共栄学園ボランティア部が取り組んだ防犯活動 葛飾区と連携した自転車盗難防止キャンペーン

2026-06-04 08:00

自転車は通学や買い物など、日常生活に欠かせない移動手段のひとつです。しかしその一方で、自転車盗難は今も身近な犯罪として多く発生しており、特に若い世代の被害が少なくないとされています。

こうした中、東京都葛飾区では、自転車盗難防止を呼びかける取り組みとして、共栄学園中学高等学校のボランティア部と連携した啓発キャンペーンを実施しました。今回の活動で印象的だったのは、行政や警察だけが呼びかけるのではなく、高校生たちが主体となって同世代へメッセージを届けたことです。

地域の課題に向き合いながら、自分たちの言葉や行動で周囲へ働きかける生徒たちの姿は、多くの人にとって身近な防犯について考えるきっかけになったのではないでしょうか。

本記事では、葛飾区と共栄学園中学高等学校が連携して行った自転車盗難防止キャンペーンの内容や、その背景にある課題、そして活動に参加した生徒たちの思いについて紹介します。

葛飾区で深刻化する自転車盗難 被害が最も多いのは10代

自転車は通学や買い物、友人との待ち合わせなど、日常生活のさまざまな場面で利用されています。特に学生にとっては、行動範囲を広げてくれる身近で便利な移動手段といえるでしょう。

その一方で、自転車盗難は今も多く発生している身近な犯罪のひとつです。葛飾区では、刑法犯全体の件数は減少傾向にあるものの、自転車盗難が占める割合は依然として高く、区内で発生する犯罪の約4割を占める状況が続いています。さらに年代別に見ると、自転車盗難の被害が最も多いのは10代です。

毎日の通学や部活動、習い事などで自転車を利用する機会が多い学生にとって、自転車盗難は決して他人事ではありません。被害に遭えば通学や日常生活に支障が出るだけでなく、新たな自転車の購入費用など経済的な負担も生まれます。

葛飾区ではこれまでも駅前や駐輪場、商業施設などで防犯啓発活動を行ってきました。しかし、被害の中心となっている若い世代へ、より直接的にメッセージを届ける方法が求められていました。そこで今回実施されたのが、学校と連携した自転車盗難防止キャンペーンです。自転車盗難という地域課題に対し、行政や警察だけでなく、学生たち自身が主体となって呼びかけを行う取り組みとして注目を集めました。

生徒から生徒へ 共栄学園ボランティア部が防犯啓発に挑戦

今回のキャンペーンが特徴的だったのは、行政や警察だけが呼びかけを行うのではなく、共栄学園中学高等学校のボランティア部に所属する生徒たちが中心となって参加したことです。活動には中高生約20人が参加し、葛飾区や亀有警察署と連携しながら、自転車盗難防止や安全利用を呼びかけました。

実施されたのは、生徒たちが日常を過ごす学校の中です。駅前や商業施設などで行われる一般的な啓発活動とは異なり、同じ学校に通う仲間へ向けてメッセージを届ける形となりました。顔見知りの友人や先輩・後輩へ直接声をかけられる環境は、学校ならではの大きな特徴だったといえるでしょう。

また、今回の活動は単に配布物を渡すだけの取り組みではありません。自転車盗難という地域の課題について、生徒たち自身が考え、行動する機会にもなりました。普段から地域活動やボランティアに取り組んでいる生徒たちが、防犯という身近なテーマに向き合ったことにも大きな意味があります。

特に自転車盗難は、大人よりも学生の方が身近に感じやすい問題です。実際に自転車通学をしている生徒も多く、友人や知人が被害に遭った経験を耳にしたことがある人も少なくありません。同世代だからこそ伝えられる言葉や説得力があり、それが今回の取り組みの大きな強みになったのではないでしょうか。

生徒たちが地域の課題に向き合い、自ら行動を起こした今回の活動は、防犯啓発にとどまらず、学校と地域との新たなつながりを感じさせる取り組みとなりました。

600セットが約25分で配布完了 学校だからこそ生まれた反響

今回のキャンペーンでは、自転車盗難防止や安全利用を呼びかけるための啓発品が600セット用意されました。配布されたのは、自転車用のダイヤルロック式の鍵をはじめ、ホットアイマスクや自転車の正しい乗り方を紹介する冊子、啓発イラスト入りのポケットティッシュ、交通ルールに関するチラシなどです。防犯への関心を高めながら、日常生活でも活用できる実用的な内容となっていました。

こうした啓発品の配布は下校時間帯に行われましたが、その反響は予想以上だったようです。600セットの配布は約25分で終了し、多くの生徒が足を止めて受け取る様子が見られました。用意された啓発品がほぼあっという間になくなるほどの盛況ぶりだったことからも、関心の高さがうかがえます。

今回特に印象的なのは、学校という場所ならではの効果です。商業施設や駅前などで行われる一般的な啓発活動では、通行人が急いでいたり、活動の目的が伝わりにくかったりすることもあります。しかし学校では、生徒同士のつながりがあることで自然に声をかけやすく、受け取る側も気軽に参加しやすい環境が生まれていました。

実際には友人同士で誘い合って受け取りに来る姿も見られたほか、ピーポくんとの交流を楽しむ生徒の姿もあったそうです。事前に活動が周知されていたこともあり、ピーポくんに会うために急いで会場へ向かう生徒もいたといいます。防犯という少し堅いテーマでありながら、学校全体が前向きな雰囲気に包まれたことは、今回の活動の大きな成果だったのではないでしょうか。

また、啓発活動は単に資料を受け取って終わりではありません。実際に手渡しで受け取ることで、自転車盗難や交通ルールについて考えるきっかけになります。特に今回は、同世代の生徒たちが呼びかけ役を担ったことで、より自然な形でメッセージが届いたように感じられます。

約25分という短時間で600セットが配布されたという結果は、生徒たちの協力や学校という環境の力を示すものでもあります。今回の取り組みは、「生徒から生徒へ」というアプローチが若い世代への防犯啓発に効果的であることを示した事例として、多くの人の参考になる活動となりました。

「盗まれてしまった友達もいる」 生徒たちが語る身近な防犯意識

左:ボランティア部 副部長 藤田さん 右:部長 大塚さん

今回の活動では、防犯啓発の成果だけでなく、参加した生徒たちの言葉からも自転車盗難が身近な問題であることが伝わってきます。

共栄学園中学高等学校ボランティア部の部長を務める大塚瑚子さんは、「自転車通学の人も多く、盗まれてしまった友達もいるので、身近な問題としてみんなに伝えたいと思っていました」とコメントしています。ニュースで見る遠い出来事ではなく、実際に周囲で起きている出来事だからこそ、多くの生徒に伝えたいという思いがあったようです。

また、大塚さんは活動当日に向けて、街頭で啓発活動を行う人たちの様子を参考にしながら準備を進めていたそうです。断られても笑顔で対応することや、どのように声をかければ受け取ってもらいやすいのかを自分なりに考えながら本番に臨んだといいます。こうした姿勢からは、ただ参加するだけではなく、自分たちなりに工夫しながら活動に向き合っていたことがうかがえます。
さらに、学校での配布が想像以上の反響だったことについても、「事前周知や友達同士のつながりの効果を実感しました」と振り返っています。同じ学校に通う仲間だからこそ、活動の目的が伝わりやすく、自然と協力の輪が広がったのかもしれません。

ボランティア部副部長の藤田海さんも、「思った以上に多くの人が受け取ってくれました」と活動を振り返っています。これまでにもお祭りなどで活動を行ってきた経験があるそうですが、今回の学校での配布はこれまでとは違う手応えを感じたといいます。
藤田さんは、「学校のみんなにとって、物珍しさがあっておもしろかったのだと思います」と語っています。ピーポくんの存在や普段とは違う学校の雰囲気も、多くの生徒が関心を持つきっかけになったのでしょう。その上で、「盗難が少しでも減ってほしいです」と話しており、活動の先にある本来の目的もしっかり見据えていたことが伝わってきます。

今回のキャンペーンが成功した背景には、配布物の内容や学校という環境だけではなく、こうした生徒たち自身の思いがあったからこそではないでしょうか。地域の課題を自分たちの問題として捉え、同世代へ向けて行動する姿は、多くの人にとって印象的な取り組みだったように感じられます。

行政・警察・学校が連携して地域を守る新しい防犯活動

今回のキャンペーンは、自転車盗難防止を呼びかける活動であると同時に、地域課題に対して行政・警察・学校が連携して取り組んだ事例でもありました。特に注目したいのは、防犯活動の中心に高校生たちがいたことです。同世代の生徒が呼びかけることで、多くの人が関心を持ち、高い反響につながりました。

地域の安全は行政や警察だけで守るものではなく、一人ひとりの意識や行動も大切です。今回の取り組みは、自転車に鍵をかけることの大切さを伝えるだけでなく、生徒たち自身が地域の課題に向き合う機会にもなりました。

共栄学園ボランティア部の生徒たちの活動は、防犯意識の向上とともに、地域のつながりの大切さを改めて感じさせてくれる取り組みだったといえるでしょう。

共栄学園ボランティア部が伝えた地域防犯の大切さ

自転車盗難という身近な課題に対し、共栄学園中学高等学校のボランティア部が中心となって行われた今回の啓発活動。多くの生徒が啓発活動に関心を示したことからも、生徒たちの呼びかけが広く届いたことがうかがえます。

行政や警察だけではなく、学校や生徒たち自身が地域課題の解決に関わる姿は、地域のつながりの大切さを改めて感じさせてくれる取り組みではないでしょうか。こうした活動が広がることで、防犯意識の向上とともに、地域のつながりもさらに深まっていくことが期待されます。


葛飾区 概要

葛飾区は東京都の東部に位置し、下町の温かい人情や豊かな地域コミュニティが息づく自治体です。子育て支援や教育、防災、防犯など幅広い分野に力を入れており、地域住民が安心して暮らせるまちづくりを推進しています。
また、区民や学校、企業などと連携したさまざまな取り組みを通じて、地域課題の解決にも積極的に取り組んでいます。

公式サイト:https://www.city.katsushika.lg.jp/

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