酷暑だけでなく肌の美容を妨げる近赤外線をカット! レアメタル由来の新素材「SOLAMENT」とは?
気象庁が新たに「酷暑日」の基準を設けるなど、例年以上に暑さにフォーカスが当たる今夏、各社から酷暑対策に向けた商品が発表されている。その中で素材メーカーの住友金属鉱山が開発した「SOLAMENT」は、太陽光の近赤外線を吸収し熱を遮断するという、レアメタル由来の新素材だ。7月9日に同社で行われたラウンドテーブルでは、担当者による製品説明が行われたほか、同素材を自社の製品に導入している企業の担当者をゲストに招いたトークセッションを展開。さまざまな領域に利用可能性のあるSOLAMENTの魅力が語られた。
暑い時期にも寒い時期にも活躍する新素材
東京・新橋にある同社本社で始めに見学したのは、この日の主役「SOLAMENT(ソラメント)」でコーティングされた“透明のダウンジャケット”だ。近赤外線を吸収するSOLAMENTは衣類に使えば発熱効果があり、綿毛がないこの形でも一般的なダウンジャケット以上の暖かさが保てるという。

どうして酷暑を迎えるこの時期にダウンジャケットの紹介を……と思った方が多いかもしれないが、実はフィルタとして活用すれば熱を遮断できる機能があるのも、この新素材の凄いところ。つまり使い方によって発熱にも遮熱にもなる画期的な素材であり、なおかつ可視光線だけを透過させることができるため、本素材のプロジェクトリーダーである同社の石橋佳祐氏は「アパレルや作業服などの衣類だけではなく、建築分野や農業分野の資材などにも活用を予定しています」と話す。

この日のラウンドテーブルで、近赤外線の人体への影響を学術的視点から説いた東海大学の佐々木政子名誉教授によると、地上に届く太陽光エネルギーの約42%が赤外線であり、そのほとんどを近赤外線が占めるという。また、近赤外線には皮膚の深部にまで届く透過性があり、深部の体温上昇とともに皮膚の菲薄化を引き起こし、しわやたるみの原因になるため、「酷暑の時期は特に、近赤外線から肌や目を守る工夫が大切になります」と同氏は話す。
「ミレー」や「スナイデル」にSOLAMENTが採用
続くトークセッションでは、アウトドアブランド「Millet」を展開するミレー・マウンテン・グループ・ジャパン株式会社でブランドマネジメント部のシニアブランドマネージャーを務める櫻井久男氏、「SNIDEL」など多数の人気ファッションブランドを展開する株式会社マッシュスタイルラボの取締役で生産管理本部本部長を務める岩木久剛氏、住友林業株式会社の住宅事業本部生産統括部でシニアリーダーを務める廣岡学氏をゲストに招き、SOLAMENTの導入を進める3社の生の声が語られた。

始めに自社製品へのSOLAMENT導入の背景を尋ねられた二者は、「登山というのは、自分で自らの身を守るしかないスポーツである上、森林限界を越えた日陰のない場所を歩くこともあるため、本素材の導入がユーザーへの貢献に繋がると考えました」(ミレー・櫻井氏)、「人体に影響を及ぼす近赤外線を防ぐ効果をファッションに取り入れられるだけでなく、我々が女性の美しさや女性らしさをしっかり考えている企業であるというメッセージを伝えられる素材だと感じました」(マッシュスタイルラボ・岩木氏)とそれぞれコメント。

一方、屋外の労働環境改善に向けて今夏からSOLAMENT導入を始める住友林業の廣岡氏も「昨年から企業の熱中症対策が法律で義務化され、当社としてもいろいろな課題がある中で、SOLAMENTを使った作業着や空調服が環境改善の新たな一歩になると考えました」と背景を述べた。

ミレーとマッシュスタイルラボでは既に製品を販売しており、「非常に好評で、4月の発売と同時に売り切れた商品もあり、『山の稜線を歩いていても“日陰”を感じる』という反響をいただいています。また、登山目的以外でも、例えば週末に子供のサッカー応援があるお母さんから『とても助かりました』という声が寄せられました」(ミレー・櫻井氏)、「弊社の主要7ブランドで『LUMISHADE by SOLAMENT』という名称で展開しており、SNIDELで3月下旬に発売したUV・近赤外線カットのパーカーはECで即日完売するなど、反響は上々です」(マッシュスタイルラボ・岩木氏)とリアルの反響が語られ、世間の高い評価が伺えた。

会場では、二社が展開する商品の展示もあり、さらさらとした素材の肌触りを体感。また、SOLAMENTの近赤外線カットをサーモグラフィで比較するコーナーもあり、その効果を一目瞭然に感じることができた。
酷暑対策だけでなく美容的な観点でも今後注目を集めるであろうSOLAMENT。素材を知り尽くした同社だからこそ開発できた“太陽光をコントロールする新素材”は、暑い時期も寒い時期も我々に快適をもたらしてくれる技術になりそうだ。