「誰かのために、勝利のために」バレー女子日本代表・小島満菜美が語る“支える覚悟”【実況席から見える世界】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-06-06 12:00
「誰かのために、勝利のために」バレー女子日本代表・小島満菜美が語る“支える覚悟”【実況席から見える世界】

バレーボールの世界三大大会のひとつ、ネーションズリーグが6月4日に開幕。予選ラウンド第3週(7月8日~)は男女ともに大阪で開催される。24年大会では主要国際大会で10年ぶりとなる銀メダルを獲得した女子日本代表も、前回は4位と涙を呑んだ。再び表彰台を狙う選手たちの素顔を、自身も中高でバレー部に所属(セッター)し、入社直後の98年から現場取材を重ねてきた、実況のTBS新タ悦男アナウンサーがリポートする(第4回)。

【写真で見る】献身的なプレーでチームに貢献

「『誰かのために』それが仕事」

リベロは点を取れない。
それでも勝利をつくることができる。
小島満菜美(31)のプレーには、その逆説を成立させる理由がある。

「リベロは直接点を取れないポジション。他の選手にやってもらわないと点は取れない。究極、負けさせないことは拾うことで出来ても、点を取って勝たせることはリベロにはできない。でも勝たせてもらうための土台作りはできる。勝たせるために自分ができることをしなければいけない。勝ちに導ける人の動かし方をしていかなければいけない」

小島は、そう言い切る。 その言葉どおり、彼女は声を出し、拾い、仲間を鼓舞し続ける。

「人に尽くすことが嫌いじゃない。だから性格的にも自分はリベロというポジションにあっている。他の選手のために、チームのためになるのであれば根気強くやればいい。『誰かのために』、それが私の仕事」

女子日本代表アクバシュ監督は、「日本のレセプション・リズムは非常に良く、世界でもトップクラス。大きな変更を加える必要はない。ただ、ルールの変更や特定の強力なサーバーに対しては、機動力を活かしたサーブレシーブを試す。さらに相手のアタックコースの傾向がはっきりしている場合、リベロのポジションチェンジを行ってトランジションからの4枚攻撃も確保していきたい」とリベロに対する要求は高い。機動力を生かしたサーブレシーブ、小島が磨いてきた新たな武器だ。

「アメリカではサーブレシーブのスライドやスイッチを誰よりもやってきました。スパイカーを攻撃に専念させるために、私がサーブで狙われている選手と入れ替わる(スイッチ)、アタッカーを助走に開かせて空いたところに入る(スライド)。ただ、スイッチすることは相手も分かっているので、逆を突かれないように「スイッチするふりをして残る」といったフェイクもかなり入れて駆け引きもしてきました。 リベロが守備範囲を広げることで、スパイカーが「打つこと」に専念できる環境を作る。それが日本のサイドアウトの確率を上げることになるはず」

その動きを支えているのが1歩目の質だ。小島の1歩目は相手の攻撃を消すための1歩になる。その1歩が、チームのすべての“攻撃を最大化するための逆算”でつながっている。1本のスパイクに集中させるために。

「サーブレシーブの質に関しては、セッターの好みに合わせることが一番。例えば、関選手なら、しっかり下に入る時間を作るために少し「高め」のパス。逆に中川選手なら、高いパスよりもテンポ良く出せる「低め」のパスを好む傾向があるので、そこはコミュニケーションを取りながらコントロールしていきたい」

“難しそうに取らないリベロ”

小島のパスは「技術」以上に「思いやり」だ。
一つの優しさが、大きな1点につながる。チームの未来のために。

プレーが安定してきた頃、どれだけ頑張っても自分ひとりでは勝てない。 リベロには限界がある—その事実に気づいた。

「リベロは難しいからこそやりがいがある。目立たないリベロになりたい。派手なリベロはいらない。気付けばポジションを取っているリベロ。難しそうに取らないリベロに憧れる」。自分自身の存在意義のために。

「小島が出たらみんなが『ホッとする』、もう一度自分たちのプレーにフォーカスできる。そんな安心感を与えられる存在であり続けたいと、自分に期待しています」

今日もきっと、誰かのために、勝利のために。
静かにチームの背中を押す。
小島満菜美がコートの真ん中で日本を確実に支えている。

■小島満菜美(LOVBソルトレークバレーボール/アメリカ)
1994年11月7日生まれ 宮城県出身
市立船橋高(千葉)3年時にはインターハイに出場し、全日本高校選抜に選出。青山学院大学(東京)1年次には「新人賞」と「リベロ賞」をダブル受賞。同年の世界ジュニア選手権で28年ぶりの銀メダルに貢献し、日本で唯一個人賞に選出され「ベストリベロ賞」に輝いた。22年に日本代表初選出。今大会まで4年連続でネーションズリーグに出場し、24年のパリ五輪、25年世界バレーに出場。現在所属するアメリカのプロリーグ「LOVB」では、2年連続で年間最優秀リベロを受賞している。

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