地元で「売れない」と絶望したベーコンが世界の頂点へ! 北海道・エーデルワイスファームが「ダイヤモンド味覚賞」を受賞

かつて地元で「美味しいけれど、いいお値段ね」と敬遠され、全く買ってもらえないベーコンがあった。保存料や添加物を一切使わない本物の味を目指したものの、大量生産品と比較されては「賞味期限が短すぎる」と百貨店からも断られ続ける日々。当時は会社ごと本気で諦めかけるほどの状況だったという。
それから40年。その不器用なまでに伝統を守り続けた味が、世界の頂点に立った。
北海道北広島市で1920年代の伝統的なドイツ製法によるハム・ベーコンの製造を行う株式会社エーデルワイスファームの主要製品「ベーコン」が、ベルギー・ブリュッセルに本部を置く国際味覚審査機構(ITI)において、最高栄誉である「ダイヤモンド味覚賞」を受賞した。
この賞の審査基準は、とにかく厳しい。ミシュランの星付きシェフやヨーロッパのソムリエたちが、パッケージやブランド名、国籍を一切伏せた完全な目隠し(ブラインド)の状態で審査を行う。「第一印象」「見た目」「香り」「味(テクスチャー)」「後味」の5基準で評価し、最高ランクの「3つ星」を10年間のうちに通算7回獲得した製品にのみ、このダイヤモンド賞が授与される。知名度に頼らない、純粋な美味しさの証明だ。

「本物の味」の再現と、窮地を救った東京での大逆転劇
今年で40周年という大きな節目を迎える同社。その歩みは1986年、当時「北海道No.1」と謳われた札幌グランドホテルの総料理長からの「本場ドイツの伝統的な味を再現してほしい」という依頼から始まった。
一流ホテルのトップが認めたクオリティとして、すぐに札幌や函館、旭川などの百貨店などで販売をスタートしたものの、1980年代の市場の壁は厚かった。大量生産・一般流通されている安価なハムやベーコンと常に比較され、価格を崩すこともできずに万策尽きかけていたという。
そんな窮地を救ったのが、当時「日本一」とも称された西武百貨店渋谷店からのギフトシーズンの催事出店の依頼だった。藁をも掴む思いで初めて出店したところ、本物の味を求める首都圏の顧客の間で瞬く間に口コミが広がり、いきなり産直ギフトの売上ベスト5にランクイン。その後、約3年半にわたり同店の同部門で売上No.1を独走するほどの大ヒットを記録し、ファームの全国的な基盤を築くきっかけとなった。

偶然の発見が生んだ熟成法と、燻煙師による温度管理
世界を魅了したその味は、効率的な大量生産とは対極にある、時間と手間の積み重ねから生まれたものだ。
偶然の発見から始まったという独自の「氷温熟成」は、0℃以下から肉が凍る寸前の凍結点までのギリギリの温度帯(氷温帯)で、約1ヶ月におよぶ長期熟成を行う。この期間を経て、肉本来の旨味が極限まで引き出されるという。
さらに、仕上げの「燻煙」にも職人の技が詰まっている。使用するのは、2年間自然乾燥させたオーク(ナラ)の薪だ。この薪を使い、長年の経験に基づく絶妙な温度管理(温燻)で、炭火の熱を加えながら一本一本仕上げていく。
マニュアル通りの大量生産とは異なり、燻煙師たちがその日の気温や湿度に合わせて都度、火力をコントロールする。

同社の代表取締役である野崎創氏は、「今回の受賞は、何よりも毎日厳しい製造現場で一切の妥協を許さずに『本物の美味しさと安全』を追求し、汗を流してくれた社員をはじめとするスタッフ全員の努力の結晶」「現場のスタッフ全員の職人としての誇りと技術の証明です」とコメントを寄せている。
物産展のお客様の声から始まった、新ジャンルへの挑戦
同社はこの伝統製法(氷温熟成・薪炭火仕上げ)を応用し、2023年夏に「ベーコン節(R)」を開発した。
物産展でのお客様の「西洋の鰹節」という言葉に着想を得て作られたこの製品は、豚もも肉を原料とし、保存料を一切使用せず、焙乾とドライエイジングによって水分活性を抑える特殊製法で開発された。10kgの原料からわずか2kgしか製造できないものの、「冷蔵2週間」という従来のベーコンの弱点を克服。常温で180日間の保存流通を可能にした画期的な一品だ。
「削って食べるお肉」という特徴が受け入れられ、新千歳空港をはじめとする市場で累計5万本を販売。今年の秋には、新たなラインナップのリリースも予定されている。

世界一となったストーリーを贈り物として
これから、父の日や夏のお中元のシーズンを迎える。
不器用なまでに本物を追求し、「売れずに絶望した状況から、ついに世界の頂点に立った」という同社のストーリーは、贈答品(ギフト)に他にはない特別な価値を添えてくれる。
いつも頑張っているお父さんへの贅沢な酒の肴として、あるいはお世話になった大切な方へ、特別な美味しさと感動を届けるために。今年は趣向を変えて、この「世界一の物語」を贈ってみるのはいかがだろうか。それはきっと、思わず誰かに話したくなるような、記憶にも残る贈り物となるはずだ。
