ドラマ『時すでにおスシ!?』が描く鮨の世界――“リアルな鮨アカデミー”を支える監修陣が大切にしてきたもの【ドラマTopics】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-06-06 07:00
ドラマ『時すでにおスシ!?』が描く鮨の世界――“リアルな鮨アカデミー”を支える監修陣が大切にしてきたもの【ドラマTopics】

国内外で鮨文化への関心が高まる中、近年は鮨職人を目指す人や、趣味として鮨を学ぶ人も増えている。実際に、幅広い世代や職業の人々が通う“鮨アカデミー”では、短期間で技術を学ぶ人も少なくない。

【写真で見る】“さかな組長”松山ケンイチさんが鮨を握る姿も・・・ドラマ『時すでにおスシ!?』場面写真

そんな鮨アカデミーを舞台に、永作博美さん演じる主人公が新たな人生を踏み出し、仲間たちとともに成長していく姿を描いているのが、TBS火曜ドラマ『時すでにおスシ!?』だ。

本作で監修・協力を務める「銀座おのでら」が運営する「GINZA ONODERA 鮨アカデミー」の川澄健先生と、「銀座おのでら」統括総料理長・坂上暁史親方は、俳優たちへの技術指導だけでなく、所作や道具の扱い方まで細かく監修。“リアルな鮨の世界”を支えている。

そんな二人が鮨職人を志したきっかけや、鮨アカデミーで大切にしていること、そして鮨を通して広がる人とのつながりとは――。

「食べたい」から始まった鮨職人の道

坂上親方が鮨職人を目指したきっかけは、意外にも「鮨を食べたい」という憧れからだったという。

「当時はまだ回転寿司もそんなになくて、家でお鮨を食べる機会も少なかったんです。来客の際のお鮨の残りを食べるくらいで。だから、お鮨への憧れがすごく強かったんですよね」

自宅で酢飯を作るほど鮨に興味を持っていた坂上親方は、「お寿司屋さんに入ったら、お鮨が食べられるだろう」と思い、この世界へ入った。

実際に鮨の世界に入ってみると、「休みの前の日は、余ったネタでちらし寿司を作るのですが、『こんなに鮨を食べられるなんて最高』と思っていました。つらい修業と言われますが、僕自身はあまりつらいと感じたことがないんですよ」と回想する。

一方、川澄先生は、中学時代に始めた「釣り」がキャリアの原点だった。

「防波堤釣りから始まって、磯釣りが好きになって、魚も好きになりました。その頃、いとこが東京でお寿司屋さんを開業していて、土日に出前持ちのアルバイトをしていたのがきっかけです」と語る。

「もともとは宮大工になりたかった」とも口にする川澄先生。「前の山の竹を削って武器を作ったりしていたので、今の仕事にもどこか通じているのかもしれないです」と笑う。

「学校は失敗する場所」――鮨アカデミーが大切にしていること

川澄先生は、講師として生徒と接する中で、「失敗できる場所を作ること」を大切にしていると言う。

「学校は失敗できる場所。実際の現場へ行ったら失敗はできないからこそ、『失敗してもいいから』と、とにかく練習してほしいんです」と、その立ち位置を大事にしている。

その一方で、最も重視しているのは衛生面だ。

「うまく作ることよりも、安全に食べてもらえる環境にすることが大切です。特に生ものなので、食中毒や事故を起こしてはいけない。そこは結構うるさく言いますね」と気を引き締める。

技術は数を重ねれば身につくが、衛生面への意識は最初にしっかり教える必要がある――それが、川澄先生の考えだ。こうした“基礎を徹底する姿勢”は、ドラマの監修でも大切にしてきたという。

また、鮨店ごとにやり方やルールが異なるからこそ、「ベースを作ること」が学校の役割だとも考える。

「僕らが教えたことも、お店に入ればそのお店のやり方がある。“郷に入っては郷に従え”なので、そこまでの土台を作って送り出してあげたいなと思っています」

さらに、鮨職人には技術だけでなく、「人との距離感も大切」とも。

「昔、親方さんに『7つ聞いて、2つ教えて、1つ褒める。それがいいバランスだよ』と言われたことがあるんです」と、その教えを振り返る。

話しすぎず、聞き役に回ること。そんなコミュニケーション術も、カウンターに立つ職人に必要な力なのだ。

“3か月で鮨職人”は可能なのか

ドラマでも描かれている、「3か月で鮨を学ぶ」というテーマについて、川澄先生は「個人差がある」と、現場から見た実感を口にする。

「全く包丁を握ったことがない人なのか、調理経験がある人なのかでも変わりますし、どんな鮨店を目指すのかによっても違います」と、その“差”について説明。

鮨業界には、高級店だけでなく、立ち食い寿司、チェーン店、テイクアウト、宅配寿司、仕込み場など、さまざまな働き方がある。

「例えば、調理経験がある人なら、3か月という期間で、お店で鮨を提供できる場合もあります。高級店なら見習い、大衆チェーン店なら裏のスタッフなど、その人の技量によって選択肢はいろいろあります」

現在の鮨業界については、「やる気さえあれば挑戦しやすい時代」だとも語る。

鮨職人は“若くして始める世界”という印象もあるため、「30代や40代になってからだとハードルが高いと思われがちですが、今はそんなことはありません。どこも人手不足なので、やる気があれば、いくらでもできると思います」と、一歩を踏み出せない人たちの背中を押す。

永作さん演じる主人公の待山みなとも、50歳になり飛び込んだ“鮨アカデミー”という新たな場所。「いくつになっても挑戦できる」というメッセージは、ドラマが投げかけるテーマともつながっている。

18歳から82歳まで――鮨アカデミーに集う多様な生徒たち

川澄先生が講師を務める「GINZA ONODERA 鮨アカデミー」には、幅広い世代・職業の人たちが集まってくる。

「下は18歳から、上は82歳まで。本当にいろいろな方がいらっしゃいます」

以前は週5日・3か月のコース制だったが、現在は1コマごとに自分が受講したい授業を選択できるスタイルへ変更。自動車学校のように、自分で授業を組み合わせられる仕組みにしたことで、より多様な人が通うようになったという。

「趣味の人もいますし、商売を目指す人もいる。海外から一時帰国している人も結構いますね。自分で釣った魚をおろしたい人や、鮨パーティーをやりたい人もいます」

医師、看護師、社長、カメラマンなど、職業もさまざま。生徒同士で情報交換をする場にもなっているそうで、「皆さん、話が面白いんですよね」と川澄先生は笑う。

年齢や国、目的や経験も異なる人たちが集まり、それぞれの形で鮨を学んでいることが、教室に独特な空気感を生み出す。それは、ドラマの中で描かれる“鮨アカデミー”の空気感にも、反映されている。

「楽しかった」が一番うれしい――鮨を通して広がる人との出会い

37年にわたり鮨の世界に身を置いてきた坂上親方には、「おいしい」と言われる以上にうれしい言葉があるという。

「『楽しかった』と言われるのが一番うれしいですね」と、その言葉に力をもらっている。

「食べ物自体は残らないですが、『どんな時に、誰と食べたか』という記憶は残るじゃないですか。その中で『楽しかった』と言っていただけるのは、その時間が充実していたということなので」と、その理由を明かし、目を細める。

料理そのものだけでなく、「誰と、どんな時間を過ごしたか」が記憶に残るのが「食の世界」だと、鮨職人としての思いをにじませる。

また、鮨店のカウンターは、人との出会いを通して「自分自身を成長させてくれる場所」でもあるという。

「普段会えないような方々との出会いが日々あるんです。そういう方たちとの会話を通して、人生観を学ばせてもらっている、という感覚があります」と、日々“学び”を続けている。

鮨を通じて人とつながり、その積み重ねが人生を豊かにしていく――。坂上親方は「そういう人とのつながりが、お寿司屋さんならではの魅力なのかなと思います」と、長年カウンターに立ち続けてきた中で感じた鮨の“持ち味”を、穏やかに語る。

鮨を通して生まれる出会いや成長――。川澄先生と坂上親方の言葉からは、技術だけではない“鮨アカデミー”の魅力が見えてきた。その魅力は、ドラマ『時すでにおスシ!?』で描かれる人と人との温かなつながりとも、重なっているようだ。

  1. 【速報】北海道・上川地方に「記録的短時間大雨」 増毛町付近で1時間に約100ミリの猛烈な雨 災害警戒 27日23:49時点
  2. チリ国籍の男2人逮捕 所持品から盗まれた時計と同じ高級腕時計1本を押収 「中野ブロードウェイ」2億円相当の高級腕時計窃盗
  3. 【速報】20代と30代のチリ国籍の男を逮捕 「中野ブロードウェイ」高級腕時計2億円相当窃盗事件 午後7時すぎに大阪府内で身柄を確保 警視庁
  4. 石川・富山 あすにかけ再び警報級大雨のおそれ 最大級の警戒を 羽咋市で343ミリ(午後8時までの24時間)
  5. 高市総理「優生思想に断固として立ち向かう」 障がい当事者114人の手紙受け取り
  6. 熊本地震1か月を前に“大きな決断”被災3日後に再開もスーパーが閉店 開店3日前に被災したケーキ店がついに開業
  7. バレー女子日本代表が準決勝進出!台湾にストレート勝利 五輪切符まであと2勝 次戦は決勝懸けタイと激突【アジア選手権】
  8. 熊本地震一か月 「あの日生まれた命」福田病院 地震当日13人の赤ちゃんが誕生 発生13分前に生まれた母娘を取材【Nスタ】
  9. 27日夜遅くから石川・福井で雨脚強まるおそれ 北陸・東海180ミリ予想 秋雨前線などの影響で大気の状態が不安定 大雨に警戒を【27日これからの天気】
  10. トヨタがAIを使った自動運転技術を2028年から搭載へ
  1. 石川・富山 あすにかけ再び警報級大雨のおそれ 最大級の警戒を 羽咋市で343ミリ(午後8時までの24時間)
  2. 熊本地震1か月を前に“大きな決断”被災3日後に再開もスーパーが閉店 開店3日前に被災したケーキ店がついに開業
  3. 【速報】20代と30代のチリ国籍の男を逮捕 「中野ブロードウェイ」高級腕時計2億円相当窃盗事件 午後7時すぎに大阪府内で身柄を確保 警視庁
  4. 「乗りたくて買った車だから」一時2700台が路上に…千葉豪雨で水没 損保4社で計1万3887件の自動車保険請求 リモート査定でいち早い保険金支給も
  5. バレー女子日本代表が準決勝進出!台湾にストレート勝利 五輪切符まであと2勝 次戦は決勝懸けタイと激突【アジア選手権】
  6. 氾濫した上庄川「50年ぶりではないか…」住民の声も ブロック塀が田んぼに崩れ落ちる被害 富山・氷見市から現場中継
  7. 川が増水し一面“水”…午後5時ごろ車から高齢の男女2人救助 石川・羽咋市から高柳光希アナウンサー現地中継
  8. 高市総理「優生思想に断固として立ち向かう」 障がい当事者114人の手紙受け取り
  9. 「日本人5人と連絡取れず」ネパール・中国国境の土石流 川から土砂が広範囲にあふれ… 165人死亡、826人行方不明 地震の影響で氷河や土砂が崩れ決壊か
  10. トヨタがAIを使った自動運転技術を2028年から搭載へ
  11. チリ国籍の男2人逮捕 所持品から盗まれた時計と同じ高級腕時計1本を押収 「中野ブロードウェイ」2億円相当の高級腕時計窃盗
  12. 【 がん闘病 】古村比呂さん 抗がん剤治療「今日でたぶん38回目」 帯状疱疹だった去年に比べ「今年はいい感じです」