企業のクリエイティブ領域で進む生成AI活用 公表への慎重さと運用課題も明らかに

2026-07-07 07:55

生成AIという言葉が、特別なものではなくなりつつあります。文章のたたき台を作る、アイデアを広げる、画像や動画制作のヒントにするなど、日々の業務の中で自然に活用される場面も増えてきました。特にマーケティングやクリエイティブの領域では、スピードや表現の幅を広げる手段として期待される一方で、品質や権利、ブランドらしさとの向き合い方も問われています。便利なツールとして広がるほど、企業としてどのように使い、どこまで公表するのかという判断も必要になります。

こうした中、株式会社アマナは、企業のマーケティング・クリエイティブ担当者400名を対象に「AI×クリエイティブに関する実態調査」を実施。調査からは、生成AIの活用が着実に進んでいる一方で、社外への公表や運用体制の整備には、まだ慎重な姿勢も見えてきました。

クリエイティブ領域で生成AI活用が広がる

まず注目したいのは、クリエイティブ領域における生成AIの活用状況です。調査では、生成AIを「活用している」と回答した企業が59%となり、半数を超える結果となりました。一方で、「活用していない」と回答した企業は41%でした。この数字からは、生成AIが一部の先進的な企業だけに使われているものではなく、企業の実務の中に少しずつ入り込んでいる様子がうかがえます。広告やブランド、事業企画など、クリエイティブに関わる現場では、アイデア出しや資料作成、表現の検討など、さまざまな場面でAIが使われ始めていると考えられます。

もちろん、すべての企業が同じように活用しているわけではありません。業種や社内体制、扱う情報の性質によって、使いやすさや導入のしやすさには差があります。それでも、約6割が活用しているという結果は、生成AIが企業のクリエイティブ活動において、すでに無視できない存在になっていることを示しています。

制作だけでなく、評価や意思決定にも影響

生成AIの影響は、単に制作工程の一部にとどまっていないようです。調査では、61.75%が「クリエイティブの評価や意思決定に影響している」と回答しました。

これまで生成AIは、文章や画像の生成、アイデア出しなど、制作を補助するツールとして語られることが多くありました。しかし今回の結果を見ると、AIはアウトプットを作るだけでなく、その内容をどう評価するか、どの方向性を選ぶかといった判断にも関わり始めていることがわかります。

たとえば、複数の案を短時間で比較したり、初期段階のビジュアルイメージを確認したりすることで、企画や制作の進め方が変わる場面もありそうです。人がゼロからすべてを考えるのではなく、AIが出した案をもとに議論し、判断を重ねていく流れが生まれているのかもしれません。

一方で、意思決定に影響するからこそ、AIが出した内容をどのように受け止めるかも重要になります。便利さだけでなく、情報の正確性や表現の適切さを確認する目も、これまで以上に求められそうです。

活用企業の7割超が、積極的には公表していない

生成AIの活用が進む一方で、社外への発信には慎重な企業が多いことも明らかになりました。生成AIを活用している企業のうち、71.4%が「AI活用について積極的に公表していない」と回答しています。

この結果は、AIを使っていること自体が珍しくなくなってきた一方で、それをどのように外部へ伝えるかについては、まだ多くの企業が様子を見ている状況を示しているようです。特にクリエイティブ領域では、制作物の品質や著作権、ブランドイメージとの関係など、慎重に考えるべきポイントがいくつもあります。

積極的な外部発信をしていない理由として、「活用が限定的」「ガイドラインがない」「著作権リスク未整理」といった項目も示されています。つまり、AI活用そのものが進んでいても、社内でのルールやリスク整理が十分でなければ、公表には踏み切りにくいという実態があるようです。

生成AIの活用を前向きに伝えるためには、単に「使っています」と発信するだけでは足りません。どのような範囲で使っているのか、品質をどう確認しているのか、権利面にどう配慮しているのかといった説明も必要になります。企業にとってAI活用は、技術導入だけでなく、信頼の伝え方にも関わるテーマになってきています。

AI活用が進む中で見えてきた運用上の課題

調査では、AI活用における課題も挙げられています。主な課題としては、「著作権リスク」が32.5%、「評価基準がない」が24.0%、「品質が安定しない」が21.5%となりました。また、ガイドラインが未整備または不明とする回答は43.5%にのぼっています。

生成AIは、制作のスピードを上げたり、アイデアの幅を広げたりするうえで大きな可能性を持っています。その一方で、出力されたものがそのまま使えるとは限りません。情報が正しいか、他者の権利を侵害していないか、ブランドのトーンに合っているかなど、確認すべき点は多くあります。

特に企業のクリエイティブ活動では、表現の一貫性や品質がブランドへの印象にもつながります。担当者ごとにAIの使い方が異なれば、アウトプットの雰囲気や精度にばらつきが出る可能性もあります。そのため、AIを便利な制作ツールとして使うだけでなく、どのような基準で確認し、どのように運用するかを整えることが大切になります。今回の調査結果からは、生成AIの導入が進むほど、社内ルールや品質管理の必要性が高まっていることが見えてきます。


<調査概要>
調査名:AI×クリエイティブに関する調査
調査対象:企業のマーケティング・クリエイティブ担当者(宣伝・広告・ブランド・事業企画)
役職構成:経営者・役員17.5%/部長以上27.3%/マネージャー23.5%/一般職31.8%
企業規模:100名未満35%/100〜499名20%/500〜999名13.3%/1,000名以上31.8%
職種:マーケター92.3%/クリエイター7.8%
有効回答数:N=400名

生成AIは、企業のクリエイティブ制作において、すでに身近な存在になりつつあります。調査でも、約6割が活用しており、6割超が評価や意思決定に影響していると回答しました。これは、AIが単なる試験的なツールではなく、実務の中で一定の役割を持ち始めていることを示しています。

一方で、活用が進むほど、課題も具体的になります。社外への公表に慎重な企業が多いことや、著作権、評価基準、品質のばらつきといった不安は、AI活用が次の段階に入っているからこそ見えてきたものともいえます。

これからのクリエイティブ領域では、生成AIを使うかどうかだけでなく、品質や権利、ブランド表現との整合性を保ちながら、どのように活用していくかがより重要になっていきそうです。企業のAI活用は、導入そのものを目的にする段階から、安心して使い続けるための仕組みづくりへと移りつつあるようです。

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