マウンテンキャビアの成分「モモルジンIc」に抗肥満・脂質低下効果を発見

2026-06-25 04:38

近畿大学大学院薬学研究科などの共同研究グループは、秋田県の伝統食材「とんぶり(マウンテンキャビア)」に含まれる「モモルジンIc」が、食事からの脂肪吸収を抑制し、抗肥満・脂質低下効果をもたらすことを明らかにしました。

概要

秋田県の伝統食材「とんぶり(マウンテンキャビア)」に含まれる「モモルジンIc」という成分が、胃の内容物を腸に送り出す速度やホルモン分泌を調節することで、食事からの脂肪吸収を抑制し、抗肥満・脂質低下効果をもたらすことが明らかになりました。本研究成果は、食事による肥満や脂質異常症に対して改善効果を示す機能性食品素材への応用が期待されます。

論文掲載誌:Journal of Natural Medicines

論文掲載日:令和8年(2026年)6月16日(水)

本件のポイント:

マウンテンキャビアに含まれるモモルジンIcによる、食事由来の脂肪吸収抑制効果を解明

モモルジンIcは、胃の内容物を腸に送り出す速度やホルモン分泌を制御することで、食欲を調節

本研究は、食事による肥満や脂質異常症を改善する機能性食品素材への応用が期待される研究成果

マウンテンキャビアの成分による脂肪吸収抑制メカニズム

秋田県の特産品である「とんぶり」は、見た目や食感から「畑のキャビア」と呼ばれ、古くから滋養強壮などの目的で生薬としても利用されてきました。近畿大学薬学総合研究所の研究グループは、マウンテンキャビアの効能に着目し、先行研究で新規成分「アシル化フラボノイド配糖体」を発見し、インスリン分泌促進効果を見出していました。マウンテンキャビアには、「モモルジンIc」という成分が多く含まれており、鎮痛・抗炎症、抗アレルギー、胃粘膜保護など、多岐にわたる効果をもたらすことが知られています。研究グループはこれまでに、マウンテンキャビアから抽出したエキスおよびモモルジンIcに、ブドウ糖の吸収を抑制する機能があることを示していましたが、その具体的な作用機序は解明されていませんでした。

モモルジンIcによる抗肥満・脂質低下効果の検証

今回、研究グループは、マウンテンキャビアエキスやモモルジンIcがどのようなメカニズムで抗肥満・脂質低下効果を発揮するかを検証しました。オリーブオイルを与えたマウスにマウンテンキャビアの抽出エキスを投与したところ、食後の中性脂肪の上昇が有意に抑制されました。また、マウンテンキャビアエキスの主成分であるモモルジンIcを投与した場合は、より低濃度で有意な抗高脂血症効果を示すことが明らかになりました。

この効果のメカニズムを解明したところ、モモルジンIcは脂肪を分解する酵素の活性を直接阻害するのではなく、胃の内容物を腸に送り出す速度(胃排出)を著しく遅延させることで、中性脂肪の吸収を緩やかにしていることが明らかになりました。さらに、モモルジンIcは、膵臓からインスリン分泌を促して血糖値を下げるホルモンを有意に増加させました。

続いて、高脂肪食を与えたマウスに、マウンテンキャビアエキスを14日間投与したところ、体重増加が抑制されました。同様に、モモルジンIcを投与した場合は、内臓脂肪の蓄積および悪玉コレステロール値を有意に減少させました。なお、総エネルギー消費量※1 については、マウンテンキャビアエキスの投与による有意な変化は認められませんでした。

以上の結果から、マウンテンキャビアエキスおよびモモルジンIcは、エネルギー消費量ではなく、胃排出遅延やホルモン分泌による食欲調節を介して、抗肥満および脂質低下効果を発揮することが示唆されました。これまで、モデル動物を用いた抗肥満素材の研究で、総エネルギー消費量まで踏み込んだ例はなく、今回が初めての成果と言えます。

まとめ

マウンテンキャビアに含まれる「モモルジンIc」が、胃排出の遅延やGLP-1分泌促進といった消化管機能の調節を通じて、食事からの脂肪吸収を抑制し、抗肥満・脂質低下効果を発揮することが明らかになりました。この研究成果は、将来的に食事による肥満や脂質異常症の改善に寄与する機能性食品素材としての応用が期待されます。

関連リンク

https://link.springer.com/article/10.1007/s11418-026-02052-3

https://www.kindai.ac.jp/meikan/823-morikawa-toshio.html

https://www.kindai.ac.jp/rd/research-center/prti/