親しまれていきそうだ。
【店舗詳細】
熱海おさかな食堂炙り家 別邸
住所:〒413-0013 静岡県熱海市銀座町4-11 グリーンビル1階
オープン日:2026年5月24日(日)12:00~23:00(L.O.22:00)
TEL:0557-29-6803
FAX:0557-29-6804)※5/26開通
営業時間:平日15:00~23:00(L.O.22:00) 土日祝、繁忙期 12:00~23:00(L.O.22:00)
定休日:祝日、繁忙期を除く火曜日※詳しくは店舗SNSを確認
席数:全55席(テーブル44席、カウンター11席)